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AIによって筋トレも変わる?SIXPADを展開するMTGが「AI研究所」を立ち上げた理由

2018-06-06 17:46:30


 C.ロナウドのCMでもおなじみのトレーニング器具「SIXPAD」や、美顔ローラーが代表的な「ReFa(リファ)」といったブランドを展開するMTGが、AI(人工知能)による新たなサービスを模索している。社内の少人数で発足したプロジェクトながら、東京大学の教授を招聘した研究所も立ち上げるなど、意欲的に開発を進めている。将来的には、どのようなサービスを実現しようとしているのだろうか?関係者に話を聞いた。



皮膚や筋肉のデータを蓄積して、効果を見える化したい
 「一般的に美容や健康に関わる商品は、長く使い続けていただくことで効果が出てきます。先週、今週といった短期間で効果を実感することは難しい。良くなった気はしても、その微細な変化を客観的なツールで確かめる手段がありませんでした」。そう話すのは、インキュベーション推進室の白井智之氏。そこで肌や皮膚、筋肉の状態をデータとして取得、ログを蓄積していくことで変化に気付けないかと考えた。

 効果を見える化できれば、先週より今週の方が結果が良いことが分かる。それが利用者のモチベーションの維持につながる。嬉しいから使い続ける、使い続けるから綺麗に(健康的に)なる、そうした相乗効果も生まれる。

「肌や筋肉、健康の状態が改善したことを見える化して、利用者にこんな変化が出ていますよ、と伝えたい」と説明するMTG インキュベーション推進室 室長の白井智之氏

 ヘルスケア業界において、利用者の身体の状態をセンシングしたい、と考える企業は多い。しかし最初のハードルとなるのが、利用者に使い続けてもらえるデバイスの準備だ。その点、MTGではSIXPADやReFaで最初の段階はクリアしている。ではデータは取得できるとして、どのように解析するか。そこでAIの活用に思いが至った。エンジンはどうする?MTGのような取り組みを進めている企業は、世界的にも多くはない。白井氏らは、AIを活用した解析エンジンを自社開発する必要に迫られた。

 「ディープラーニング(深層学習)の創意工夫で、AIの色味に差が出てくると考えています」と白井氏。MTGが一から手がけたAIだからこそ実現できた、そんなサービスを目指している。「東京大学の杉山将教授を技術顧問として招聘して、MTG AI研究所を2018年1月に設立しました。どういったハードウェアなら、どういったデータが活用できるか。その活用シーンを含めて、いま検討を進めている状態です。今年の後半にはAIの学習の方向性を固め、センサーを使ったテストを始めたい」(白井氏)。商品化の時期などは、まだ明確にできないという。

どんなサービスが実現するの?
 同社では、どんなサービスを目指しているのだろうか。白井氏は「ReFaのような商品なら、その日の肌の状態、ツヤ加減などをセンシングできる。そこで外出前には化粧品のアドバイスにつなげられる。就寝前であればケアに広がりを見せられる。MTGが取り扱うコスメティック分野とのシナジーを出して、お客様にトータルで価値を提供できます」と説明する。

ReFa CARAT

 また、SIXPADで筋肉をトレーニングしたいと考える利用者がいるとする。「早く効果を実感したいと思って、レベルを『最強』にして使い続けたとします。しかし筋肉は、疲れると働かなくなってしまう。むしろ『弱』から徐々に強めていった方が、より短いスパンで鍛えられるということもあり得るんです。こうしたことも、筋肉の状態をモニターしていくことで分かってくる。将来的には、AIを駆使することで機能制御を行うような商品も出せるかも知れない」と説明した。

 ビッグデータを集めることができれば、その人に最適な設定でデバイスを使い続けられる。ゆくゆくは、デバイスが(MTGが提供中の)サプリメントを紹介する、そんなところまで持っていきたい、と白井氏。このほか、いまMTGでは店頭やWebサイトで、商品の詳しい説明や機器の使い方などを紹介している。これをデバイス単体で実現し、さらには個人の特性に踏み込んだアドバイスもおこなっていきたいと考えている。

腹筋専用のSIXPAD「Abs-Fit 2」

どのくらいのデータが集まる?
 実際、どのくらいのデータを集めることができるのだろうか。白井氏によれば、SIXPADの出荷台数はグローバルで100万台を突破(2017年7月時点)、ReFaに至っては700万台(2017年6月時点)を超えているという。これだけのデータが集まれば、利用者に効果的なアドバイスも可能に思えてくる。これまでもユーザーの計測データを取得して、新商品の開発に活かしてきたノウハウをもつMTG。今後は、そのデータを使ってより実用的なアドバイスをユーザーに提供していくことになる。

効いているよ、を伝えたい
 やや余談になるが、身体の状態をセンシングする目的には、ユーザーの誤解を解く意味合いも含まれている。というのも「SIXPADを使えば痩せられる」と誤解している人が依然として多いからだ。

 「あるモニターの計測結果では、使用前と使用後でウエストの大きさは変わっていなかった。体重はむしろ増えている。ただ、筋肉は厚くなっていた。こうしたケースでは、何に効いているのかしっかり伝えないと、“SIXPADを使っても痩せないじゃないか”と誤解されてしまいます」と白井氏。筋肉量が増え、基礎代謝が上がり、エネルギーの燃焼効率が上がる。燃えるものがない状態では脂肪が燃えるため、結果的に脂肪量が減っていくことはある。しかし筋肉量が増えると体重は上がる、と同氏。そこでAIがパーソナルトレーナーに代わり、利用者に「どこに効いているか」を説明する、そんなイメージを思い描いている。

 「美容機器と化粧品の両方をバランスよく持っているのがMTGの強み。ReFaで情報を取得すれば、このクリームが最適、といったレコメンドにもつなげられる。双方の効果を最大化することで、より高い美を追求できる。そこまで拡張していければ、AI研究所をつくった意義が出てくる」と同氏。製品を購入された方には、その効果をしっかり体験していただきたい、これまでにないところを目指していきたいと今後の展開を意欲的に語っていた。
近藤謙太郎

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