2018年1月に開催された「CES 2018」には、デジージョの中からIT全般、モバイルやPCに精通する太田百合子、金融系に強い綿谷禎子、ITジャーナリストで美容やファッションにも通じるあやの(富永彩乃)、睡眠改善インストラクターでヘルスケアネタが好きなすずまりの4名が参加しました。
4名ともターゲットとする製品ジャンルが微妙にことなるため、参加したデジージョの面々で今年のCESを振り返る座談会を開催。会期終了から少し間は空いてしまいましたが、来年のCESを占う意味も込めて、それぞれが感じたCES、そして気になる製品についてお届けしましょう。
その1年のテックトレンドを占う重要な展示会
2018年1月8日~12日までラスベガスで開催された「CES 2018」
【すずまり】:みなさんCESお疲れ様でした。今日は、それぞれの立場で見てきたCESについてお話できたらと思います。
【太田】:CESの取材は私と綿谷さんが6回目で、あやのちゃんが2回目。すずまりさんは今回初めてだったんですよね。どうでしたか。
【すずまり】:ついに初CESでした。太田さんから「すずまりさんは絶対CES行ったほうがいい」って何年にもわたって言われていたんだけど、その理由が分かった気がする。私好みの展示が多かった!過去に行ったIFAやMWCに比べて入り込みやすかった。これはちょっと継続して見たほうがいい、また来たほうがいいのかなっていうのを、割とすぐに思いました。
【太田】:もともとすずまりさんはヘルスケア分野に関心が高いし、そういう系は展示会の中では圧倒的にCESかなと思って。だからずっと勧めてたんだけど、やっと重い腰があがって、今年行けたって感じですね。
【すずまり】:これまで、「CESは会場が広くてめちゃ大変!」とか、「飯がまずい!」とかネガティブな情報がすごい多かったから(笑)。でも行ってみると意外と大丈夫だったというか、面白かった。特に見たかった“睡眠”の分野に関しては「SleepTech(スリープテック)」ゾーンがあって、それも今年初めてできたって聞いて、ついに睡眠来たか!と思ったし、初めてのCESでタイミングよく「スリープテック」を見られてラッキー!って思いましたね。
【太田】:イケメンはどうでした(笑)?
【すずまり】:イケメンは圧倒的にラテンのMWC(開催地がスペインのバルセロナ)のほうが多い(笑)。
SleepTechゾーンのとある風景
会場の1つになっていたのが、ベネチアコンセプトの高級ホテル「VENETIAN」の一部
VENETIANの屋上には川が流れていました
【すずまり】:今更だけど、そもそもCESとは?みたいな話をひとつ。
【太田】:CESは年始にやることもあって、1年間のテックトレンドを占う、みたいなところがある展示会なんですよ。新製品を見に行くというよりは、今年はどういう傾向なのか、何が流行っているのか、新しいテクノロジーはどんなものがあるのか、というのを見に行く場所っていう感じがします。そういう意味では他の展示会とは違う。それとスタートアップがめちゃめちゃ多いのもCESの特徴かな。あんなにスタートアップが多い展示会はなかなかないので、そういう意味ではトレンドやテクノロジーの“芽”を見に行く感じもありますね。
【すずまり】:IFAやMWCとは毛色が全然違いますよね。
【太田】:IFAは完全に生活家電の展示会。もちろんサムスンなんかが大きなブース出してるんだけど、やっぱり家電。一般のお客さんも来るような展示会で、たとえばコーヒーメーカーがいっぱい並んでいて、試飲できますとかそういう感じ。それはそれで楽しい展示会なんですけどね。
【綿谷】:CESはジャンルも幅広いよね。家電から車からいろんな細かいものもあって見応えがある。
スタートアップの成長も見られるCES
【太田】:今年はInsta 360のブースがすごく大きくなっていたのに驚きました。Insta 360はiPhoneにつける360度カメラで、中国のメーカーが出しているんですけど、会場に入ってすぐの場所に大きなブースを構えていた。それこそ、一番最初はスタートアップばっかりが集まるエウレカパーク(以下、エウレカ)からの出展だったので、それを思うとすごく感慨深くて。
Insta360のブース
Insta360はiPhoneに接続して使う360°カメラ
【あやの】:長く見てるとそういうことも分かるんだ。
【太田】:エウレカや、併設イベントのち~っちゃいブースとかで最初は見てたんだけど、去年からSouth Hallに大きめのブースを構えはじめて。それが今年はさらにでかくなってた。スタートアップが成長していくってこういうことなのかなって思いましたね。日本だとCerevoさんとかもね、段々注目度が上がっていって。Cerevoさんはちょうど出展6年目で、私たちが取材に行き始めたときまったく同じタイミングで初出展だったこともあって、なおさら感慨深い。
Sands Expoの入口で大きなブースを構えていたCerevo
フランスメディアのインタビューに答えるCerevo代表の岩佐琢磨氏
【綿谷】:最初ほんとにちっさいブースだったんだけど、いまやこんなに大きくなったか!みたいなね~。
【すずまり】:Cerevoさん、今年はシャキーンシャキーン音をたてながらデモをやってましたよね。すごい目立ってた。
【太田】:そういうスタートアップ成長物語みたいなものがみえるのもCESの特徴かな。製品だけを見ると、必ずしも今年ローンチされたものばっかりじゃない。バージョンアップしたり、デザインが変わったりとか、去年まではまだプロトタイプだったけど、いよいよ製品化できますみたいな状態のものも多かったりしますね。
現地で感じたCESの流れ~AlexaからGoogleへ
【すずまり】:太田さんに聞きたいのは、過去6年間行っててどう変わってきてるか。今年のCESは何が印象に残りましたか?
