ライカレンズを搭載したSIMフリースマホで人気を集めるファーウェイが、現地時間3月27日、パリのGrand Palais(グラン・パレ)で、新フラッグシップモデル「P20 Pro」と「P20」を発表しました。P20 Proは世界で初めてライカのトリプルレンズカメラを搭載しています。発表会の様子とカメラのファーストインプレッションをお伝えします。
パリで開催されたファーウェイのグローバル発表
P20 ProとP20の発表会は、1900年のパリ万国博覧会のために建てられた展覧会場、グラン・パレでおこなわれました。こうした発表会では珍しく、ガラスの天井から自然光が入る明るい会場でプレゼンテーションとタッチ&トライがおこなわれました。
パリ8区にある展覧会場「グラン・パレ」
天井から自然光が入る明るい会場でした
プレゼンテーションではいつものように、ファーウェイ コンシューマービジネスグループのCEO、リチャード・ユー氏が登場。まずは、ファーウェイの実績を紹介ました。2017年のスマホ販売台数では世界第3位。研究開発に対する投資額は世界の著名企業と肩を並べ、ブランドの評価も年々向上しています。日本ではヨドバシカメラ マルチメディアAkibaに日本初となる「ファーウェイ・ショップ」をオープンしましたが、グローバルでもショップ数を大幅に増やしており、写真の撮り方教室や子ども向けのプログラムなどを開催。一流のスマホメーカーであることをアピールしました。
HUAWEIコンシューマー・ビジネス・グループのCEO、リチャード・ユー氏が登壇
2017年のスマートフォンの販売台数で世界第3位
研究開発費では世界第6位
また、ブランドロゴが刷新されました。従来の丸みを帯びた書体が変更されて、すっきりとした印象の書体になっています。
ロゴが新しくなりました
さらに、ヨーロッパの携帯電話会社との強い信頼関係をアピール。Orange、Vodafone、Telefonica、T-mobileという大手4社のエクゼクティブがビデオメッセージを寄せました。残念ながらファーウェイはアメリカではセキュリティ面で問題視され、アメリカの携帯電話会社に自社のスマートフォンを納入するに至っていませんが、ヨーロッパやアジアでは広く受け入れられています。日本でもauが「nova 2」を販売する際に注目を集めました。使いやすく、故障が少ないファーウェイ端末は、家電量販店での評価も高いといわれています。
ヨーロッパの大手携帯電話会社4社のエグゼクティブがビデオメッセージを寄せました
スリムなボディに大画面ディスプレイと大容量バッテリーを搭載
グローバルで支持されているファーウェイ端末。高機能モデルから価格を抑えたローエンドモデルまで、非常に幅広いラインアップがそろっていますが、フラッグシップとして位置づけられているのが、「P」シリーズと「Mate」シリーズです。Pシリーズは高いカメラ性能とスリムでスタイリッシュなデザインが特徴です。
高評価を得ている歴代のPシリーズ
最初にライカのダブルレンズカメラを搭載したのが「P9」でした
さて、今回発表された「P20/P20 Pro」ですが、外観ではノッチのある大画面ディスプレイとすっきりシンプルな背面、角を落とした手になじむフォルムが目を引きます。同様の大画面ディスプレイを搭載するGalaxy S9/S9+やiPhone Xと比較しながら、P20/P20 Proの特徴が紹介されました。
P20/P20 Proは、AIによる革新的なカメラ機能が特徴です
ノッチのある大画面ディスプレイとシンプルな背面。側面は角が落とされて手になじみます
カメラを意識したデザインを採用。グラデーションが美しいこのカラーはTwilightと名付けられています
P20/P20 Proのカラーバリエは同じ4色
ディスプレイは、P20が5.8インチ液晶、P20 Proは6.1インチの有機ELを採用しています
P20は、Galaxy S9やiPhone Xと同じ画面サイズながら面積が大きいとアピール。ノッチの小ささによるものです
指紋センサーはディスプレイの下に配置。P10シリーズ同様、ナビゲーションキーとしても使えます
周囲の環境によって画面のトーンを変えて見やすくするNatural Tone Displayを採用しました
P20は3400mAh、P20 Proはなんと4000mAhのバッテリーを搭載。それにも関わらず本体は薄く仕上がっています
P20 ProはIP67の防水防塵性能を備えています
カメラ性能の高さを猛烈アピール!
