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根強いファンに支えられてきたGalaxy Noteシリーズに最新モデル!「Note9」に期待すること

2018-08-13 13:39:19
 サムスンは米国時間8月9日、ニューヨークのバークレイズ・センターにて「Samsung Galaxy UNPACKED 2018」を開催し、「Galaxy Note」シリーズの最新モデル「Galaxy Note9」を発表した。

大型ディスプレイとペン操作を特徴として、特定のファンを獲得してきたGalaxy Noteシリーズであるが、このGalaxy Note9 においても近年のNoteシリーズのデザインを踏襲し、他のGalaxyシリーズより角ばった、ディスプレイの両側が曲面にカーブした外見的特徴をもったデザインとなっている。ベゼルはほぼ見えないぐらいまでディスプレイ面が広く、これを「Infinity Display」と名付けている。ディスプレイは縦長18.5:9で、6.4型のSuperAMOLED(有機EL)を搭載する。ホームボタンのナビゲーションキーは下部の画面内に表示させている。





 このNoteシリーズの最大の特徴である電磁誘導式スタイラスである「Sペン」による操作でだが、これも着実に進化している。これまでどおり筆圧などを検知でき、メモ書きからイラスト描きまで多様なタッチで描画できるほか、今回新たにSペンにBluetoothが内蔵され、Galaxy Note9本体とペアリングすることでリモコンのような使い方が可能になった。たとえばカメラで撮影する際にSペンのボタンを長押ししてカメラが起動でき、シャッターを切ったりインカメラ/アウトカメラの切り替えなどができる。カメラ以外にも、ギャラリーやYouTube、ボイスレコーダーなどのアプリでSペンを活用となっている。



 デュアルカメラとなるアウトカメラは約1200万画素、F1.5とF2.4に絞りを切り替える「デュアルアパチャー」機能を搭載する。明るさに応じてF値が自動で切り替えられるほか、手動での選択も可能となっている。またAIも活用し、シーンを自動で判別して色味などを最適化してくれる。インカメラはF1.7の約800万画素となっている。

 バッテリーは前モデルGalaxy Note8より容量を700mAh増やした4000mAhを搭載している。内蔵ストレージは128GBと、上位の512GB版もラインアップされる。外部メモリも使え、最大512GBのSDカードを装着すれば1TBものストレージを使える。本体はIP68相当の防水・防塵性能を誇る。プロセッサはSamsungの「Exynos 9810」もしくはQualcommの「Snapdragon 845」を採用する。国や地域によってどちらかのプロセッサとなる。

 端末サイズは76.4(幅)×161.9(高さ)×8.8(奥行き)mmで、前モデルよりもごくわずかに端末幅は増加し、一方で端末高さが小さくなった。ディスプレイサイズが前モデルよりも0.1インチ大きくなっているので、ディスプレイパネル周囲のベゼルがさらに薄くなったということだろう。生体認証は指紋認証、虹彩認証を利用したインテリジェントスキャンに対応し、指紋センサー背面のカメラ下に設置されている。

 モバイルネットワークは受信時最大1.2GbpsのGigabit LTEに対応、Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠となっている。カラーラインアップは「Metallic Copper」「Midnight Black」「Ocean Blue」「Lavender Purple」の4色が発表されたが、発売される国・地域によっては発売されないカラーもある。



 Galaxy Noteシリーズは2011年(日本では2012年)に初代モデルが発売されて以来、一貫して大型ディスプレイと付属するSペンによるペン操作を特徴とし、スマートフォンとタブレットの間ぐらいの位置づけで独自の世界を築いてきた端末である。初代モデルは5.3インチのディスプレイを備え、当時としては他のスマートフォンよりも一回り大きいその存在感は格別のものがあった。



 その後、スマートフォン全般にディスプレイサイズの大型化が図られていったなかで、このNoteシリーズは「ペン操作」の特徴を貫くことで一定のファンに支えられてきた。Sペンを本体から抜いて直ちにメモが取れるというのが特徴で、モデルチェンジのたびにSペンを用いる部分で着実に進化を果たしてきた。

 サムスンのGalaxyシリーズは、アップルのiPhoneをつねにライバル視し、いい意味ではこの2強が世界のスマートフォン業界をけん引してきた。価格面においても、この2社の製品はつねに拮抗し、スマートフォンの製品価格を高価なまま維持してきた。安価なスマートフォンブランドがあふれるようになった現在において、Galaxyシリーズの端末性能や製品質感、作り込みの完成度の高さなどはそれらの製品と十分に差別化を図れるだけの、満足のいく製品を世に送り出し続けている。