【太田】:何が変わってきたか……そうだな、去年と今年で違うのは、スマートスピーカーとの連携。去年はAlexaだらけだったんですよ。Amazon Echoが2014年から米国では発売されて、私もAmazon Echoっていうものがあることはなんとなく分かってたけど、去年CESに行ってみたらどのブースもAlexa、Alexa、Alexa、いろんなものがAlexaに繋がるようになってた。そこで改めて“Alexaってなんじゃ?”って思って。すごい大きなムーブメントが来てるんだなって感じたのが2017年のCESでした。
その年の年末になってやっぱり日本にもやってきて、いっきにスマートホームとかスマートスピーカーに注目が集まって。この前の座談会でもやりましたけど。で、その流れでいうと、今年は「Hey Google」。おい、“OKはどこいった?”って思うんですけど(笑)。
【一同】:そう!いつから“Hey”になったのか!
街の至る所で見かけた巨大な「Hey Google」の広告
【太田】:いつから“Hey”になったのかわからないけど(笑)、Googleは2016年の秋に米国でGoogle Homeを出してるんですね。2017年のCESは、まだそこから2ヵ月足らずでの開催ということもあったのか、圧倒的にAlexaで、Googleなんてほとんどない状態だった。そこから1年経って、今年は行ってみたらGoogleだらけになってたと。
ただ、今年はGoogleがスポンサーになってたんですよ。ブースも出してるし、広告もいっぱい打ってるし、Googleアシスタントを入れてるブースに人も派遣してた。お金をすごい出してるのでこれだけ目立ってたという見方もできる。だから一概にGoogleがすごい伸びてるって受け取っていいのかなっていうのもちょっとあるんです。とはいえ、去年との違いで言うと、去年はAlexa、今年はGoogle。
【すずまり】:Googleがすごい追い上げようとしてるっていうことではあるよね。
【太田】:そう。Googleがお金かけて、一生懸命追いつけ追い越せってやってるんだなっていうのが今年の印象。一番大きな違いはそこかな。
あと面白かったのは、電話ボックスみたいなブースがいっぱい出てたこと。音声入力ってざわざわしてるところでは使えないじゃないですか。だからあちこちに透明の、ガチャッと開けて入るような小部屋が一杯できてた。LGなんてAlexaもGoogleアシスタントもやってるから、こっちの部屋はAlexa、こっちはGoogleアシスタントになってて別部屋。
このような小部屋が至るところで見られた
【すずまり】:今回AIテレビと車が多くて、カンファレンスとかでも印象に残ってるんだけど、Panasonicもそうだったし。LGもサムスンもそうじゃない?
【太田】:ここ数年、大きなテーマはずっとスマートホームなんですよ。でもスマートホームってそれこそサムスンが4、5年前かな、「スマートIoTやります!エコシステム作ります!」みたいなことを言ってたんです。要するにいかに他に繋がっていくか、みたいなことをやっていた。家電って、ひとつの家の中を100%自社のもので囲むのは無理だから、メーカーも製造年も違う家電製品をどうやってつなぐかという問題がある。異なるメーカー同士の家電でどうやってスマートホームを作るかみたいなことで、いろんなアライアンスが立ち上がって、こっちのチームではこういう方式でやります、こっちのチームではこうやります、って乱立してたのがこの数年間のできごと。それが、AlexaとかGoogle Homeがでてきたら、いっぺんにそれに取り込まれた感じ。
Samsungのカンファレンスで紹介されていたイメージ。We’re making it seamless connect them all.と添えられていた
【すずまり】:自分たちでやるよりもそこに乗っかったほうが早いっていうことね。
【太田】:そこに繋がってしまえ!みたいな感じになったのが去年のAlexaで、今年のGoogleもそう。それまではわりと個々にやってた。LGなんかは自分のところで、LINEで対話できる冷蔵庫とか出してたり。
【すずまり】:それIFAでみたことある!
【太田】:スマートスピーカーがポーンとでてきたら、音声をトリガーにしてみんなつなげばいいじゃんってなって、そうやってスマートスピーカーに集約されてきてるところが、この数年のCESで一番大きなイノベーションだと思う。
LGのカンファレンスで見られたイメージ
今年あまりAlexa、Alexaって聞かなかったのは、わりとそれが当たり前みたいになっちゃってるところもあるかも。ほぼAlexaにつながっちゃったみたいな。車も、3年くらい前まではAppleがやってる車のOSか、Googleがやってる車のOSか、はたまたAndroidベースかなんて言ってたのに、Alexaがでてきたらみ~んなAlexa。そういえば今年は自動運転も注目されたね。
【綿谷】:自動運転のLyft乗れた?※
(編集部注:CES 2018の会期中に運行されていた自動運転タクシー)
【太田】:全然当たらなかった。乗りたかった!
【あやの】:あれ4台しかないって言ってました。
クアルコムが掲げていた看板
【太田】:クアルコムとかIntelのところにいくと、テーマとしては一応5Gがあった上で自動運転がありました。綿谷さんはトレンドの説明イベントに出たんだよね?
【綿谷】:出ました。たしか一番最初に5Gの話をしていて、自動運転とか、そういう世界を実現させるためには5Gじゃないとだめだ、大きな容量のデータを送らないとっていうような話がありました。
【太田】:ネットワークは、そういう意味では5GとWi-Fiメッシュ。Wi-Fiメッシュっていうのはルーター1個につなぐんじゃなくて、複数のルーターを網の目のようにつないで1台のルーターのように振る舞わせるという技術。同じSSIDでアクセスポイントを切り替えていくみたいに、広いエリアをカバーする。米国とかおうち広いじゃない?だから家の隅々までWi-Fiが届かないといけないから。結局防犯カメラだなんだってネットワークが途切れると使えないから、それを動かすためにメッシュ化するっていうのが次に通信系でやろうといてることみたい。外は5G、中はWi-Fiメッシュ。
【すずまり】:太田さん的にあと印象に残ってるのは?
