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空き駐車場をネット予約!駐車場シェアサービス「akippa」とは?

2017-08-29 19:30:02
 借り手のいない月極駐車場、利用者のいないマンションの駐車場から、果ては空きスペースになっている個人宅の駐車場まで、あらゆる駐車場をネット経由で貸し借りできる駐車場シェアサービス「akippa」(アキッパ)が注目を集めている。一体、どんなサービス設計になっているのだろうか。

■akippaとは?

 はじめに、サービスの概要と利用方法を簡単に説明しておこう。駐車場を貸す側は法人・個人を問わず、登録料/利用料は完全無料で、駐車料金の50%を収益にできる。貸し始めるにあたって特に高価な機械を設置する必要もなく、akippa駐車場であることを示す三角コーン(数千円)だけ購入すればよい。

収益モデル。駐車場を貸す側、借りる側ともに法人・個人を問わず、登録料や月額利用料は無料となっている

 借りる側も登録料/月額利用料ともに無料で、駐車したときにだけ料金が発生する。予約はiOS/Android向けのアプリ、あるいはWebブラウザでおこなう。

 駐車場を借りる場合の利用フローだが、akippaの駐車場は地名からキーワード検索、現在地から、あるいは人気スポットからの検索もできる。車種や利用日時を設定して絞り込むことも可能。検索にヒットしたakippa駐車場は、マップ上にピンで表示される。駐車場に空きがあるときは緑色、満車のときはグレーで示されるので見た目にも満空状況が分かりやすい。

駐車場の検索から、予約、決済まですべてがひとつのアプリで完結する

 駐車場の詳細ページでは、駐車場および周辺の写真が確認できるほか、駐車場サイズ、対応車種、その他の注意事項もチェックできる。入庫・出庫日時を選ぶと合計金額の見積もりが表示される。予約はログインしておこなうか、ログインしなくても車種、車両ナンバー、電話番号などの必要事項を入力すればおこなえる。決済方法は、クレジットカード支払いか携帯キャリア決済の2通りに対応している。

■駐車場の数は1万3千超

 欧米を中心にAirbnb、Uberといったシェアリングエコノミーの動きが広がっているが、それを駐車場で実現しようというのがakippaと言えるだろう。サービスの現状や今後の展望について、akippa 代表取締役社長の金谷元気氏に話を聞いた。

―――サービスの利用状況について教えて下さい

 「現在、akippaで駐車場を借りたいというドライバーさんは数十万人という規模でいらっしゃいます。前月比120~130%ほどの割合で利用者が伸び続けている状況です。また、提供できる駐車場の数は1万3千拠点を超えました」

―――すでに大手コインパーキングの駐車場数に比肩する規模ですね

 「業界のシェアトップを目指してはいますが、そこに強いこだわりはありません。ビジネスの目標が異なるからです。というのも、実はakippaの扱う1万3千拠点の中にも、他社さんの駐車場が含まれています。たとえばコインパーキングでも、稼働状況によっては10台が停められるスペースのうち数台分をakippaに解放しているところがあるんです。業界トップ10のうち、半分の5社さんはakippaに登録してもらっています。その意味では、競合しているというよりは、大手コインパーキングと利用者を結ぶ役割を果たしている、と言った方が近いですね」

akippa 代表取締役社長の金谷元気氏。プロのサッカー選手を目指していた異色の経歴を持つ

■都心に注力、地方にも展開

―――主にどんな方が利用されていますか。また、どんな地域に展開していますか

 「土日はファミリー層に利用していただいています。平日なら通勤・通学の利用者が多いですね。akippaでは東京23区内や大阪市内など、まずは都心部を中心に駐車場を増やしています」

都心の時間貸し駐車場の不足を補うべく、まずは東京23区内や大阪市内などに注力している

―――地方はいかがですか

 「地方の住宅街でも駐車場が登録されています。はっきり言うと、地方の住宅街の駐車場では大きな儲けは出ません。でも、とても価値の高い拠点だと考えています。たとえばお盆やお正月など、帰省した時に駐車場がなくて困る方が多くいらっしゃいます。もし駐車場がないから帰省を見合わせる人がいるとすれば、それはとても悲しいこと。そんなときにakippaを利用してもらえたら、人と人が出会うための手助けになれるのではないかと思っています」

■個人が企業に駐車場を提供する例も

―――ユニークな導入事例があれば教えてください

 「セブンイレブンさんでは、トラックを個人宅の駐車場に停めて搬入作業をされるという事例があります。セブンさんの店舗の3分の1は、搬入のための駐車場を設けていません。その場合、近くのコインパーキングに停める必要があるなど、皆さんいつも苦労されている。そこでセブンイレブンの店舗周辺の住宅にakippaの駐車場を設けたところ、とても喜ばれました。個人が企業にサービスを提供する、C to Bの面白い事例と言えるのではないでしょうか」

―――引っ越し業者などにも展開できそうですね

 「そうかも知れません。物流では、関西のほとんどのコープ生協の配送業者さんに利用していただいています。あとは、J:COMさんの営業車など。また、丸亀製麺を運営するトリドールさんには、青空マルシェとして利用していただきました。野菜の移動販売車は、場所探しに苦労されるのが常。でもakippaを利用して、お客様の来やすい場所に駐車して野菜を販売されていました」

