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海外で先行ブレイク!ダンスと音楽を楽しむウェアラブル「SoundMoovz」が日本上陸

2018-02-16 16:00:14
 身に着けているユーザーの体の動きに合わせて楽器のように音を奏でるというウェアラブル端末「SoundMoovz(サウンド・ムーブズ)」。すでに欧米を中心に世界17ヵ国でヒット中のデバイスがこのほど国内でも発売を迎えた。

■満を持して日本に上陸する“逆輸入”プロダクト

 実はこの端末、日本のスタートアップが開発した製品だ。海外でのヒットを足がかりに満を持して日本上陸を果たす、いわば“逆輸入”プロダクトなのだ。スタートアップとしては珍しい形でのビジネスを成功させた秘訣を、メーカーであるDmet ProductsのCEO 楠太吾氏に聞いた。

写真左端がDmet ProductsのCEO 楠太吾氏 

 SoundMoovzをつくったDmet Productsは2016年6月に設立されたばかりの若いスタートアップ。現在はCEOの楠氏をはじめ、エンジニア、デザイナー、セールスマネージャーなど8名がチームを組む。CEOの楠氏はダンサーの“DAIGO”として学生時代には全国大会で2度優勝したというユニークな経歴の持ち主だ。SoundMoovzのアイデアもまさしく楠氏のダンサーとしての経験から生まれている。

 「ダンスは普通、音楽を聴きながら踊るものですが、SoundMoovzは踊ることによって音を出すガジェットです」と、楠氏が特徴を語るデバイスの仕組みと使い方はとてもシンプル。センサーを内蔵するバンド型の本体を手首や足首に巻いて、Bluetoothでペアリングされたスマホなどのモバイル端末とiOS/Android対応の専用アプリ「SoundMoovz App」から鳴らしたい音源などを選択しておく。すると、SoundMoovzの動きと同期してスマホのスピーカーから音が鳴る。スマホを有線・無線のスピーカーにつなげばさらに迫力のある大きな音も出せる。

リストバンド型のウェアラブル端末を手首や足首に装着。Bluetoothでペアリングしたスマホで音を楽器のように鳴らせる

スマホをスピーカーに接続すればさらに迫力のサウンドが楽しめる 

 アプリには色んな機能が用意されている。たとえば独自のクラウドサーバー「SoundShare」に登録されている400種類以上の音源は、使いたいものを端末のストレージ容量が許す限りダウンロードできる。スマホの内蔵マイクでユーザーの声を録音して音源として使ったり、スマホに保存されている音楽ファイルを流しながら、SoundMoovzで再生したサウンドをミックスして楽しむのもいい。

SoundMoovzの専用アプリ。iOS/Andoridの両プラットフォームに対応している

約400種類の音源をSoundShareからダウンロードできる 

ユーザーの声などを録音して音源として鳴らすこともできる

 楠氏は「ダンスに合わせて音を鳴らせることがこの製品の特徴なので、無線通信の遅延を少なくすることには腐心しました」と、開発時に課題になったポイントを振り返っている。Bluetoothによる無線通信の感度や精度を念入りにチューニングして、デバイスどうしの同期性能を高めた。筆者も実機をハンドリングしながら遅延性能を確かめてみたが、なるほど端末を動かすとスマホやタブレットから小気味良く反応が返ってくる。これはパーカッション楽器を持って音を鳴らしながら躍っているような感覚に近いかもしれない。

■関西の老舗企業の社内ベンチャーから誕生。DMM.make AKIBAでプロトタイプを設計

 楠氏は関西の老舗鉄鋼商社である阪神メタリックスの社員として、同社の新規事業部のプロダクト部門を立ち上げた。結果的にSoundMoovzという商品を完成させることができたが、その道のりは決して平坦なものではなかったようだ。