【太田】:ここ数年はVR、ロボティクス、ドローン。あとはいわゆるウェアラブルとか、ヘルステックみたいなものとか。大きなテーマは変わってないんだけど、モノがどんどん細分化されてる。
【綿谷】:水の中に入るドローンが登場したり、バリエーションがでてきたよね。
NASAのドローン
水中用のドローンも登場。写真はPowerVisionの製品
【すずまり】:細分化されてきたってことは、そのジャンルがある段階まで成熟したから次の段階にってことだよね。
【綿谷】:「スポーツテック」なんて言い方もはじめて聞いたよ。
【太田】:アクティビティトラッカーも、最初はヘルスケア目的だったのね。で、ヘルスケアがスポーツの運動解析みたいなところまで行き着いた一方で、ヘルスケア自体も血圧測るとか心電図とるとか、予防医学みたいなところまで進化した。
【すずまり】:日本には医者に直接データがいくなんて仕組みはないけど、米国にはあるしね。
【太田】:Appleがやろうとしてるけど、Apple Watchで常に血糖値をモニタして、それを医者に送るとか。
【綿谷】:危なくなる前に対処する。
【太田】:そうそう。心拍がちょっとズレておかしくなってきたらすぐ医者に連絡するとか。
さまざまなジャンルごとにTechの名前がついていた。写真はBabyTachゾーン
あと印象に残ってるのは……360度カメラが小型化してバリエーションが多くなっていた。去年はどっちかていうと業務用の大きいタイプが多かったんですよ。それが今年は眼鏡についてるタイプとか、とにかくカメラがちっちゃくなって身につけられるようになった。意識せずにずっと撮れるみたいな感じになってました。
前後4つのカメラを使って360°の映像を撮影するというLINKFLOW社の製品
それと、耳に入れてるだけで翻訳してくれるっていうデバイスもあった。
【すずまり】:話すだけで翻訳されて聞こえてくるやつね。スタートレックの世界みたいだよね。
【太田】:翻訳デバイスも、AlexaやGoogleアシスタントと同じで、音声認識の延長線上だと思うんだけど。日本だとソースネクストが出したポケトークとか。もともとトラビスって会社の製品なんだけど、両方でブース出してたね。
今、IndiegogoとかKickstarterを見ると、翻訳ツールめちゃくちゃ出てるんですよ。そういう意味では割と身近なものになってくるのかなって思いました。2020年の日本のオリンピックなんてみんなトランスレータ使ってるんじゃないんですかね。
翻訳機能を持ったイヤホン「Clova」
スマートスピーカーにはディスプレイが必要だった!
【太田】:スマートホームの文脈でいうと、ディスプレイ!スマートディスプレイ。LenovoとかLGも出したし、Android ThingsってIoT向けのAndroidのOSを積んだスマートスピーカーにディスプレイがついたみたいなやつとか。
【あやの】:話しかけられるの?
【太田】:写真立てみたいなやつがあって、そこに「Hey Google 今日の天気は?」って話しかけると、今なら音声で返すところを、ディスプレイに表示するのね。やっぱり音声だけだと不自由なんだよね(苦笑)。たとえば「近所のラーメン屋」って言うと、Google Homeが「何件みつかりました」って順番に読み上げてくれるんだけど、読み上げられても耳から頭に入ってこないわけよ!(笑)
Lenovoの「スマートディスプレイ」
それがディスプレイにリストで出てきたら、具体的にココって押したり、行きたい店があったら「**に行きたい」って言ったり。そのあと今度は地図で表示されるとか、基本のインターフェイスは会話とタッチなんだけど、タッチはあくまでも補助的なもの。そんな感じでやっぱりディスプレイあったほうがいいよねっていう流れになってるかな。
【すずまり】:でもそれタブレットとどう違うの?(笑)
【太田】:私もそれは思った。でもスマートフォンのGoogleアシスタントは、基本タッチ操作することを前提にやってるけど、こちらはあくまでも音声がメイン。見た方がいいときはディスプレイにも出すしタッチもできるけど、基本的なインターフェイスは声でやるっていうことみたい。まあいずれにせよ結果的に「やっぱりディスプレイもあったほうが便利だよな!」ってことかな。
綿谷が見たCES~クレジットカードも変わっていく
【すずまり】:太田さんと同じく6年目の綿谷さんはいかがですか。綿谷さんの専門分野って金融系だと思うんですけど、CESでは何を中心にいつも見てるんですか?
【綿谷】:私はね、結構ぼんやりっていうとおかしいけど、全体を見てるかな。金融関係がメインだから、CESでは特にこれを見るっていうのはないんですよ。自分の興味に従って、たとえばスマートホームがどういう風になっていくのかなって、ざっと見てる。
【太田】:今年は書き換え可能なクレジットカードが綿谷さんのメインだったんじゃない?
【あやの】:どこにあったんですか?
【綿谷】:South Hallの2階。結構大きく出してたよ。しかもカンファレンスの一番最初。ダイナミクスっていう米国の会社の製品で、要はクレジットカードなんですけど、ディスプレイがあって、通信の機能を持ってて、それがプリペイドになったり、今なら何パーセントオフとかクーポンの情報を送ったりできる。
ダイナミクスのブース。通信機能を持ち、情報を送信できるカードを展示
【太田】:私が疑問なのは、そこまでやるならなんでカードの形をしてる必要があるんだ!ってことなんだけど。
【綿谷】:それがあるのよ!従来の決済のシステムを変えなくて済むように。カードだったらお店がそのまま使えるでしょ。
【あやの】:スマホと連携じゃなくて?
【綿谷】:それ自体でできるの。
【あやの】:そしたら1枚でいいですね。ポイントカードとかもまとめられるし。
【すずまり】:でも怖くて落とせない!
【綿谷】:落としても通信で繋がってるからデータは消せるんです。
【一同】:あーなるほど。
【綿谷】:普通のクレジットカードだったら5年で1回とか変えなきゃいけないけど、中身を随時変えられるので取り替えも不要。
【太田】:使ってるうちにボロボロになっていくじゃん?
