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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第80回 MNOとMVNOの訪日外国人対策、ユーザー獲得競争が本格化!

2015-07-15 15:00:04
 NTTドコモは14日、外国人観光客が日本滞在時にNTTドコモのネットワークを通じて国際ローミングを利用するユーザーを対象に、家電量販のラオックスで買い物をする際の特別優待サービスを10月よりスタートさせることを発表した。

 対象は、NTTドコモと事業協力契約(SCFA)を締結し、国際ローミング利用においてパートナー提携している中国のチャイナモバイル(中国移動)および韓国のKT契約者。特別優待サービスは、対象となる来日ユーザーが日本の空港などで国際ローミングの利用にあたり、NTTドコモのネットワークに接続することで利用可能となる。

 ローミング接続時にクーポンなどが配信され、それをラオックス店頭で提示するなどして割引サービスが受けられるという。ラオックスは免税販売に力を入れており、いわゆる“爆買い”客を狙って業績を伸ばしている。NTTドコモとしても、ここに相乗効果が認められると判断したのであろう。

 さらに本連載の第79回にて、外国人観光客向けの技適緩和が行われることになったことを記させていただいたが、来春を目途に電気通信事業法や電波法の一部が改正され、外国人観光客が持ち込む技適のない端末(携帯電話、スマートフォン、タブレット等)も合法的に利用可能となる。

 同時に、外国人観光客向けに格安のプリペイドSIMを提供することも合法となるため、今後多数のMVNO事業者が外国人観光客向けのサービス提供の準備を進めているところだ。こうしたタイミングで今回のNTTドコモの施策はMVNO(Mobile Virtuarl Network Operator = いわゆる格安SIM事業者)への外国人観光客流出をけん制する動きとも受け取れる。

■通信事業者各社による訪日外国人向けサービスが本格化

 NTTドコモやKDDI、ソフトバンクといった通信事業者(Mobile Network Operator = MNO)は、これまで「国際ローミング」(電波法103条の5)によって、来日客の技適のない端末の合法利用を可能にさせてきた。

 しかしながらその通話料、通信料は決して安価なものではなく、ある程度長期間日本に滞在するような外国人観光客にとっては高価となる電話料金が大きな課題であった。

 外国人観光客向けに緩和されることになった今回の法改正で、ようやく合法的に来日客が自身の端末を日本のMVNO事業者が提供する安価な通信回線で利用可能となる。外国人観光客にとっては朗報だ。

 一方で、MNOにとっては2020年に向けて期待されている外国人観光客による通信料収入増をMVNOに奪われかねない懸念もあった。国際ローミングで利用する場合、日本のMNOへの通話・通信料金収入に加え、来日ユーザーが自国で契約している通信事業者へも通話・通信料収入が入る仕組みである。

 これが通話・通信料が高価になってしまう要因でもあるのだが、両国の通信事業者にとってその収益は決して少ないものではない。2020年需要で拡大できるのであれば、大いに便乗したいところであろう。

 外国人観光客が、安価に利用できるMVNOのプリペイドSIMを使ったのでは、両国のMNOは通信料収益につなげることができないのだ(厳密に言えば、MVNOはNTTドコモなどのMNOのネットワークを借り受けて事業を行っているので、国内のMNOにとってはどちらにしても通信料収入増にはなるのであるが)。

 ということで、2020年のオリンピック開催を機に法規制の緩和が行われ、さらにMNO、MVNOに関わらず通信事業者各社が来日する外国人観光客による増収を目指して、いよいよ本格的に動き出してきた。

 今回のNTTドコモの施策は国際ローミングでネットワーク接続した際に通知されるSMSをフックにクーポンを配信しようというもののようだが、同じような情報配信はMVNOのSIMでも可能なことで、今後は通信サービスとのセットでさまざまな“抱き合わせのオマケ”が登場していくことになるのだろう。
木暮祐一

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