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9.7インチ新iPadを仕事の現場で試してみた!ライターとデザイナーの場合

2018-04-18 17:15:03
 3月末にアップルが第6世代の新しい9.7インチiPadを発売した。これまでは上位のiPad Proシリーズだけが対応していたアップル独自のスタイラスペン・Apple Pencilに、「37,800円(税別)~」という手頃な価格で買えるiPadが対応したことで多くの人々のクリエイティビティが刺激されるだろう。

 前回の記事では、新しいiPadが「仕事に使えるのか」、主にiPad Proとのスペック比較をしながら検証した。今回は、新しい9.7インチのiPadがプロのワーキングスタイルを革新するツールになり得るのか、iPad Proを使ってきたライターとグラフィックデザイナーが実際にそれぞれの仕事の現場で試してみた。

Apple Pencilに対応した新しい9.7インチiPadをライターとデザイナーが試した

取材メモや校正作業にiPadとApple Pencilが大活躍
 まずははじめに筆者がライター兼編集者のプロの端くれとして、新しい9.7インチiPadを試用したインプレッションから報告したい。

 筆者はふだん9.7インチのiPad ProにSmart Keyboardを装着して、取材先でApple Pencilを使ってメモを取ったり、原稿の下書きをまとめる作業に活用している。キーボードのタイピングに慣れてからはiPadで最後まで原稿を書き切れるようになった。

 新しい9.7インチiPadは軽快なポータビリティについては文句なしだ。iPad Proからほんのわずかに厚みと質量が変わっているものの、片手で持ちながらApple Pencilでメモを取っていても違和感はまったく感じない。

 iPadの液晶にはバックライトが搭載されているので、うす暗い会場で実施される発表会で何の苦もなくメモを取れる。紙のノートやE-INKを使った電子文具との違いだ。Apple Pencilは感度がよいスタイラスペンなので、走り書きに対する追随性能も高い。その点で新しいiPadがiPad Proに対して劣るところはないと思う。パネルの構造が異なっているためか、iPad ProはApple Pencilで画面をたたくと“ポスッ、ポスッ”という音が鳴る。一方、新しいiPadの場合は“コツ、コツ”という音が返ってくる。iPad ProとApple Pencilの組み合わせをずっと使い込んでいた方は気が付くと思うし、最初は耳慣れないかもしれないが、使い込めば気にならなくなる。

発表会の会場にて。客席側が暗転してしまうと紙とペンによるメモが取りづらくなるが、iPadとApple Pencilがあればこの通り

 雑誌のページを校正する時には、iPad ProでPDFファイルを読み込んでApple Pencilで赤字を入れて素速く返せるようになったので、ずいぶんと仕事が楽になった。筆者がiPadを手に入れて最も満足しているポイントだ。この作業に関しては12.9インチのiPad Proを選んでもよかったように感じている。

 新しいiPadでPDFファイルを開いてApple Pencilで赤字を入れてみた。iPad Proと新しいiPadはディスプレイの仕様が若干異なっている。iPad Proにはタッチセンサーとカバーガラス、液晶パネルが一体化しているフルラミネーションディスプレイが搭載されているので、Apple Pencilのペン先と描画位置のズレが非常に少なく、紙にペンで書くような感覚と変わらないほどだ。

PDFのテキスト校正はもはやiPadとApple Pencilの組み合わせなしには捗らない作業になってしまった

 一方で新しい9.7インチiPadにはフルラミネーションディスプレイが搭載されていないので、ペン先が触れている画面を斜めからのぞき込むとiPad Proよりもわずかにギャップがあることが目で見てわかる。白いキャンパスにフリーハンドで文字を書いている時にはさほど気にならなかったが、細かなテキストが並ぶPDFの文書にペン先を当てて校正記号を書き込む時に、ほんのわずかな視差ズレを感じることもあった。この点ではさすがに上位モデルのiPad Proに軍配が上がったように思う。ただ、この場合もPDFファイルの方を拡大表示すれば狙った箇所にテキストや記号が難なく描き込めるので、新しいiPadが校正作業の頼もしい戦力になってくれることに変わりはない。

最適なキーボードについてはもうしばらく吟味しようか
 キーボードについては新しい9.7インチiPadでSmart Keyboardが使用できないので、サードパーティーのBluetoothキーボードでフィットするものを探すことになる。Smart Keyboardによるスムーズなタイピング感と充電不要の手軽さに慣れてしまうとなかなか「これがベスト」という解に辿り着くことが難しい。