 新たなブランドを生み出すというのは決して容易なことではない。サムスンはiPhoneに対抗したAndroidスマートフォンを世に送り出すにあたって「Galaxy」というブランドを冠し、そのイメージを醸成させてきた。そもそもサムスンというメーカーブランド自体が世界では広く認知され、少なくとも世界では日本以上にイメージの良いブランドとして定着していた中で、同社のスマートフォンシリーズに「Galaxy」と名付け、メーカーブランドと共にそのブランドイメージを定着させていったのである。

 この「Galaxy」が高品位なスマートフォンブランドとして世界に広く定着したさなか、そのブランドイメージを大きく失墜させる事件が起きた。2016年に発売されたGalaxy Note7が、多数の発火事故を起こしてしまったのである。米国を中心に各地で発火が相次ぎ、販売を中止。さらに出荷したGalaxy Note7はすべて回収するというスマートフォン史上最悪のリコール事件となった。当時、航空機に搭乗する際に「サムスン製のGlaxy Note7は手荷物で預かることも、機内持込もお断りします」といったアナウンスが世界中の空港や飛行機機内で流れたという記憶がある方も多いだろう。航空機に一切載せられないというほどの危険物扱いをされた端末は携帯電話史上初めてのことだ。



 地道に、そして長年に渡って「Galaxy」のブランドを築いてきたサムスンにとって、このGalaxy Note7の大失態はあり得ない損失となった。Galaxy Note7が未発売だったわが国でさえも、当時すべての航空路線でこの「Galaxy Note7の持ち込みができない」というアナウンスが流れ続け、Note7でなくともGalaxyシリーズのスマートフォンを持つユーザーにとっては大いなる不安を煽られたはずだ。これがきっかけでスマートフォン購入時にGalaxyシリーズを避けるユーザーも少なくなかったはずだ。この事件は下手をすればサムスンのスマートフォン事業の存在そのものもが危ぶまれるまでに至り、Galaxyブランドの突然の失墜に至ってしまった。

 しかし、それでも根強いサムスンファンは少なくない。とくにGalaxy Noteのユーザーに関しては、ペン操作など特有の機能から固定ファンより強く支持されており、そうしたユーザーにとっては他に代わるスマートフォンの選択肢が見つからないのだ。これらのファンがGalaxy Note7販売中止後も新端末の登場を願い続けてきた。発火事件で大きく傷ついてしまったGalaxy Noteのブランドはそのまま消えてゆくのではとも言われていた中で、根強いファンの声が届いたのか2017年8月には後継モデルとなる「Galaxy Note8」を発表しファンを沸かせた。

 そしてさらに1年を経て、このほどGalaxy Note9が発表された。現時点で日本での発売は未定であるが、これまでNTTドコモとauが取り扱ってきたことから、今後の秋冬商戦向けに投入されるのではないかとされている。

 信頼のブランドを築くにいは何年もの歳月を費やす必要があるが、何らかの不祥事によるブランド失墜は一瞬の出来事である。その恐ろしさを、サムスンはどのメーカーよりも身を持って学んだはずである。Galaxy Note7の事件を受けて、サムスンの製品づくりやブランド戦略は大きく見直しが行われたに違いない。じつは筆者もこれまでのGalaxy Noteシリーズを愛用してきたユーザーの一人であるが、かつてのどの端末も十分に満足できる製品であった。そうした中でGalaxy Note7での大きなつまづきが、結果的にこのシリーズの完成度を一層高めていくきっかけになっていることを期待したい。

 ましてや、サムスンがGalaxyのブランドを引き続き継承し、スマートフォン事業を継続できていることは、世界にいる根強いファンが支えてくれたということを身をもって知ったはずだ。こうしたファンへの返礼としてサムスンが丹精込めて磨き上げたであろうGalaxy Note9を早く手にしてみたい。久しぶりに発売が待ちどおしい端末の登場である。

筆者:木暮祐一(こぐれゆういち)氏。青森公立大学 准教授/博士(工学)、モバイル研究家として活躍し、モバイル学会の副会長も務める。1000台を超える携帯コレクションを保有
木暮祐一

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