【綿谷】:まあそうだけど(笑)。 今回はそれと、あとは三井住友カードさんが2018年にセキュアなクレジットカードを出すんですよ。
【あやの】:それも書き換え可能なの?
【綿谷】:16桁のカード番号のうち、真ん中の桁が表示されてなくて、暗証番号を別途押すことで表示されるというカード。そんなカード今までCESで出てなかったんだけど、そういうのも今後は出てくるのかと。今回電子決済のカンファレンスとかもやってたし。
ダイナミクスの技術を採用した三井住友カードのクレジットカード「MAMOLEAD(マモリード)」。暗証番号を押すことで8桁の会員番号が表示され、カード機能がアクティベートする
【太田】:やっぱり、綿谷さんが一番俯瞰して見てるかもね。1個1個の製品を追いかけるよりはトレンドを見てる。
【綿谷】:なんとなく全体的にだけど。
【すずまり】:一番プレッシャーなさそう!
あやのが見たCES~ビューティテックが増えていた!
【すずまり】:あやのちゃんはどうでしたか。
【あやの】:私は今回で2度目。前回は初めてだったんで、とにかく全部見たいと思って必死に回ったら、最後はもう疲れてボロボロになって……。
【すずまり】:空港で吐いたりしたんだよね。
【あやの】:ほんとに~~~!体調崩して大変だったんです。
【太田】:ラスベガスは砂漠の中の都市ですごい乾燥してるから、みんな最初は体調崩すんだよ。私も最初1年めか2年目に、咳が止まらなくなってすごい体調崩しました。
【すずまり】:私も帰るときに風邪引いたし。
【あやの】:前回の反省を活かして、今年はモバイルフォンとビューティテック、それだけ見るっていうのを決めて行きました。ビューティテックは去年より増えてましたね!
【太田】:今年はほんとに女性向けのやつが多かったね。
【綿谷】:あれまとめて欲しいよね~。
South Plazaに出展していた中国企業のブース
エウレカパークでみつけた肌を細かく診断のできるデバイス。スキンケア系の製品が多かった
底部にスキンセンサーを内蔵し、肌のコンディションにあわせた製品を紹介するという携帯用の加湿器。顔に吹き付けて潤いを保つ
【あやの】:そう!いろんなところにバラバラにあるから大変。で、去年からビューティテックサミットっていうのをやってるので今年も見に行きました。ニュートロジーナってブランドを出しているジョンソン&ジョンソンで、肌にあてて自分の肌のコンディションを見て、アプリでおすすめのプロダクトを紹介するっていう製品があった。でも今年はあれがなかったな、スマートヘアブラシ!Nokiaとロレアルが去年出してた製品なんだけど、ブラシにマイクが内蔵されてて、摩擦の音で髪の毛のコンディションを診断するってやつがあったんです。
【太田】:Withingsが出して、Nokiaになっちゃったからかな。微妙なタイミングだったのかも。ロレアルといえば今年はUVセンサーだしてましたね。
ロレアルのUVセンサー
【あやの】:ツメに貼る奴ですよね。とにかく去年に比べるとビューティテックがすごい増えてました。会場にも女性が多かった!あと個人的に嬉しいのは、大きな展示会場だと世界中のメディアの人に会えること。海外版デジージョみたいな人達に会えて、話もできて、行ったことない国のテック情報とか聞けるのはCESのいいところかなと思う。
【太田】:それはあやのちゃんだからという説もありそうだけど(笑)。
【あやの】:私が行くとすごいよろこんでくれて。女性で取材する人ってあんまりいないみたいだった。
【太田】:去年は活動量計のブランドコラボがすごくたくさんあったけど、今年は逆に見なかったな。
【あやの】:アンダーアーマーとかありましたよね!
【太田】:あれもスポーツテックで別の場所だったのかなぁ?去年はFitbitがどこかのブランドとコラボして展示してたりとか、結構ファッションによせたアクティビティトラッカー系のものがたくさん見られたのに。
ファッションを意識したアナログ時計風のアクティビティトラッカー「MISFIT」
【あやの】:全然なかったですね。今回スマートフォンが少なかったのも印象的でした。去年はHUAWEIとかASUSがスマホの発表会やってたんですけど。
【太田】:そうそう。去年はASUSが出したのと、HUAWEIは新しいものじゃないけど、米国で売るっていうので出してたね。
【あやの】:今年は全然でさみしかった~。SONYがちょっと出したくらい。でもスタートアップでプロジェクタが内蔵されてるスマートフォンとか、キーボードがついたやつとかは見たかな。
前からすごく見たいと思ってて今回見られてよかったのは、RazerってゲーミングPCメーカーが出してるスマートフォン。めちゃくちゃかっこいいんですよ!感動しちゃいました。サンフランシスコのRazerのストアに行くと、すっごい暗いんですよ。クラブかここは?みたいな感じで、若い子が入り浸ってゲームとかしてるんです。ストリーミングできるブースがあって、ストリーミング用のウェブカムがあって、リングライトがついてて、ゲームしながらしゃべるんですね。そこで有名ゲーマーが来てイベントをやったり。今ストリーミング界はゲーム実況がすごいんです、Twitchとか。自分はもともとライブストリーミングをずっとやってきたんで、とても気になって。その独特の世界観ですごいかっこよくて、ゲーマーじゃないけどちょっと欲しくなるんですよ。
【一同】:へ~!
【すずまり】:あとはビューティ系でなにかありました? 私もビューティテックたくさん見に行きたかったんだけど、全然時間なくて意識的に行けなかったのが残念。
【あやの】:あとはマジックミラーが印象に残りました。
【太田】:あ、去年も出てたやつ!
