「Maker Faire Tokyo 2015」のインテルブースでは、おなじみの小型コンピュータ「Edisonモジュール」と「LEGO Mindstorms」を活用したアイデア満載の作品が展示されていた。
特に目にとまったのが、カフェラテアート用プリンタ「FabCofee」(Eyes)と、「音声認識UFOキャッチャー」(個人作品)だった。
FabCofeeは、LEGO Mindstorms EV3でつくられているオープンソース・オープンアーキテクチャーのカフェラテアート用プリンタだ。ラテに絵を描くためのディスペンサーヘッドおよび、X軸・Y軸方向に動く可動部で構成されている。
デスペンサーヘッドは、LEGOの空圧シリンダーとチューブでつながっており、圧縮空気が送られて、コーヒーを吐出する仕組みだ。「いまはプログラムによって絵を描いているが、将来的には人の顔をカメラで取り込み、その似顔絵をラテアートとして表現したい」(開発担当者)という。
なお制御系はすべてLEGO側で担い、Edisonはラテアートができたときに、写真などの情報をTwitterやFacebookといったSNSに自動的にアップする際に活用するそうだ。
■音声制御ができる「UFOキャッチャー」
音声による制御が可能なUFOキャッチャーもLEGO Mindstorms EV3で作られている。専用コインを入れると自動的にアームが回転を始め、取りたいモノの上でプレイヤーが「ストップ」というと、Edison側で音声を自動認識してアームが止まる。そしてバケットを閉じ、モノを把持して元に戻る仕組みだ。
音声認識エンジンにはRaspberry Piなどで使われているオープンソースの「Julius」を使っているそうだ。「Edisonでは実績が少なく、情報がなかったため苦労した」(担当者)という。
このほか「IoT探知犬」(個人作品)、「タコメーター付きトイレットペーパーホルダー」(Kohsuke's Lab)、二脚ロボット型カメラ雲台「LEG-O.P.C.」(TAK-TEK×OPC HACK & Make Project)なども展示されていた。
■吠える仕掛けもある「IoT探知犬」
IoT探知犬は、名前のとおり電波(Bluetooth Low Energy:BLE)の強度をもとに、近くのIoT機器を見つけて、その方向に自走する。
100円ショップで購入した鍋をパラボラアンテナとして利用し、対象IoT機器から電波を集約。そのアンテナの前にEdisonを設置し、ビーコンのように使う仕組みだ。もし自走スペースがない場合は、匂いを嗅ぐ犬のように、IoT機器の方向を向いて吠える仕掛けも盛り込んでいるそうだ。
タコメータ付きトイレットペーパーホルダーは、紙を勢いよく引っ張るとメータが触れる。ワットが考案した遠心調速機(ガバナー)を応用しており、トイレットペーパーの回転スピードを、針の振れに変換する仕組みだ。このガバナーや残量メータもLEGOで作っているという凝りようだった。
LEG-O.P.C.は、自分がロボットのコックピットに乗っている感覚で、撮影を楽しめる2軸のカメラ雲台。カメラのスルー画像は、Wi-Fi経由でリモコン(スマートフォン)の画面に転送される。
首振りと撮影の動作はLEGO Mindstorms EV3で制御しており、リモコン操作入力と通信はEdisonを利用。またカメラはオープン・プラットフォームの「OLYPUS AIR」を採用している。Edisonとカメラのマウンターおよびアタッチメントは、3Dプリンタで製作したそうだ。
いずれの作品もLEGO好きに堪らないものばかり。LEGOがEdisonと組み合わさることで、新しい可能性が広がっていくことを示していた。
井上猛雄