プレゼンテーションでは、半分以上の時間がカメラの説明に費やされました。ことあるごとにGalaxy S9/S9+、iPhone Xとの比較写真を示し、カメラのスコア付けとレビューをおこなっている「DxOMark」のスコアでそれらを抜いたことが紹介されました。カメラに対する思い入れの強さが分かるプレゼンテーションでした。
P20には新しいライカのデュアルカメラが搭載されます。映像素子が1.55μmに大きくなり、暗い場所で、より明るい写真が撮れるようになったといいます。また、フロントカメラは2400万画素の高画素カメラ。逆光でもきれいに撮れ、定評あるビューティモードも健在です。
Galaxy S9+、iPhone Xよりも大きなセンサーを採用し、暗い場所でもきれいな写真が撮れるとアピール
逆光でもきれいにセルフィーが撮れます
iPhone Xライクな「3D Portrait Lighting」も用意
DxOMarkでGalaxy S9+を抜くスコアをマーク
P20 ProはP20よりもさらにハイスペックで、ライカのトリプルレンズカメラを搭載します。2000万画素のモノクロセンサーに加え、4000万画素のカラーセンサー、800万画素のセンサーは3倍望遠レンズという構成。カラーセンサーのサイズはP20よりも大きく、3倍望遠レンズ(VARIO-SUMMILUX-H 1:1.6-2.4/27-80ASPH)は、画像劣化を抑えた5倍までのハイブリッドズームが可能です。また、より美しく色を再現するための色温度センサーも備えています。さらに、高感度イメージセンサーによって、ISO102400までの高感度な撮影が可能。タッチ&トライ会場には、暗闇の中で撮影できる環境が用意されていましたが、実際に目で見るよりもきれいな色合いで撮影できるほどでした。
P20 Proの背面。3つのレンズと色温度センサーなどが配置されています
P20 Proのレンズ構成。一番端(本体上部)にあるのが望遠レンズ、中央が4000万画素のカラーレンズ、下が2000万画素のモノクロレンズ
P20 ProはiPhone XやGalaxy S9+よりも大きな1/1.7インチカラーセンサーを搭載。P20は1/2.3インチ。コンデジ並みの大きさです
ISO102400はデジタル一眼レフカメラ並みの高感度
1ルクスの環境でも撮影できます
P20 Proは3倍の光学ズーム、5倍のハイブリッドズーム、10倍のデジタルズームが可能
オートフォーカスも進化。動く被写体に簡単にピントをあわせることができます
XperiaやGalaxyのような、秒間960コマのスーパースローモーションの撮影も可能になりました
P20 ProのDxOMarkスコア。P20を大きく上回っています
AIが写真撮影をアシスト
ファーウェイは、「Mate 10 Pro」でAI専用プロセッサを搭載したチップセットを採用しましたが、P20/P20 Proもそれと同じ「Kirin 970」を搭載しています。カメラでもAIの恩恵を受けられます。
例えば、普通の「写真」モードでカメラを被写体に向けるだけで、文字、夜間、フードなど19種類のカテゴリで500種類以上のシナリオを自動的に判断。写真モードとカメラ設定を選択してくれます。また、強力な手ブレ補正機能「HUAWEI AIS(AI Image Stabilization)」によって、夜間撮影も手持ちで本当にきれいな写真が撮れます。この補正は機械学習によって、より精度の高いものになっていくそうです。
カメラを被写体に向けるだけで、自動的に最適なモードに設定されます
食べ物にカメラを向けると「フード」モードに
三脚などを使わず、手持ちで夜景を撮ってもブレない写真になります
真っ暗闇の風景もこんなにきれいに撮れるそうです。Galaxy S9+との比較
プロのファッションフォトグラファー、Mel Blesさんが登壇。P20/P20 Proを使って撮った自身の写真を披露しながら、カメラ性能を高く評価しました
もちろん基本性能もハイスペック
P20/P20 Proの魅力はカメラだけではありません。Kirin 970のパフォーマンスは高く、バッテリーは大容量で長持ち。独自の高速充電「HUAWEI SuperCharge」で30分で58%までの充電が可能です。AIによって、通話時のノイズも軽減します。また、Googleとの強力なパートナーシップによって、GoogleアシスタントがP20/P20 Pro用にカスタマイズされているほか、高度なAR機能を実現するGoogleのARプラットフォーム「ARCore」をいち早くサポートしています。
顔認証への対応や、ファーウェイ端末とパソコンやMac間でファイルをやり取りできる「HUAWEI Share 2.0」の転送速度が96Mbpsまでアップしたこと、モニターと端末をケーブル1本でつなぐだけで、パソコンのように使える「PCモード」に対応していること、HWA(Hi-Res Wireless Audio)に対応していること、Dolby Atmosを搭載していることなどが紹介されました。デュアル4G&デュアルVoLTEのデュアルSIMにも対応します。
Googleアシスタントから音声でカメラを起動し、写真が撮れます
発表会ではポルシェのARアプリが紹介され、クルマのさまざまな部分をチェックしたり、ユーCEOがアプリ内でポルシェと記念撮影をしたりするデモがおこなわれました
さまざまなケースや完全ワイヤレスイヤフォンの「FreeBuds」、ライト付きのセルフィースティックなども紹介されました
ポルシェデザインの「Mate RS」も発表
同時に、ポルシェデザインとコラボレートした「PORSCHE DESIGN HUAWEI Mate RS」も発表されました。日本での取り扱いはありませんでしたが、ファーウェイは過去、「Mate 10」でもポルシェデザインバージョンを出しています。
ポルシェデザインとコラボレートした「PORSCHE DESIGN HUAWEI Mate RS」
Mate RSは、P20 Proと同様にライカトリプルカメラを搭載。また、端末が高温になりすぎないために、航空宇宙冷却技術であるマイクロカプセルPCMを、スマホとして世界で初めて搭載しました。さらに、Mate RSは背面のほか、ディスプレイ内に指紋認証センサーを搭載しています。曲面スクリーンの6インチ有機ELディスプレイを採用し、カラーはブラックとレッドの2色です。
背面に加え、ディスプレイ内にも指紋センサーを搭載しています。タッチ&トライでは試せませんでしたが、指をディスプレイ上にかざすことで画面をロックできるようです
10Wのワイヤレス急速充電に対応します
最後に価格が発表されました。P20は649ユーロで、P20 Proは899ユーロです。また、Mate RSは高額で、ストレージが256GBモデルが1695ユーロ、512GBモデルが2095ユーロです。いずれも日本での発売は言及されていませんが、P10/P10 Plusが販売されていることを考えると、P20/P20 Proは投入されそうです。期待しましょう!
P20 Pro。このカラーはPinkGold
トリプルレンズですが、すっきりとまとまったデザインになっています
左からP10、Mate 10 Pro、P20 Pro
こちらはP20。カラーはブラック
PORSCHE DESIGN HUAWEI Mate RS。曲面と真紅のカラーがきれいでした
評価機のP20 Proで食べ物やパリの町並みをいくつか撮影してみました。夜景はすべて手持ちです。恐ろしいほどブレていません。夜景の撮影が楽しいスマホだと感じました
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房野 麻子