【あやの】:中国のKONKAって家電とかスマホを出してるところの製品。スマートミラーってほかにもでてるんですけど、これが面白いのはYouTubeでメイクのチュートリアルを見ながらメイクできたりとか、音楽を流しながらできるところ。しかも開くと中が冷蔵庫になってて、化粧品を保存できるんですよ。日焼けしたあとのジェルとか高級な化粧品って、冷蔵保存しないとすぐだめになったりするんですけど、温めたり冷やしたりできる。いろいろ表示できて、開けると冷蔵庫。面白くないですか?(笑)
※【デジージョ レポート】鏡?タブレット?冷蔵庫?マルチにもほどがあるKONKAのスマートミラー
あとはオーストラリアの会社のバッテリーが入ってるポーチ。あれはすでにホテルの売店で売ってた。
4000mAhのバッテリーが内蔵されたポーチ
【綿谷】:リバーシブルだったりして気がきいてますよね。
【あやの】:いいですよね。私の友達とかみんな荷物になるっていって、バッテリー持ち歩かない子多いんですよ。
【すずまり】:私は2個とか持ち歩いちゃうけどな。
【あやの】:私も結構大きいの持ち歩くタイプなんですけど、これだとすっごい薄いんで、そんなにバッテリー気にせずにいられるんですよ。
あとは韓国のやつなんですけど、メイクアップブラシを乾燥するもの。洗ったブラシって、普通に乾かすとバリバリっと毛が開いたりしちゃう。それを、吊して乾燥してUVライトで殺菌するっていうのがあって、ゆくゆくはIoT、スマホと繋がるようになるって言ってたんですけど、それはすごい大きなブースで出してたんですよね。
【すずまり】:それはIoTで繋がってどうなるんだろう。雑菌の量が分かるとか? UVの量とか?
【太田】:その文脈で言うと、スマホと繋がったからIoTっていうものも結構多くて、それはIoTなのか?っていうのも多かったね。
【あやの】:その後どうするのっていうのありますよね。あと思ったのは、絵文字グッズ多かったです!
【一同】:絵文字?
【あやの】:絵文字のBluetoothヘッドホンとか、キャラクターグッズ。
【太田】:絵文字のキャラクターね!「emoji」っていうのがブランドみたいになってるんですよね。キャラクターブランドみたいな。うん、「 emoji」グッズめちゃくちゃ多かった。
入ったらでてこられない?スタートアップが集まるエウレカパーク
スタートアップばかりが集まる専門ゾーン「Eureka Park」
【太田】:あらためてエウレカの印象を話しますか。あ、一応説明しておくと、エウレカパークっていうスタートアップばっかり集まっているエリアがあるんですよ。ひとつひとつがちっちゃいテーブルだけ、というブースがわんさか出てるんです。
そのエウレカで、今年は国別のでっかいゾーンが目立ってました。これまでも、もともとフランスが「French Tech」と称して勢力を伸ばしていて。そのFrench Techのブースが年々でかくなってて、今年はものすごい規模だった。それに影響を受けたのかわからないですけど、国別にイスラエルとかイタリア、ポーランド、オランダ、台湾、シンガポールも出てたな。国とか地域別にアピールしてましたね。
La FRENCH TECHの看板を掲げたフランスのスタートアップ勢。年々規模が大きくなっているという
規模は大きくないものの、イスラエルの看板もカラフルで目立っていた
【あやの】:そうそう。国ごとのブースがあって、ちゃんとサインがあって。去年より全然見やすかったです。French Techは郵便局も出してましたよね。郵便局だけのブースで、そこでまたちっちゃいスタートアップとかが集まってて。
【すずまり】:リヨンとか地域でも出してましたね、フランスは。
【太田】:それらとは別にINDIEGOGOとか、クラウドファウンディング系のブースも。とにかくスタートアップは熱量が高いんでつかまると大変。なかなか抜け出せない(笑)。
INDIEGOGOの製品が直接見られたブース
【あやの】:エウレカパークは入る直前に躊躇して。去年初めて行ったときに、もう戻ってこれないって思って(笑)。
【一同】:爆笑
【すずまり】:それはどういう意味で戻ってこれないの?確かに中に入るとどこにいるかわからなくなってくるけど。
【太田】:通路自体本当に狭いしね。
【あやの】:入ったら最後、いつの間にか1日が終わってるんですよ。出たとき「あれ? 今日もう終わり?」みたいな感じでした。
【すずまり】:形をみて何の展示か分かればいいけど、センサーみたいなものだと見ただけでは分からない。でもいちいち聞いていたら時間が無い!
【綿谷】:1回つかまるとなかなか離してくれないから!
【太田】:やっぱりスタートアップは見て欲しいっていう熱量高いんで。エウレカで記憶に残ってるものってどんなものですか。
【あやの】:私はアルメニアのスタートアップが出してたラムザックっていうリュック!これは今回一押し!最初素通りしそうだったんですよ。バッグか~みたいな感じで。でも開いたら中にLEDライトがついてて、「おおっ?」と思って。開いたときに荷物が探しやすいようにって照らされてるの見て「おーすごーい!」っていって感動。しかもアルメニアのスタートアップって……アルメニア……行きたい!と思って。中にはLEDライト、ショルダーベルトにはQiが入ってるからスマホをしまったらすぐ充電。カメラもついてるから背後の不審者に気づきやすいし、SIMが入るからローミングで世界中OKで、Wi-Fiホットスポットにもなるって。さらにソーラー充電機能まで!あのリュックの非の打ち所がないような機能性に感動して、あそこに1時間くらいいた(笑)。
あやのさん激推しのアルメニアのリュック
開けるとLEDライトが中を照らす
【すずまり】:しかも防水だしね。あやのちゃんに話を聞いて、探していったんだけど、昨日来た彼女に話を聞いたって言ったら、むこうも覚えてて大喜びだったよ(笑)。
【太田】:でもSIMがどこに入るのか見せて欲しいっていったら、まだプロトタイプだから見せられないって。カラバリとか作らないのかっていったら、一応それは考えてるって言ってましたけどね。
【すずまり】:重たいかなと思って背負ってみたけど、意外とそうでもなかった。すごい端っこのブースだったから、よく見つけたなぁと感心したよ。サンコーレアモノショップっぽかった(笑)。
本当に完成したら使ってみたい
【一同】:そそそそ!
