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オムロン、独自センサー技術を活用したネットワークカメラ発売……子どもやペットの見守りに

2015-08-26 10:30:05
 オムロンは25日、手のひらサイズのネットワークセンサカメラ「ヒューマンビジョンコンボ 家族目線(HVC-C2W)」の記者発表会を開催した。発売は9月11日を予定しており、価格は29,800円。当初はAmazonでの取り扱いとなり、9月中には楽天市場でも発売する。

■オムロンのセンサー技術をBtoBからBtoCへ

 オムロンではこれまでBtoB事業として、産業用のセンサーを機器メーカーに提供してきた。それが、今回なぜBtoC向けに製品を自社で発売したのか。アプリケーションオリエンティド事業部事業推進部長の細川速美氏によると、そこには2つの理由があるという。

「HVC-C2Wを発売した理由の一つがIoTへの対応です。オムロンでは将来的にIoTが一般に普及するなかで、センサーデバイスが鍵になると考えています。注目しているのが、最も情報量の多い画像センサー。しかし、現在の世の中を見渡してみても、センサーデバイスやその情報を使いこなしている一般人はほとんどいません」

 オムロンでは独自の顔画像センシング「OKAO Vision」を、20年に渡って開発してきた。顔検出、顔認識、手検出、人体検出、ペット検出などで被写体を識別。さらに、性別推定、年齢推定、表情推定、顔向き推定、視線推定、目つむり推定などの画像の分析にも対応している。

 これら、11種類の機能をBtoBからBtoCへと解放すること。それが今回、HVC-C2Wを製品化した目的の一つとなる。

 それに加えて、今後はユーザー主導の製品開発も重要になると細川氏は話している。具体的にはオープンイノベーションの取り組みを進め、ユーザーが製品の新たな使い方を創出する。ユーザーの要望が多様化している現代において、もはやメーカー視点では、ユーザーの多彩な要望に応えられないというのがオムロンの考えだ。

「誰でも、いつでも、どこでも使いやすいセンサーを提供すること。それがセンサーメーカーとしてのオムロンの使命だと考えています。しかし、用途や環境に合わせたセッティングやチューニングを手掛けていたら、とても事業としては成立しません」

 HVC-C2Wの発売に先駆けて、同社では「SENSING EGG PROJECT」を15年1月にスタート。「OKAO Vision」の顔画像センシングエンジンを搭載したネットワークセンサカメラカメラのプロトタイプを提供し、その情報を活用するようなプロトタイプのアプリを募集した。

「ハッカソンイベントなどを通じてデベロッパーから約80本のアプリが創出され、このプロジェクトに手ごたえを感じられました。エンタープライズでもさまざまな引き合いがあり、将来的には客層分析として属性や振る舞いを検出するなど、デベロッパーとタッグを組んで様々なアプリを提案できればと考えております」

■赤ちゃんやペットの見守りに、それぞれ専用アプリを用意

 これらを踏まえたうえで、HVC-C2Wは“家族を見守るもう一つの家族”というコンセプトで開発が進められたという。

「豊かな表情や仕草、クセなど、一緒にいるからこそ気づくことがあります。それらを見逃さずに知らせることで、家族やペットと一緒にいないときの繋がりを作りたい。そんな想いからこの製品は生まれました」

 アプリケーションオリエンティド事業部事業推進部の寺川裕佳里氏によると、製品の発売に合わせて、まずは2つのアプリをリリースするという。そのうちの一つが「家族目線 あかちゃん」だ。

 これは幼児の見守りに特化したアプリとなる。主な機能としては幼児の音声や動きを検知して、それをスマホに通知。これにより両親は赤ちゃんがぐずり始めたら、本気泣きになる前にあやすことができる。

「例えば、洗濯物を干すために赤ちゃんの声が聞こえない場所に移動しても、通知を受けて部屋に戻ったり、寝ている様子を映像で確認できます。複数台のスマホからカメラに接続できるので、お母さんだけでなく、お父さんやお爺ちゃんと一緒に赤ちゃんを見守ることもできるわけです」

 さらに、「笑顔お知らせ」機能も用意されており、赤ちゃんが笑顔になったら、それをスマホに通知。同時に撮影された写真をアプリ上で見たり、スマホに保存できる。

 その一方で、ペットの見守りを目的にしたのが「家族目線 ペット」だ。こちらはオリジナルとして「フェイスショット機能」を用意。ペットの顔がカメラを向いたら、それを写真として撮り溜めてくれる。さらに、行動分析や動体検知を駆使して、ペットの行動やお気に入りのスポットをビジュアルで表示する「ペット行動マップ」機能も搭載された。

