iPhoneシリーズの最新モデル「iPhone 6s/6s Plus」がいよいよ明日25日に発売となる。2013年、それまでiPhoneを取り扱ってこなかったNTTドコモがiPhone 5s/5cの取扱いを開始して以降、iPhoneは国内大手3キャリアが揃って取り扱う端末となった。端末デザインやディスプレイ、カメラ、CPU性能などはまったく同じであり、料金プランもほぼ同等。そのため、各キャリアのiPhoneを選ぶ上ではそれぞれのネットワーク環境が大きなポイントとなっている。
RBB TODAYでは、新型iPhoneが発売される度に各地で3キャリアのネットワーク調査をおこなってきた。今年も、発売直後に端末を入手し、都内主要スポットを皮切りに各地で速度測定を実施する予定だ。調査に先立って、iPhone 6s/6s Plusにおける3キャリアのネットワーク状況を、特にLTE回線に絞って一度整理しておきたい。
まずはiPhone 6s/6s Plus自体の通信規格について、前モデル(iPhone 6/6 Plus)と比較してどう変わったのか。LTEに利用する対応周波数帯としては、Band 12/Band 27/Band 30が新たに追加されているが、これらはいずれも日本国内では利用されていないもので、実質無関係。つまり対応周波数帯はiPhone 6/6 Plusと同等ということになる。ただ、iPhone 6s/6s Plusでは、LTEのカテゴリー6に新たに対応し、下りの最大通信速度が150Mbpsから300Mbpsにアップしている。これを踏まえて各キャリアのLTEについて見ていく。
ドコモが保有しているLTE Bandのうち、iPhone 6s/6s Plusでは、下り最大112.5MbpsのBand 1(2GHz帯)、下り最大150MbpsのBand 3(1.7GHz帯 東名阪中心)、下り最大75MbpsのBand 19(800MHz帯)が現時点で利用可能。2つの周波数帯を束ねるキャリアアグリゲーション(CA)でBand 1とBand 3を束ねると下り最大262.5Mbps。Band 3が利用できない地域では、Band 1とBand 19のCAで下り187.5Mbpsが理論値ではMAXとなる。
KDDI(au)の場合は、Band 1(2GHz帯)で下り最大150Mbps、Band 18(800MHz帯)で下り最大75Mbps、Band 41(WiMAX 2+)で下り最大220Mbpsが利用可能。さらに、Band 1とBand 18のCAで下り最大225Mbps(エリアによっては最大150Mbps)にも対応している。最大225Mbpsのエリアはまだまだ限定的で、WiMAX 2+の220Mbpsエリアは目下拡大中とのことだが、どこまで広がっているのかは確かめてみないとはっきりしない。
ソフトバンクの場合は、Band 1(2GHz帯)で下り最大112.5Mbps、Band 3(1.7GHz帯で)下り最大75Mbps、Band 8(900MHz帯)で下り最大75Mbps、Band 41(AXGP)で下り最大165Mbps、Band 1とBand 8の組み合わせで下り最大187.5Mbpsとなっている。
なお、各社Band 28(700MHz帯)も保有しているものの、こちらはまだ準備中で本格運用開始は未定だ。
ざっと、iPhone 6s/6s Plusの対応周波数帯と最大速度についてみてきた。各社、CA技術を用いて下りの理論値を押し上げてきているが、いずれもエリアは限定的だ。明日以降、各社が謳う最高速度が実測値としてどこまで出ているのか確認していきたい。また、実際のユーザーメリットを考えた時に、最高速度が出るよりも、広いエリアで安定した速度が出る方が望ましいとも考えられる。そういったことも踏まえ、各社のエリア構築は都心や郊外、公共交通機関や観光スポットでどうなっているのか、様々な切り口で多くのスポットを調査して結果をお届けできればと思う。
白石 雄太