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「疾患リスクの予測」「“あまおう”のブランド力向上」成果が見え始めたAI、IoT活用

2018-03-15 12:18:31
 東京・お台場では3月12日から3日間、国内のロボティクスに関連する最先端の研究成果が集まるイベント「Science Robotics Meeting in Japan 2018」が開催された。会場で見つけた展示を振り返ってみよう。

体の健康度チェック・疾患リスク回避を実現する「AXiRエンジン」
 アクシオンリサーチはAIやディープラーニングの技術を活かして得た人間の健康状態のデータを元に、健康度・疾病リスクの予測推定を行う「AXiRエンジン」の開発を進める2016年に設立された国内のベンチャー企業だ。

 AXiRエンジンは健康であり、病気ではない「未病」の状態でも自身の体の状態を的確に把握することで、健康な状態を可能な限り自分自身で管理・維持するためのソリューションだ。同社では現在、日本で国の医療費負担が膨らみ続けていることに着目。健康状態のバランスを、可能な限りセルフチェックできるツールを提供することで医療費負担の拡大を抑える狙いがある。

体調のセルフチェックを可能にする「AXiRエンジン」

 サンプルとなる元のデータが少なかったとしても、ディープラーニングの技術を使って知識ベースによる統計処理モデルや相関推定モデルとAIエンジンの協調を図ることで、点と点のデータの間にある予測値を細かく導き出して疾病を回避するための知見を提供できるところが大きな特徴。

自律神経のチェッカーと連動して得たデータをウェアラブル機器などに活かせるようになるかもしれない

 同社では今年の初夏頃に向けてAXiRエンジンの外部提供に向けた準備を整えて、企業や大学、研究施設にパートナーシップを働きかけていくという。今回のイベントに出展したことによる引き合いも多く得られたと担当者が語っていた。

多様なニーズにカスタマイズ可能な富士通の「ロボピン」
 富士通は出展社の中では最もオーソドックスなタイプの自社開発によるロボット「ロボピン」を展示した。Googleマップに表示される“ピン”をイメージして、人とデータの仲介人としての役割を持たせたロボットであるという。

富士通が開発した「ロボピン」

3台のロボピンがパフォーマンスを披露した

 プレーンな状態で提供されるロボピンにはマイクや顔認識センサーなどのデバイスや、クラウド連携によるAIアシスタント、自然言語でのボイスインタラクションなどのサービスが顧客のニーズに合わせてカスタマイズしながら柔軟に組み込める。またそれぞれのニーズを受けて全体のソリューションを作り込んで提供できるところに富士通の強みをアピールしていく考えだ。このロボピンは今春にデビューを予定している。当初は企業の受付ロボットとして活躍しながら、採用者の要望をを受けてさらにブラッシュアップを図っていく。

IoTの技術により農作物の安定供給・品質向上を実現する「e-kakashi」
 PSソリューションズはソフトバンクが資本を100%出資する子会社で、2010年に設立された。2015年秋に国内の営農支援を行う自治体・農業協同組合や企業に向けて農業用のIoTサービス「e-kakashi」を発表、販売を開始した。

PSソリューションズが開発・販売する農業用のIoTサービス「e-kakashi」

 国内の農業現場は長年、人材の高齢化やなり手の不足、そして地球規模での気候変動など多くの困難な課題に立ち向かってきた。生産人口が減少しながらもなお、安定的に農作物を生産するための仕組み作りにITテクノロジーの導入が期待されてきたが、ベテランの農耕家たちが勘と経験を頼りに培ってきた知見と、最先端のITテクノロジーによる融合がなかなか実を結ぶことがなかった。

 「e-kakashi」は両者の間にまたがる“架け橋”となるためにスタートしたサービスだ。その誕生から研究・開発を続けてきた「e-kakashi」では、IoTデバイスから得た生産データを、農業のスペシャリストの目線から適切に解析して、農耕家が必要とするデータを可視化・シェアできる環境を作り出すことを使命としてきた。同社は、社内に農業専門の情報処理分野の知識と経験に長けた優秀な人材を集めているという。

 サービスのコアとなるデバイスは、今回のイベント会場にも展示されていたターミナル端末と、これに連動する多種多様な農耕用センサーだ。ターミナルの背面側端子に、温湿度/CO2/土壌水分/多点温度サーミスタなど用途に合わせてセンシングデバイスを装着。畑の散水機器や農水路のゲート部分など要所であり、農作物の成長を正しく把握できる数箇所のポイントに設置して、定期的に取得されたデータから農作物の生育を監視する。

“あまおう”のブランド力向上に寄与
 ローンチから2年あまりを経て、国内約300箇所を超える農作地に採用を広げてきた。その中でも特に代表的な事例を挙げるとすれば、福岡県のJAむなかた(宗像市)を中心に生産されているブランド苺の“あまおう”の産地がe-kakashiのパートナーだ。甘くて美味しい苺の生産を量・品質ともに安定させることが可能になるだけでなく、良質な農作物を収穫するためのベテランの知見が目に見えるかたちでデータ化できるようになることで、共にあまおうを生産するグループ内の農家全体のスキルアップが図れる。引いてはあまおうのブランド力向上や、供給能力が上がることによる認知拡大の成果も生まれる。

ビニルハウスによる栽培をAIで管理する自動化システムも開発中

 PSソリューションズではe-kakashiのシステムをさらに拡張する新たな技術開発にも力を入れている。その一例としてイベントではビニルハウスの自動化管理システムが紹介されていた。1棟あたりの管理・メンテナンスに多大な労力が必要とされるビニルハウスをネットワークにつないで自動化することにより、昼夜を問わず管理の目を光らせる必要のあった液肥の供給や散水などが遠隔操作、あるいはビッグデータ解析に基づいた自動コントロールまで可能になり、農耕家に生産性を向上させるためのゆとりが生まれる。同社では6月頃以降に新しいサービスの提供開始を予定している。


※無人レジ、無人ストアが増えていく?店頭に食い込むAI・センサーの先端技術
山本 敦

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