 取り急ぎ家電量販店に足を運んで探してみたところ、新しい9.7インチのiPadでも使えるBluetoothキーボードにはベルキンの「QODE Ultimate Liteキーボードケース」、ロジクールの「SLIM FOLIO」があるようだ。インターネットで検索すると第5世代の9.7インチiPadに対応するBluetoothキーボードの中に、最新機種で使えるとうたっているものがいくつか見つかった。キーボードはタイピング感やiPadを装着した時の質量・サイズをもう少し吟味してから、取りあえず新しい9.7インチのiPadを入手して、Apple Pencilと組み合わせてできることから先行してマスターするのもひとつの手だと思う。

デザイナーが新しいiPadで絵を描いてみた
 Apple Pencilで「絵を描く」ことについては筆者はプロとして多くを語れる技量を持ち合わせていないので、グラフィックデザイナーの平川珠希氏に協力を仰いだ。平川氏は日ごろからiPad Pro 9.7インチとApple Pencilをデザインのラフスケッチやイラストの制作に活用している。今回はiPad対応のペイントツールアプリ「Clip Studio Paint」を使って、それぞれのiPadでイラストを描いてもらった。

新しいiPadとApple Pencilの組み合わせをイラスト制作に活用してみた。ペイントツールアプリには「Clip Studio Paint」を使用した

 iPad Proを購入した決め手は、Apple Pencilによる描き味がまるで紙に描いているみたいにリアルだったからという平川氏。新しい9.7インチiPadも、Apple Pencilによる筆運びはiPad Proに引けを取らない高い追随精度に満足したようだ。

 ペン先の動きに対する反応は「吸い付いてくる」ようなiPad Proに対して、新しいiPadは比べると「より軽やか」に感じられるという。そのためか、はじめのうちはイラストの主線を描く際、無意識に筆先に止める力を加えながら描いていたこともあって、やや硬質な線に仕上がったようだ。

■新しい9.7インチiPad
新しいiPadもApple Pencilの感度が上々。今回は輪郭線が少し硬質なタッチに仕上がった

■iPad Pro
滑らかな書き味を実現しているiPad Pro。輪郭線が柔らかく仕上がった

ディスプレイの持つ特性はフィルムで調整できる
 ディスプレイの反射防止コーティングの有無については、新しいiPadもフィルムを貼ることで調整ができそうだ。周囲の環境光に合わせてディスプレイのホワイトバランスを自動調整するTrue ToneディスプレイもiPad Proの方にのみ搭載されている機能だ。長時間続けて絵を描いているときに目が疲れにくいメリットは感じられるものの、新しいiPadもフィルムをうまく活用することで快適に使える環境が整えられるだろう。

 今回の取材のため平川氏に描いてもらったイラストをそれぞれの端末で表示しながら見比べてみると、新しいiPadの表示はより彩度・明度が高く、コントラスト感もメリハリが効いているように感じられる。一方のiPad Proはとてもナチュラルで「自然な色合いに仕上がる」と、こちらも平川氏は高く評価していた。なお通常はこの後、イラストの色合いを最終の納品形態に応じて、Webで公開する場合は様々な種類のモニターやOS環境で色合いをチェックしたり、紙媒体の場合は色校正を繰り返しながら微調整を重ねていくのが定石だ。

■新しい9.7インチiPad
新しい9.7インチiPadで描いたイラスト。iPad Proに比べて輪郭線が明瞭なややアニメ調のタッチに仕上がった。ディスプレイの表示もメリハリが効いている

■iPad Pro
iPad Pro 9.7インチで描いた絵。カメラの腕前によって伝え切れていないところがもどかしいが、線の軟らかさや自然な色合いがiPad Proによる描画、ならびにディスプレイによる表示の特徴

 平川氏も初めてApple Pencilを使ってiPadに絵を描いた時に、その感度の良さと滑らかな追随性能に驚いたという。液晶ペンタブレットなどのツールと違って、iPadは画面とペン先が触れ合う距離感で紙と変わらない描き味が得られることによって、クリエイティビティの幅が広がる。外出先に持ち歩きながら、ちょっとした空き時間にも創作にのめり込める。「一段と身近な価格で買える新しいiPadとApple Pencilの組み合わせでも同じことができるようになって、多くのクリエイターが創作の引き出しを増やせそう」と語る平川氏の手応えも上々だったようだ。

べた塗りの際の、ペン先の感覚は新しいiPadとiPad Proとの間に大きな違いは感じられなかったという

 ポータビリティが抜群に高い新しい9.7インチiPadは多くのクリエイターが活躍できる場面を広げてくれるだろう。筆者としては今後、画面が大きくてApple Pencilも使える手頃な価格のiPadも欲しくなってきた。Apple Pencil対応はどこまで広がるのだろうか?これからのiPadのラインナップ展開も楽しみだ。

※新しいiPadとiPad Proは何が違う?スペックを中心に検証!
山本 敦

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