 これに加えて、近日中には「家族目線 おるすばん(仮称)」が公開される予定。見守り対象を家族全体まで広げ、高齢者や子どもの行動を察知。スマホを持たせたくない小学生の帰宅状況や、離れて暮らす両親の様子が伺える。留守中には泥棒を検知するなど、防犯用としても利用が可能だ。

 その他、HVC-C2Wの機能としては、最大1280×720ピクセルまでの解像度に対応し、赤外線LEDで夜間の撮影も可能。マイクとスピーカーを内蔵し、アプリによってはカメラ周辺の音声を聞いたり、スマホから被写体に話しかけられる。なお、スタンド部分は取り外しが可能で、別売のアタッチメントにより壁への取り付けにも対応した。

「シングルマザー、少子高齢、ストレスなどが世の中の課題となっています。家族目線ではデベロッパーとともに様々な使い方を開発し、これらの課題を解決していきたいと考えています」

■製品デモでは赤ちゃんの笑顔も検出

 なお、会場では「家族目線 あかちゃん」のデモが行われた。ユーザーアカウントでログインし、「設定」画面で使用するカメラを指定すると、画面にはカメラからの映像を表示。その他、画面には「スピーカー」、「マイク」、「カメラ」のアイコンも見られ、撮影やカメラ経由での会話にも対応していると思われる。

 この時に、設定で「笑顔みまもり」、「動きみまもり」、「鳴き声みまもり」をONにしていると、それぞれの通知をスマホに送ったり、写真を自動で撮影できる。実際に機能を有効にしたところ、動きや笑顔を検知したとの通知が、スマホ上に表示されていた。ただし、「動きみまもり」の通知が頻繁に届いていたので、センサーの検知レベルを調整するなど、状況に応じた運用を行いたい。

 また、発表会の終了後に会場ではデモ体験の時間も設けられ、担当者が詳細を説明。それによると、撮影される動画は15fpsとなり、写真は本体のSDカードに保存。それをアプリで開いた際に、スマホへの保存もできるという。なお、本体の動作にはACアダプターの接続が必要となる。

 一方、「家族目線 ペット」アプリの「フェイスショット機能」については、ペットに対して1メートルから2メートルの距離にカメラを設置することになる。このため、使用時にはエサ置き場にカメラを設置し、「ペット行動マップ」を利用するときには、カメラの置き場を変えるような運用を行うことになるだろう。

■映像はクラウド経由で配信、勝手アプリのセキュリティは?

 記者発表会では質疑応答も行われた。以下ではその内容を紹介する。

--- 製品の事業規模についての想定は?

売り上げについては今年度は1万台を計画している。ただ、コンシューマー向けの事業は展開が読みづらいので、まずはその結果を見て、将来的な事業計画をより精緻に決めていきたい。

--- ネットワークカメラで29,800円という価格は、かなり強気の設定に思われるが、その裏付けは?

ユーザーからのご要望などを調査するうえで、家族の安心を見守るという用途においては、十分に納得いただけると考えている。将来的にアプリを増やしていくことも考えたうえでの価格設定です。

--- 「もうひとりの家族」として長く使うことを想定されているが、製品の寿命はどのぐらいなのか?

設計寿命としては厳しい環境下で3年から5年。もちろん、ふつうに使っていただく分には、それ以上の利用もできるかと思います。

--- 動画の記録には対応していないとのことだが、これは機能的な制約とコンセプト上の問題のどちらなのか?

コンセプト上の問題です。

--- センサーからの情報は、その全てが随時クラウドにアップロードされているのか?

マイクやライブビューなどの各情報のうち、最初に何を利用するかを設定します。そのうえで、カメラ側がデータを適宜アップロードする形です。

--- オープンイノベーションを進めるうえで、セキュリティについての確認はオムロンが行うのか?

セキュリティについては、サーバーの管理を含めてオムロンで対応します。

--- アプリの開発情報、完成したアプリはどのように公開されるのか?

SDKについては開発者コミュニティでの公開となります。開発されたアプリについては、開発者の方が自由にApp Storeなどに公開していただければと考えております。
飛田九十九

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