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9.7型iPad Pro内蔵の「Apple SIM」を香港&中国で試してみた!

2016-04-22 20:04:48


 世界最大級のエレクトロニクスショー「IFA 2016」(9月2日~7日@ドイツ・ベルリン)のプレイベント、「IFAグローバル・カンファレンス」が18日から20日まで香港で開催された。同カンファレンスに参加した筆者は今回、旅先に「iPad Pro 9.7インチ Wi-Fi+Cellurar」モデルを持参。Apple SIMの機能をビルトインした同機が、海外出張での通信ライン確保にどれだけ真価を発揮してくれるのか実験してみた。

 Apple SIMとはその名の通り、iPhoneやiPadでおなじみのアップルが開発したSIMカードによる通信サービスだ。一般のSIMカードはサービスを提供する通信事業者に紐づけられた形で販売されるものだが、Apple SIMは端末にカードをセットしたのちに、ユーザーが通信事業者やプランを自由に選んで使えるところが大きく違う。

同社の本拠地であるアメリカで2014年から発売され、昨年には日本でも発売されている。例えば海外に出かけるときはApple SIMとSIMロックがかかっていない端末を持参すれば、海外でも使えるSIMカードやWi-Fiルーターをあらかじめ用意しなくても済むという。世界の主要地域にはApple SIMに対応する通信事業者があり、日本国内ではauがこれに対応している。そして、Apple SIMのカードはアップルストアで購入が可能だ。

 先日3月末に発売された「iPad Pro 9.7インチ Wi-Fi+Cellurar」モデルの場合は、このApple SIMの機能があらかじめ本体にビルトインされている。筆者がこのことを知ったのは3月24日に予約申し込みを行った直後あたりのタイミングだったので、同機を衝動買いしてしまったことを後悔しないよう、自分に言い聞かせるためのよい口実が一つできてうれしかった。また程なくして内蔵Apple SIMの実力が試せる絶好の機会が訪れたというわけだ。しかも、今回は香港だけでなく中国本土の深センにも移動する旅。2つの地域でApple SIMが試せた。

■何はともあれWi-Fiにつなぐ必要があった

 まずは「香港編」から。iPadの「設定」には、特に「Apple SIM」と記載されているメニューはない。「設定」>「モバイルデータ通信」とたどり、「データ通信プランを選択」の中から「新規プランを追加」と選択すれば、現在いる国・地域で有効な「モバイルデータ通信アカウント」を選ぶ画面が立ち上がる……はずなのだが、ここまでスムーズに来られるのは日本にいた時にセルラー通信でインターネットにつながることができたからだったようだ。

 空港からホテルまで移動するバスで設定してしまおうと計画していたが、いつまで待ってもアカウントの選択画面が表示されない。どうやらiPadがインターネットにつながっている必要があるみたいだ。ホテルに到着して、iPadをWi-Fiにつないでメニューを起動してみたところ、利用できるキャリアが表示された。

 iPadをWi-Fiに接続してから、腰を落ち着けて香港でのApple SIMの設定を進めていった。筆者が滞在したエリアでは、通信キャリアを「AlwaysOnline」と「GigSky」の2件から選べた。それぞれのプランの内容を比較してみる。今回の香港滞在は2日半ほどの短い期間だったので、その間できる限り安くてデータ量を多めに使えるプランを選びたかったが、GigSkyは「3日間/100MB」で15米ドル(約1,600円)。しかも速度はLTEではなく3Gだ。AlwaysOnlineは「時間割」「日割」「容量ごと」にもう少し細かいプラン区分になっていて、しかもLTE対応なのだが、例えば「日割(24時間)」のプランは200MBで9.99ドルと、これもまた経済的な選択ではないように思える。そもそもホテルに滞在する時間が長そうなので、どうしてもセルラー通信でインターネットにつながらないと困るシチュエーションは今回はそんなに多くなさそうだったので、GigSkyの一番安い「3日間/100MB」のプランを使ってみることにした。

 はじめにGigSkyのユーザーアカウントを作成後、支払いに使うカードの詳細など個人情報を登録する。日本でつくったクレジットカードだったので、登録項目の中にある「お住まいの国」を「日本」にするのだが、エラーになって登録が先に進まない。試しに「香港」を選択したら次の項目に進めた。なんだか釈然としなかったものの、ひとまずこれでアンテナも立って、通信ができるようになったのでよしとしよう。「設定」>「モバイルデータ通信」の画面からは、GigSkyのプランの使用期間とデータ容量がモニターできる。

■Apple SIM対応の通信キャリアが見つからない場合も

 続いて中国本土の「深セン編」をレポートするため、深センのホテルに入って香港でやった時と同じステップでApple SIMの登録を始めようとしたところ、端末をインターネットにつないで「モバイルデータ通信アカウント」の表示をしばらく待っても、「現在の地域で利用できるプランがない」という旨のアラートが表示され、使えるキャリアが出てこなかった。もしかすると、これは滞在しているこのホテルの環境が問題なのかと思って、取材先の展示会場でも試してみたのだが、やはりApple SIM対応のキャリアが表示されない。深センのような中国でもIT・通信が急成長していると言われる大都市ですら、Apple SIMがカバーできていない場所はまだ結構あるということなのかもしれない。

 購入したiPadにApple SIMという非常に便利そうな機能が組み込まれていることを知り、かなり期待して海外旅行にのぞんでみたものの、実際に使ってわかった現実とのギャップは大きかった。海外で格安SIMを調達できるかどうか、地理に不慣れだったり、言葉の問題から感じる不安をApple SIMが解消してくれそうな期待もあったが、まず最初に何とかしてインターネットにつなぐことができないと、キャリアやプランの選択へと進めないのは残念だ。

これから試す方は、空港に降り立ってすぐに無料のWi-Fiネットワークを見つけて、時間の許す限りプランの内容を吟味して、契約・開通まで済ませてしまうことをおすすめする。もっとも、ホテルまでの行き方もわかっていて地図など不要、急ぎでなければホテル到着後でも構わないが。その点、日本でも販売されているGigSkyのSIMカードでは、海外に到着してからプランを契約するまで、最初のネットワーク接続がWi-Fiの手助けなしで行えるのが有利だ。

 Apple SIM対応のプランの料金設定についてはまだ他国・地域のものを数多く並べて比較したわけではないので何とも言えないが、滞在先でプリペイドSIMを調達したり、日本国内で海外用SIMカードをあらかじめ入手する方法も選択肢にあるのなら、ほかにも通信料金を安く済ませる手立てはたくさんありそうだ。これから訪れる国や地域にApple SIM対応のキャリアがあるのか、いろいろな情報を参照しながらできる限り下調べもしておきたい。
山本 敦

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