【太田】:エウレカが全体的にそうだよね。いわゆるガジェット系が多い。他にはなんかありました?
【あやの】:サウジアラビアのスタートアップで、香水をカスタマイズできるってやつありましたね。ディフューザーじゃなくて。
【太田】:そういえば香り系も多かったですね~。
【あやの】:多かった。自分で付ける香水なんですけど、ジャスミンとかムスクとかいろんな材料から、アプリで香りをブレンドできる。グルグルグルーッと攪拌して、終わったあとに瓶で出てくるんですよ。自分で好きな香りをデザインできる。
【すずまり】:サウジアラビアのパフュームってなかなか面白いね。イメージなかったわ。
【あやの】:あとは唾液を入れると妊活につかえるってやつ。自分が排卵日なのかどうかがスマホで見られるというのもありました。そういう系も多かったですよね。
【太田】:私はFrench Techのボディトルソーが面白かった。サイズを入力するとお腹が膨らんでサイズが変わるんですよ。でもエアじゃないんですよ。ウレタンとか押し出してると思うんだけど。
【綿谷】:マネキン1個で全サイズいけるみたいな。
【太田】:そう。ありそうで無かった。
【すずまり】:オーダーメイドのとき自分の体型にあわせて変わってくれたらうれしいよね。
【あやの】:エウレカパークは1日いても飽きないですね~。ちゃんと見たい。でもエウレカだけに行ってると他が見られないんですよね~。
【すずまり】:CESの魔窟、エウレカパーク……。
日本の展示はどうだった?
【すずまり】:日本の企業はどうでした?
【あやの】:ソニーのブース行きました。aiboがかわいらしかった~。
ソニーのブース
常に人だかりができていたaibo
【太田】:Panasonicが100周年記念の展示をやってたね。なんかもう家電の展示っていうんじゃなくなってて。車とか、飛行機のエンタメシステムとかもやってる。
Panasonicは100年を振り返るムービーを上映していた
あとカシオ。GPSついてて、世界初のGPS内蔵&ソーラーで駆動する新しいG-SHOCKがあった。GPS内蔵なのに充電必要ないの。すごくないですか?究極のアウトドアというか、いざとというときのエマージェンシーツール。ほんと山とかでさ、全然電波もなんにも繋がらないとかでも、一応自分の位置は確認できるっていうのすごくない?とりあえず迷子にはぜったいならないっていう。
【綿谷】:それいいね~!
カシオのブース
【太田】:電波がなくても自分の歩いた道が全部記録されるから、山の中をあるいてても記録される。世界初。ちょっと大きくて、結構ごつい感じではあるけどG-SHOCKのブランドで出る。カシオ、去年はAndroidを搭載したスマートウォッチを出してたし、なんだかんだで毎年がんばって出展してるんですよ。CESにあわせてるんですか?って聞いたら、別にそういうわけではないって言ってたけど。毎年結構大きなブースを出してるし、日本のメーカーだとカシオは頑張ってるなって思います。
GPSを内蔵し、ソーラー充電が可能なG-SHOCK
【すずまり】:太田さんは日本の、JAPAN TECH※に関してはいろいろ思うところがあると思うんです。世界における日本のポジションについてとか。
(編集部注:CESへの単独出展に高いハードルを感じる企業を募集し、共同ブースで出展していた)
【太田】:JAPAN TECHは、JAPAN TECHとしてCESに出展したのは今年初めてだったんですって。そのブースがなんとSouth Plazaっていう、巨大な長いテントみたいなゾーンの一番奥だったのね。テントが巨大すぎて、縦に長すぎて、入口から見ると一番奥はかすんでるくらい遠いの。South Plazaに出展してたのは台湾、中国、韓国みたいな感じで、全体としてアジアテックみたいな感じのところだったんだけど、その本当に一番奥だった。
こちらがSouth Plaza。ちなみに入口は写真の右手側になる
【綿谷】:JAPAN TECHは遠かったねぇ。最終日にすずまりさんと行ったんだけど、これまじかっていうくらい遠かった!
【太田】:なぜそうなったのかをエウレカにいたJETRO(日本貿易振興機構)の人に聞いたわけですよ。なんであんな遠くになったんですかって。タイミングの問題で国内で足並みがそろわなかったり、出展条件がかなり厳しくて、それも過去の出展実績がものをいうから初めてだと厳しかったり、相手側の交渉窓口の担当者が変わってしまって交渉が難しくなったり、お金がどこからもでない状況だったりと、いろいろあったみたいですね。日本はとにかく物作りのスタートアップの数がそもそも少ないから、その要件にあうところでやると、規模を確保できないとかいう話を聞きました。
JAPAN TECHブースの様子
【すずまり】:本当にどん詰まりだったので、日本人としてはちょっと悲しくなった。はじめて現実をみた感じ。ああいうところに行ってみないと見えないよね。世界のそういうスタートアップが集まる場所で、日本がどういうポジションにいるかっていうか。規模とか勢いみたいな。
【太田】:一方でTumugさんみたいに、Cerevoさんと一緒に自分たちで出すみたいなところもあって、それはそれで日本にもいいスタートアップがいっぱいいるみたいな感じではあったんですけど。難しいよね。国としてやるのがいいのか。それぞれもっと小さい単位がいいのかは分からないけど。出展する側にもいろんなしがらみがあるんだろうけど、今年はじめて日本として出したというわりにはそういう扱いだったから、ちょっと寂しかったっていうのはあるね。
それと、私も初めてCESに行ったときに一番衝撃を受けたのって、日本の名だたる企業のブースがすごく小さかったこと。そのときにはじめて日本のメーカーってこういうポジションなんだっていうのを知った。そしたらいつのまにか日本のブースは出展すらしなくなって。そうこうしているうちに去年からLVCCのCentral HallにHUAWEIがやってきた。その前まではSouth Hallだったんですよ。そういうメーカーの栄枯盛衰も如実に見えますね。
Central Hallにブースを構えるHUAWEI。その勢いは止まらない
【あやの】:車はいつからなんですか。トヨタとか。
【太田】:車は私たちが行き始めたときはもうあったよね。でも、それこそiPhoneのケースとかと一緒だったんですよ。
【すずまり】:えー!iPhoneケースと一緒とか今は信じられない(笑)。
【太田】:もともと車はNorth Hallの一部がそうだったんだけど、だんだんスペースがでかくなってきて、今はもう全部車になった。今年なんかもうモーターショウかっていうくらいでした。ちょうどその前に東京モーターショーがあってからのCESだったから、アップデートされてるものって少なかったですけど。日本の展示はモーターショーで出たものがほぼ出てたって感じ。新しいのは自動運転くらいかな。
North HallのHONDAブースの一部
North HallのTOYOTAブース
North HallのNISSANブース。自動車の展示会のよう
すずまりさんは全体を見てどうだったんですか。感想というか、それこそ私がいったような日本のメーカーについてとか。
【すずまり】:ヘルスケアを意識して見ていたせいもあるけど、印象に残ってるのはオムロンかな。例の卓球マシンが進化していた!
