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NTTぷららがCATVとの提携を拡大する狙いは?

2015-11-20 18:15:05
 NTTぷららは17日に開催した事業戦略説明会において、CATV事業者とのコラボレーションによる新しい「ひかりTV」の展開に関する重要な発表を行った。あらためてそのビジネスモデルを詳しく紐解いてみたい。

 今回NTTぷららが発表した「ひかりTV with 愛媛CATV」は、愛媛県を中心にサービスを展開するエンターテインメントサービスだ。NTTぷららと愛媛CATV、さらにはCATV局向け映像・音声・データ配信の専用プラットフォームサービスを提供するジャパンケーブルキャスト(JCC)の3社が新サービスを運営する。

 NTTぷららは、同社が運営するスマートテレビ向け映像配信「ひかりTV」を、JCCのプラットフォームを利用する愛媛CATV向けにユーザーインターフェースをカスタマイズしたかたちで提供する。サービスインは11月24日を予定している。このようなかたちでIPTV事業者であるNTTぷららと、愛媛CATVのようなケーブルテレビ事業者が業務提携を実現するケースは国内で初めての試みであるという点に注目したい。

 今後「ひかりTV with 愛媛CATV」のサービスに加入したユーザーは、「ひかりTV」が提供するVODやテレビの映像コンテンツをはじめ、音楽配信、クラウドゲーム、ショッピングに電子書籍など多彩なコンテンツが楽しめるようになる。ほかにも愛媛CATVのオリジナル番組である「愛媛CATVチャンネル」が視聴できるようになる点も、一般の「ひかりTV」とひと味ちがう所だ。月額利用料金は通常のテレビ向け「ひかりTV」と同じだが、「愛媛CATVチャンネル」については全加入者が無料でみられるようになる。月額料金のほかにもひかりTV対応チューナーの月額レンタル料金、ならびに光回線「フレッツ 光ネクスト」「フレッツ・光プレミアム」に契約する必要もある。

 ここで三社の役割分担をもう一度整理しておこう。NTTぷららは「ひかりTV」サービスのコンテンツに「愛媛CATVチャンネル」のコンテンツを加えて、さらにユーザーインターフェースをカスタマイズした新しいプラットフォームを開発・提供する。愛媛CATVは「ひかりTV」をベースにしたエンターテインメントサービスを地域市場に向けて販売促進していく。また申し込み受付や顧客サポートの提供や、もちろん「愛媛CATVチャンネル」の番組製作の主体も同社となる。

 JCCについては「ひかりTV with 愛媛CATV」のケーブル事業者への取次ぎとサポートを担当。顧客課金管理についても同社が中心にマネージメントを行う。NTTぷららから、ひかりTV対応STBを買い上げて愛媛CATVへ納品するのも同社の役割だ。さらに愛媛CATVへ「フレッツ光」の回線を卸売りする、いわゆる「光コラボ」の提供についても今後JCCが主体となって進める計画があるという。

 三社が手を組むメリットはどんなところにあるのだろうか。

 NTTぷららにとっては、今回の業務提携が今後「ひかりTV」のエンターテインメントサービスを日本全国に展開していく上での重要なモデルケースになる。地域密着型のCATV事業者と手を組んで日本の「地方」へと上手く食い込むことができれば、都市部以外での顧客開拓に弾みがつけられる。

 愛媛CATVにとっては、ぷららが注力して配信する「4K映像番組」や、音楽配信、クラウドゲームなど総合エンターテインメントが揃い、地方 のCATVサービスとして新たなメリットが打ち出せる。「愛媛CATVチャンネル」をより多くの視聴者に届けられる機会が広がるわけだから、ここをフックにして新たなビジネスチャンスも生み出せる。一方、JCCにとっても顧客課金まわりのノウハウを活かしたサービスを地道に提供するだけでなく、チューナーの提供や「光コラボ」を土台にビジネスの伸びしろをつくっていける期待感は大きいはずだ。

 そして三社が共通の目標である「ひかりTV with 愛媛CATV」を成功させることが、引いては「ひかりTV」の視聴に必要な「フレッツ光」の契約者数が全国的に増えることにもつながっている点も見逃せない。今年は海外からNetflixやアマゾンなどの“黒船”VODサービスが上陸し、国内における定額制動画配信サービスが本格的に始動したと言われている。海外ドラマや映画、オリジナル製作タイトルの豊富な品揃え、あるいはモバイル端末でも楽しめる利便性をキーワードに躍進を図る海外勢に対して、ひかりTVはNTTグループのブランド価値や販売網を活かしながら、国内の都市部から地方にまでサービスの魅力を広くアピールする戦略に打って出た。NTTぷららの新しい試みが、今後のスマートTV、あるいはVODの普及拡大にどんな影響をもたらすのか、今後の動向にも注目が集まるだろう。
山本 敦

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