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【新人マーケターのアドテク入門】PMPってなに?(前編)

2015-11-26 20:00:05
 東京・目黒雅叙園にて先月開催された「MarkeZine Day 2015 Autumn」に出席してきました。MarkeZine Dayは、マーケティング情報専門メディアの「MarkeZine」を運営する翔泳社が主催する、いわばマーケティングの祭典とも言えるイベント。多くの企業のマーケティング担当者たちが集まります。

 今回は「デジタル広告/マーケティング領域のトレンドを一日で把握」というサブテーマが掲げられていたので、広告業務に携わる方が特に多く出席されたのではないでしょうか。

 さて、MarkeZine Dayに参加したのは私、新人マーケターのチナツです。日々マーケターの「プロ」を目指し、マーケティング業務に明け暮れる私ですが、さらなるステップアップのチャンスを求め出席してきました。

 出席したのは、fluct(講師:取締役 小澤昇歩氏)による、「メディアマネタイズはRTBの次の世界へ。Googleが提供する最先端のプラットフォームを利用したプライベートマーケットプレイスが世界を変える。」という講演です。

 今回登壇したFluctは、国内最大級のSSP事業者で、DFP(Doubleclick for Publishers/ダブルクリックフォーパブリッシャーズ)などの広告運用ツールを提供する、国内に2社あるGoogleの認定パートナーのうちの1社でもあります。最大級の規模の広告・媒体を取り扱い、認定パートナーとして常に最前線の情報を蓄積したSSPならではの視点で講演されていました。

 そして昨年くらいから、じわじわと盛り上がってきているPMP(Private Market Place/プライベートマーケットプレイス)ですが、名前は聞いたことがあっても、「どんなメリットがあるの?」「来るPMP時代に備えて何をすべき?」「そもそもPMPってなに!?」と疑問は尽きなかった新しい広告システム。講演は、そんな広告担当者たちの不安を解消してくれるような内容でした。

 このPMP、一体どんなシステムで、PMPによってどんなことができるようになるのでしょうか。「アドテクノロジー」(アドテク)の動向を追う本コラムでは、講演の模様を前編・後編の2回にわたってレポートしたいと思います。

■PMPの大前提、「RTB」という制度

 そもそも、前提としてRTB(Real-Time Bidding/リアルタイムビッディング:リアルタイム入札)の方式を採られた広告配信制度があります。RTBはユーザーがウェブページにアクセスした時に、1つのインプレッション(広告の表示)を巡って超高速でとり行われるリアルタイムのオークションです。

 簡単に言ってしまえば、ウェブページを見に来たユーザーの情報が送られてきた瞬間、そのユーザーに対して広告を表示したいと思った広告主が「自分ならこのユーザーにいくら出せる」と意思表示をし、そのなかで一番高値を挙げ、かつ当該ウェブページを保有する媒体側が定める最低ラインをクリアした広告主が見事、そのユーザーに対して広告を表示する権利を得るのです。

 もちろん、ユーザーがウェブページを呼び出すたびにリアルタイムで行われるので、実際の企業の広告担当者たちが集結しオークションをするわけではなく、あらかじめシステムに設定された情報をもとにシステムが処理してくれています。

 ちなみにオークションはDSP(Demand-Side Platform/デマンドサイドプラットフォーム:広告主が効率的に広告出稿するためのプラットフォーム)と、SSP(Supply-Side Platform/サプライサイドプラットフォーム:媒体側が収益の最大化を目的として利用するプラットフォーム)とで2回行われます。DSPで勝ち抜いた広告主がSSPのオークションに進めるのであり、SSPでは各DSPで勝ち抜いた広告主同士が争います。

 少し複雑なので具体的な例を出してみたいと思います。例えば、クリスマス商戦。毎年この時期になると化粧品メーカーが気合いの入ったクリスマス限定コフレを発売しますね。化粧品メーカー各社はクリスマスコフレに関する広告をどんな人に向けて配信したいでしょうか。当然ニーズのある層として、化粧品などの美容に興味があるような20代~40代の女性を想定しているのではないでしょうか。そういった広告主がいる状況を想定したいと思います。

 とある20代女性Xさんが、Aニュースメディアに訪問しました。AニュースメディアはRTB方式の広告枠を導入しています。美容アイテムが大好きなXさんは、Aニュースメディアに訪問する前に化粧品メーカーが特設したクリスマスコフレ特設ページをあらかた閲覧してきました。そんなXさんがAニュースメディアに足を踏み入れた瞬間、「20代」「女性」「クリスマスコフレに興味有り」という情報がDSPに送られます。送られた瞬間、DSPの中ではオークションが開催されます。「20代」「女性」「クリスマスコフレに興味有り」というデータを見て、ぜひXさんに対して広告を表示したい広告主たち、おそらく化粧品メーカー各社が高値を表示して獲得競争に乗り出すのです。

 反対に、30~40代男性をターゲットに高級スポーツカーを売り出したい自動車メーカーにとっては、Xさんはほぼターゲットから外れます。なので、Xさんに対しては限りなく低い単価を提示する、あるいは入札しないという選択をすることになるのです。こうして、化粧品メーカーはお金を出せばターゲットに対して広告を表示できる確率が高まり、自動車メーカーはターゲットでもないユーザーに対して無駄に広告費を使い、損をすることを防げるわけです。

 このような処理が0.0数秒で行われるのですから、本当にすごいシステムですね。広告主は枠ありきの出稿から、人への出稿になったことから、より広告効果を上げやすいターゲットへアプローチできるようになったと言えます。

 しかし、現在主流のRTBシステムは誰でも参加できるオープンオークションであるため、最適な人へアプローチできたとしても、実はその枠はブランディングを傷つけるようなサイトだった、というようなことにもなりかねないのです。

 特に最近のネットワークはグローバルですから、よくわからない怪しい海外サイトで表示されることもありえないことではありません。逆も然りで、自分のサイトに怪しい広告が配信されれば、媒体価値を傷つけてしまうことだってあります。

■新たな広告配信「PMP」とは

 そんななかで登場したのが、今回テーマの「PMP」です。その名前からも推測できる通り、プライベートな空間で行われるオークションということですが、一体どんなものなのでしょう。

 小澤氏の説明をお借りして言うと、「事前にメディア情報が正しくわかっているなかで許可されたDSPやクライアントだけがそのオークションに参加できる」ため、お互いに先述したようなリスクを負わないというわけです。また、PMPでは前述のリスクを回避しやすくなるだけでなく、オープンオークションよりも多くの付加情報を送受信することができます。

 つまり、広告主はより細かくセグメント分けされたユーザーに対して広告を出稿できるため、より広告効果を高めることができ、さらに細かい情報が付加されたことで、その1インプレッションの価値は上がったわけですから、メディア側もフロアプライス(最低入札価格)を高く設定することができます。

 そして最も重要なこととして、PMPはオープンオークションをリプレイスするものではないということです。つまり、PMPで枠が埋まらなかった場合にはオープンオークション、アドネットワークを利用することができます。なので、メディア側もPMPに参入したからと言って、枠の埋まらないリスクを負うこともないのです。

 つまりPMPにより、広告主はその広告の効果を高めることができ、メディア側は自社広告枠の価値を高め、収益増加が見込めるようになるのです。双方にとってWIN-WINなシステムであるPMP。今回は仕組みそのものについて見てきました。次回はそんなPMPを導入するにあたり、メディアが心がけなければならない点を小澤氏の話に沿って見ていきたいと思います。
奥 千奈都

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