【太田】:オムロンは今回出してましたね。ヘルスケアのブースも出していたし。
【すずまり】:そうそう。本体は卓球ロボットが大盛況だったし、オムロンヘルスケアではウェアラブルの血圧計に注目が集まってましたね。あの卓球ロボットは4代目だそうで。人間を打ち負かしてやろうというんじゃなくて、相手の下手さに合わせてうまくラリーが繋がるように、AIを搭載して進化していました。
オムロンのブース
4世代目だという卓球ロボット「フォルフェウス」。AI機能により相手のレベルにあわせてラリーが続くよう配慮してくれるという
オムロンヘルスケアでは、腕時計サイズまでの小型化に成功した、ウェアラブル血圧計のプロトタイプを展示
日本人だから分かるっていうのもあるかもしれないけど、日本のメーカーは規模は小さいけど、1個1個みると分かりやすくて面白い製品が多いと思いました。傾けたり乾杯したりすると光るガラスの枡もそうだし、ある程度製品化できてて形になってて、話を聞くとなるほどねって思えるものが多かった気がする。Tumugさんのコネクティッド・ロック「TiNK」なんて、面白かった。デジタルだから彼氏と別れた瞬間、キーをぴっと消したりね!
【一同】:爆笑
【すずまり】:彼氏閉め出してバーン!とドア閉じて、即鍵消しておわり!って 面白かったんだよ。なるほど!これがデジタルのメリットだ!って(笑)。
【一同】:(笑)
Tumugのコネクティッド・ロック「TiNK」。リアルなプロモーションムービーがよかった
【太田】:初日にやったプレス向けの説明会のやつね。そこでTumugが流してたプロモーションビデオがすごい現実的で面白くて分かりやすかったの。
【すずまり】:ああいうのいいよね。 説明受けて見せて貰ったけど、みなさんいずれも切り口が面白いじゃない。1個1個はわりと分かりやすかったと思う。
【太田】:日本メディアとしての欲目は入ってると思いますけど(笑)、日本のスタートアップ、頑張ってるなっていうのは同感。
【すずまり】:だから逆に、もうちょっと目立つところにしてあげたい!
【太田】:これまでは日本のスタートアップをゆっくりみる時間がなかったので、まとまってくれてたおかげで、今年は見やすかったっていうのはある。
【綿谷】:次は目立つところで派手にやってほしいよね。
男性目線で作ったスマートルームディフューザー「Scentee Machina」。オリジナルのフレグランスも用意されるという
傾けたり乾杯したりすると色が変わる「升・グラス」
振動に反応して、まるでペットのように尻尾がうごく癒やし系しっぽクッション「Qoobo」
今年のトレンドは? VRは体験の共有から普及へ?
【太田】:今年これがくる!みたいなのを予想する?
【あやの】:きて欲しいな!て思うのは、やっぱいビューティッテック。日本でももっと盛り上がってほしい。レディーテックっていうのはあったので、女性向けのテクノロジーがもっと活発になったら、業界で働く女性ももっと楽しくなるし。
【太田】:そうね。デジージョの数が増えるしね。
【綿谷】:これまでは忙しい家事を楽にする、とかあったけど、忙しい中でも美しくできるっていうのはね、なかなかまだないよね。
【すずまり】:そもそも、忙しさは変わらないんだよね。スマホとかパソコンとかの登場で楽になるかと思いきや、さらに忙しくなった。逆に休む暇がなくなったっていう。
【一同】:そうそう。
【あやの】:忙しい中でももっと綺麗に!
【綿谷】:効率よく綺麗になりたい! パッとみて「あら肌乾燥してるわ」と思ったら化粧水シャー!とか(笑)。
【すずまり】:メイクもパッと!昔映画であったよね。ブルース・ウィリスの……
【あやの】:フィフス・エレメント!ミラ・ジョボビッチがシャネルのアイシャドウやるの。
【綿谷】:そういうのあったらいいなぁ!
【すずまり】:過去のイベントでも出てたけど、ネイルプリンタ。スマホの写真をネイルにできるやつとか。
【綿谷】:もっと一般的な価格で、家庭でできるようになればね。
好きな写真をジェルネイルにできるというモバイルネイルプリンター
【あやの】:ビューティーテックが盛り上がれば、日本のメーカーもすごい盛り上がるんじゃないかなって思って。美容家電はPanasonicさんがさらに頑張ってくれるとかね。
【一同】:そうそうそうそう!
【あやの】:資生堂は世界的にも人気だから、そういう化粧品会社とコラボしたようなものがあればいいなぁ。そういうのが増えてくれたら女性はもっと興味を持ってくれる。
Alexaと繋がるKOHLERのミラー。このようなコネクティッドなビューティテック製品が増える!?
