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抱きしめて感情を伝える「コミクマ」!未来のコミュニケーションツール

2016-03-29 16:33:04
 KDDIは“スマホの次”の未来にあるデバイスやサービスを発明することをテーマに推進するオープンラボラトリー型のプロジェクト「au未来研究所」にて、ぬいぐるみ型のコミュニケーションツール「Comi Kuma(コミクマ)」を開発。コンセプトモデルを披露した。

 「Comi Kuma」はau未来研究所のプロジェクトで定期的に開催されているハッカソンから誕生したIoTコミュニケーションツールだ。クマのぬいぐるみの形をした本体に、通信モジュールと12個のセンサー、全11種類のスタンプが送れる機能が搭載されている。ぬいぐるみの手をでなでたり、抱きしめたり、手を握るなどのアクションが入力されると、Bluetoothペアリングしたスマホから自動でスタンプが発信される。もう一台のComi Kumaを所有する相手は、胸に付いているリボン部分のディスプレイに表示されるスタンプで、発信者のメッセージと感情が確かめられるというものだ。au未来研究所では、遠方に住む孫と祖父母、親子や恋人どうしをつなぐコミュニケーションツールとして提案する。スタンプの入力にスマホを操作するスキルも要らないので、シニア層にも操作が簡単とした。なお現時点では商品化の予定はない。

 コミクマには「頭をなでる」動きを検知するタッチセンサー、「キス」を検知する二酸化炭素検知、「腕を左右に動かす」動きを検知する傾きセンサーなど12種類のセンサーが内蔵されており、例えば頭をなでると「おはよう」「こんにちは」などのあいさつ、キスをすると「チュッ」などの動きに合わせたスタンプが送信される。


 本日都内で開催された記者発表会にはKDDIから宣伝部担当部長の塚本陽一氏が登壇。「通信キャリアであるKDDIはユーザーの皆様、お客様と“欲しいプロダクト”を一緒につくってしまおうという発想でau未来研究所を起ち上げた。プログラミングなどに詳しくない、一般の方々も気軽にハッカソンに参加してアイデアを持ち寄りながら、面白い製品を一緒に作るという、世界でいちばん敷居の低いプロジェクト」とau未来研究所の活動を紹介した。

 今回発表されたコミクマはau未来研究所としては、シューズアパレルのニューバランスと共同開発した「FUUM(フーム)」以来の第二段モデルになる。今回のテーマは「BE PLAYABLE」。様々なものを「遊び化」するというコンセプトにフォーカスしながら開発を進めてきた5つのプロトタイプから選ばれたコミクマがコンセプトモデル化された。

 コミクマはスマホとBluetoothで接続してスタンプを送ることができる。したがってコミクマどうしは離れたところにあってもコミュニケーションは可能だ。

 なぜコミクマをコンセプトモデルに選んだのか、塚本氏はこのように説明している。「IoT時代にKDDIとして新しいコミュニケーションツールを届けていきたいと考えた。だが、IoTの領域では単に商品やサービスを出しても差別化は容易ではない。KDDIとしては高齢者や障害者の方々にとって役に立つウェアラブル、IoTデバイスを開拓していきたいと考えている。これまではエリア品質の改善など、通信インフラの強化に邁進してユーザーの皆様に物質的なつながりを提供してきたが、これからはそれだけでなく、ハートフルなコミュニケーションを実現するエンドユーザー向けデバイスの開発にも注力していきたいと考え、au未来研究所でコミクマを形にした」

 「コミクマは人々のハートフルなコミュニケーションを促進できるツールになる」という、同社の仮説を確認するための実証実験も行われた。期間は今年の1月23日から29日までの6日間。秋田県南秋田郡五城目町でコミクマの先行トライアルが実施され、期間中はユーザーにたいへん好評を得たという。世帯平均でスタンプを送った回数は、実験開始当初から最終日までの間に約4.4倍アップ。コミクマを使ったことがきっかけになって、電話など直接的なコミュニケーションの機会も増進され、通常の対人コミュニケーションも活発化する良好な結果が得られたという。

 五城目町からは役場課長の澤田石清樹氏が出席。人口が毎年100人ずつ減り続け、町民の高齢化も深刻な課題になっているという町がコミクマを導入したことで、活気がなくなりつつあった街が、もう一度元気に生まれ変わる機運が高まったと実験の成果を振り返った。

 コミクマのアイデアを起ち上げたハッカソンメンバーも会場に駆け付けた。このアイデアが生まれたきっかけについては「もともとは恋人どうしのコミュニケーションツールとして思いついた。ぬいぐるみが感情や気持ちを素直に引き出してくれるメッセンジャーとして代弁してくれうだろうと」と振り返り、家族間だけでなく、恋人どうし、夫婦がふだん言葉ではなかなか伝えられない感情表現を素直に引き出してくれるツールであることをアピールした。

 KDDIの塚本氏も「今回は実証実験でシニア層の方々とお孫さん世代をつないだが、本来はもっと広く親子、恋人どうしのコミュニケーションを促進していくデバイスになりうるだろうと期待している。コミクマのように、人々を心がつなげるデバイスやサービスを積極的に作っていきたい」と意欲を示した。

 発表会のゲストにはタレントの安めぐみ、脳科学者の中野信子氏も参加してコミクマのデモンストレーションに参加した。安めぐみは「ぬいぐるみに触ったり、抱きしめるだけで簡単に思いが伝えられる画期的なコミュニケーションツール。ふだん家を離れてロケに奔走している夫に持たせたら、娘と身近にコミュニケーションができるようになるのでは」と興味を示した。

 au未来研究所では、昨年にプロジェクトの第1弾モデルとして、シューズアパレルのニューバランスと協業した「フーム」を発表した。キッズ向けのウェアラブルシューズとして様々な可能性を掘り起こすためのトライアルも実施してきたが、この夏には大型商業施設とコラボレーションして「フームキッズパーク」の活動を拡大。一般サービスとしてローンチしていく計画があることも公表された。
山本 敦

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