 「当時社員として何か斬新なプロダクトを開発せよという任務を背負って、右も左もわからなくなっていたところにDMM.make AKIBAというものづくりのプラットフォームと出会いました。入居を決めたものの、しばらくは商品のアイデアも浮かばないまま焦っていましたが、ようやくひねり出したSoundMoovzの原型となるアイデアを周囲の人々に伝えていたところ、現在COOである佐合秀昭氏に出会い、彼がアプリの開発を、私がハードウェアのプログラミングを担当して、さらにDMM.make AKIBAに用意されている工具を使って初めてのプロトタイプをつくりました」(楠氏)。

身に着けて楽器のように音を奏でるウェアラブル端末「SoundMoovz」

 製品開発の段階ではカット&トライでつくりあげた大柄なプロトタイプを、いかにポータブルサイズまで小さくできるかという課題の解決に時間をかけた。またバッテリーも当初は2時間しか持たなかったので、ICチップの選定やソフトウェアのプログラムをブラッシュアップしていくことによって、最終製品では毎日使用しても150時間以上連続稼働が可能なほどスタミナ性能を高めた。ちなみに電源はボタン電池なので簡単に交換できる。

商品化にあたってパッケージのデザインも気を配ってきたという

 商品として開発が落ち着いてくると同時に、今度は安定した量産体制を敷くことにも同社のスタッフは力を注いできた。オンリーワンのアイデアを何とか形にできたとしても、ヒットした製品を安定的に供給するための量産体制の確立につまずくスタートアップも少なくない。Dmet ProductsのCOOである佐合氏は「部品についてはコストだけでなく、発注してから工場に無事届くまでのリードタイムを計算に入れて最適なものを選択する必要がありました。また無線通信を使う製品なので、販売する各国での技術認証の取得と、品質マネジメントにも丁寧に時間をかけています。設立して間もないスタートアップなので、ノウハウを一つひとつ手探りで見つけてきました」と苦労を振り返った。

■CEO、海外で踊りまくる

 こうしてSoundMoovzは商品としての形を徐々に成してきたが、楠氏はまず海外の販路開拓から取り組んだ。そのアプローチは驚くほどに愚直なもので「プロトタイプを作って、海外のイベントや商談会などに出かけて、自らSoundMoovzを装着して躍りながらプレゼンテーションを重ねてきました」と語っている。製品の独創性に目を付けた海外コンサルタントNiko Nikolic氏(ニノ・サイバーパル 代表取締役社長)との出会いもあり、SoundMoovzは欧米を中心とした数々の海外代理店の目に止まった。イギリスやドイツのおもちゃの展示会にも出展。とある商談会では1週間の出展で20万台の受注を得たという。そして昨年7月にSoundMoovzは海外でのローンチを達成。販売台数は40万台を突破している。





 そして今年の春にSoundMoovzはいよいよ日本発売を迎える。2月15日にはアマゾンプライム会員限定のWeb先行販売がスタート。3月15日からはヨドバシカメラやビックカメラ、蔦谷家電など家電量販店の店頭・オンラインでの取り扱いがスタートする予定だ。「海外先行販売のヒットを看板に、日本でもぜひSoundMoovzをブレイクさせたい」と楠氏は目を輝かせる。なお、国内での製品の販売価格は7,800円(税別)。1パッケージに2本のバンドが同梱されている。カラバリはブラック/ブルー/パープル/ピンクの4色。音楽を体で感じられる新感覚のスマート・トイとして、国内でも老若男女を問わずたくさんのファンが付きそうなデバイスだ。

 国内では、中学校の体育の授業でダンスが必修化されて間もない。そうしたブームに乗ってSoundMoovzのような“音もの・ウェアラブル”がこれから注目を浴びることになるかもしれない。

 楠氏はSoundMoovzの今後の展望についてもコメントしている。まずアプリの機能を拡張していくという。気になるアップデートの内容についてはユーザーが自分で作った楽曲をSoundShareにアップして、同じアプリを楽しむユーザー仲間とシェアしたり、ライブ配信のリズム対戦ゲームを遊べる機能などが検討されているようだ。またDJ機器に接続してエフェクトをコントロールできるような、SoundMoovzのプロフェッショナル向けのバリエーションモデルも3月に出展する海外のイベントで発表を予定している。Dmet Productsは今後も要注目のスタートアップだ。
山本 敦

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