【太田】:スマートディスプレイは早々に日本に来ますよ。スピーカー使ってるとやっぱりストレス溜まるところあるじゃない。さっきの、リストで言われても!みたいな。それはディスプレイに欲求がやっぱ揺り戻すから、スマートディスプレイは早々に来て、日本ですぐ発売になると思います。
あとは身につける360度カメラは、割と今年くるんじゃないかなと思いましたけどね。それを何で見るかというとVRで見る。VRはもうスマホでもなくて、スタンドアロンのヘッドセットになってきてるから。
【綿谷】:360度カメラで撮って、一般の人は何に使うのかなって。
【太田】:今SNSで中継するのってだいぶ浸透してきてるじゃない。だからそれを360度中継するんじゃないかな。
【綿谷】:でも、後ろまでいる?って話にならない?
【太田】:今の自分の場所を見せたいとか。
【あやの】:あとこういう座談会型式とか。
【綿谷】:なるほど。確かにこれはありだね。うん。
【あやの】:お気に入りの人だけ見たいとか。アイドルの配信とか、360度を見てる方もその場にいける。
【綿谷】:ライブとかは分かるけど、一般化するかなあとか思って。
【あやの】:コンテンツがまだないよね。
【すずまり】:特に女性はよほど見たいものがないとわざわざゴーグルつけて見ないと思う。すげーイケメンで筋肉質な人がいるとかなら違うかな(笑)。
【太田】:JAPAN TECHで、VRだけど香りがするっていうのがあったけど、VRはよりいろんな感覚がリアルに感じるように進化するんじゃないかな。それこそCerevoが出してた、歩いた触感みたいなやつとか。触感のインターフェイスは、VRとセットでいろいろ出てくる。それってもうビデオとかといっしょで、アダルトのやつってすごい進化が早いじゃないですか(笑)。 VRはそっち系ですごい進化するんじゃないかなって思う。
楽しみたいコンテンツごとに香りのカートリッジを取り付けると、シーンに応じてふっと香るデバイス「VAQSO」
【すずまり】:触感系と臭い系は全部アダルトに集約されていって……その辺は我々の知らないところでどんどん進化するんだろうね。
【太田】:あと、いままでのVRって個人でしか楽しめないじゃない?共有ができないから普及しないというか。ひとりでしか楽しめない。共有するっていうのは今年のテーマなんですよ。もうYouTubeが、VRの中でシェアできる、一緒にYouTubeの同じコンテンツを見られるというのをやるし、VRのヘッドマウントディスプレイ作ってるOculus社の親会社がFacebookだけど、Facebookも出してるんです、そういうの。アバターとして一緒にその場所に行って、パーティとかして、VRで一緒に体験できるっていうやつ。
【あやの】:セカンドライフみたいな?
【一同】:なつかしい!
【太田】:そう。セカンドライフのVR版みたいなもの。共有がどんどんできるようになってくると、もっと普及するのかなと思います。去年くらいからずっと言われてるんですが。ひとりで見るだけだと長時間は飽きちゃうし。でも一緒にみるとか、楽しむとか、空間をシェアするみたいなのがバーチャルでできるようになってくるのがたぶん今年。ハードウェアが高価だとなかなか難しいけど、最近のヘッドマウントディスプレイの中には、ある程度空間を動いたりできるようなことがスタンドアロンででてきて、しかも価格もそんな高くないものも出てきた。おそらくスマホを買うより安い金額で買えるとなると、普及するだろうと。
Lenovoのヘッドマウントディスプレイ「Mirage Solo with Daydream」は、スマートフォンを使わずに単体で利用できる
【あやの】:そしたらコンテンツは日本の出番かもしれませんね!
【太田】:私もそう思うんですよ。日本のコンテンツメーカーとかが結構活躍できる。ゲーセンに行く意味っていうのは、みんなで遊べるっていうのがあるわけ。ただし5分くらいしか共有できない。でもそれが家で、スマホもいらなくて、スタンドアロンで安くできたら、もっと広がるんじゃないかと思う。参加したり中継したり、みんなと手軽にシェアしたりする感じになってきたら、たぶんもうちょっと普及すると思うんですけどね。
【すずまり】:でもまだまだVRはゲーマーのためのものってイメージあるなぁ。
【太田】:今のところはね。そうだよね
【あやの】:あとは介護用とか外に出歩けない人向けにVRがもうちょっと使えるといいかな。これが欲しいあれが欲しいっていうのをベッドの上から頼むとか。
【太田】:「それそれそれ!そのトマト買って!」とかね。
【あやの】:スリープテックは流行しますか。
【すずまり】:睡眠はかなり注目を集めてきてるし、はやって欲しいなって気はするけど。ただ睡眠系は機械化するのが難しい。眠れないっていう状況自体が、病的なものなのかストレスなのか、それこそ単に寝不足なのか人によって違うから、単にあるものを使ったからハイ眠れました!みたいなそういうことが起こりにくい。それこそ未病じゃないけど、そうならないようにするための予防みたいなライフスタイルをもうちょっとよくする的な方向もないとなかなか難しいと思う。来年行ったとき、スリープテックゾーンにもうちょっと具体的な、その発想はなかった!みたいなものがあると嬉しい。
【あやの】:眠れないことが多いから、スマホ触ってても眠れるようになりたーい!
【すずまり】:こら(笑)。
【太田】:まあそんな感じでCESはオールマイティにカバーされてるよね。
【すずまり】:人によって見るものが全然違いますもんねぇ。当然どこにフォーカスしてるかで感想も違ってくるし。この座談会も、来年はもっとテーマを絞り込んでいったほうがいいかなって思っているところです。なんせ会場間をシャトルバスが走るほど広いので……。
LVCCからベネチアンに向かうシャトルバスを待つ列
すずまり