 「そのほかにも、セレッソ大阪さんとのコラボで、サッカーの観戦チケット+akippaの駐車場券+ワンちゃんの預かりチケットをセットにして販売しました。サポーターの方は乗用車でペットと一緒にスタジアムに来て、まずは隣接する公園で遊び、その後にペットを預けて試合を観戦できる。この試みもとても好評でした。拠点を数多く持っているakippaは、スポーツやコンサートなど大きなイベントとも相性が良いんです」

「セレッソ大阪 わんわんペットデー」では、サッカーの観戦チケットなどとakippaの駐車場券がセットで販売された

■“どこでも駐車場”を満足価格で提供

―――サービスでこだわっている点について教えてください

 「駐車場をネット予約できることと、“どこでも駐車場”を満足価格で提供することにこだわっています。たとえば都内では、駐車場の数がたくさんある中で価格勝負になりやすいため、周辺よりも料金を下げて提供します。また、スタジアム周辺など駐車場がそもそも探しづらい場所では、予約できることで優位性が出せるため、他の駐車場と同程度の価格にすることもあります。どうやったらユーザーさんに満足してもらえるかを常に意識しています」

―――価格設定など、akippaから駐車場のオーナーにアドバイスすることはありますか

 「価格設定はオーナーさんに決定権があります。でも、現状はakippaに任せてくださるオーナーさんが多いです。いまは需要の方が大きいので、しっかりした価格設定ができていれば駐車場が埋まります。ただ2回目以降の利用に際しては、オーナーさんで選ぶドライバーの方も出てきました。毎回ここのオーナーの駐車場を使う、といった具合にリピーターになっていただく。あとは、オーナー会議やオーナーのコミュニティでお互いにノウハウを共有するようにしています。もっとも全体の割合で言えば、個人のオーナーはまだ多くはなく、9割は大手企業です。月極駐車場をお持ちで、契約されていないスペースをakippaに提供していただいている企業さんが多いですね」

支払いはクレジットカードのほか、キャリア決済にも対応している

オーナー会議の様子

■システム基盤はAWSを採用

―――システム基盤にAWS(アマゾンウェブサービス)を採用されています。その理由について教えてください

 「ビジネスの拡大に合わせて、フレキシブルにインフラをスケールアップしていける点が大きいですね。例えばテレビでakippaが紹介されたときなど、一時的に負荷が増大します。そんなときも、管理画面から設定を変更するだけで対応できます。また、本サービスは短期間で立ち上げる必要がありました。人材が揃っておらず、リソースも少ない状態でしたが、AWSのクラウドサービスによりスピード感をもって立ち上げることができました」

―――駐車場の予約状況をリアルタイムに制御するのはシステム的に難しいことだったのでしょうか

 「akippaに登録いただいている駐車場に関しては、その在庫をすべてakippaで抑えている、という状態なので、その制御は特に難しいものではありませんでした」

―――実際の入出庫についてはシステム管理されているのでしょうか

 「現在、入出庫に関しては、システム等で管理はおこなっていません。ただakippaでは、予約の際に利用者さまの車両ナンバーや連絡先、支払いの際のクレジット情報などの入力が必要になり、コインパーキングのような匿名利用ではないという点が、違法な入出庫の抑制につながっています」

 「万が一、時間内に車の出庫ができない等のトラブルがあれば、24時間365日対応できるコールセンターを設置していますので、そちらにご連絡をいただければ対象オーナー(もしくはユーザー)さまへの説明や、次の利用者さまに対して別の駐車場案内などの対応を速やかにおこないます」

■人が人に会いに行くための手助けを行うサービス

―――競合が増えていることについて、どう捉えていますか

 「サービスの認知が広がるという点で歓迎しています。大企業が参入して、駐車場をシェアするという考え方が一般的になれば、オーナーさんの登録も増えるからです。次に、競合の中からいかにakippaを選んでもらうかが問題になりますが、これに関してはユーザー数、駐車場数の多さがアドバンテージになると考えています」

―――今後の展望について教えてください

 「拠点数をさらに増やしていきます。年内に1万7千ほどまで伸ばし、来年は3万拠点を目処にしています。将来的には、蓄積したデータを元にユーザーさんにさらに喜んで貰えるようなサービスを提供できたら良いですね。駐車場を活用して、どんなサービスができるかを考えています。消費者層にはカーシェアリングの動きが広がっていますが、車を置く場所に困るケースもある。そういうところにも提供していけたら。でもまずは、満足価格でしっかり使える駐車場を増やしていくことだと思っています」

―――経営理念について教えてください。

 「私は無駄に便利なものが好きじゃないんですよね。テクノロジー最優先の考え方には疑問を感じています。私たちが提供しているakippaは、人が人に会いに行くための手助けをするサービスだと考えています。駐車場がないために出かけられない、そんな機会に役立ててもらえれば。困りごとを解決するためにテクノロジーを使う、そんな会社でありたいと常々思っています」

―――本日はありがとうございました
近藤謙太郎

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