イオンリテールは18日、「イオンモバイル」ブランドでMVNO事業を開始すると発表した。格安SIMサービスとして29種類の料金プランを用意、全国のイオン213店舗ではサポート体制も充実させる。サービスインは26日を予定している。本稿では、都内で開かれた記者説明会の模様をお伝えする。
イオンリテールが2014年に開始したイオンモバイルは、提携したMVNO事業者の格安SIMにスマートフォンを組み合わせる販売代理店のスタイルで一世を風靡。今日の「格安スマホブーム」の火付け役となった。イオンモバイルでは今回、その事業モデルを一新する。26日から、自身がMVNO事業者となり、通信SIMを提供していく方針だ。説明会に登壇したイオンリテール デジタル事業部長の橋本昌一氏は「イオンモバイルでは体制を新たにして、次のステージに進む。通信サービスを含めて提供することで、スマートフォンをもっとお手軽で便利なものにしていきたい」と意気込んだ。
橋本氏はイオンモバイルがMVNOとなることで得られるメリットについて説明した。例えば、今後は利用者のニーズに合わせた料金プランを提供できるようになる。サービスインにあわせ、同ブランドでは29種類のプランを用意した。音声+データ通信+SMS対応の「音声系プラン」のSIMには、月額1,180円(500MB)から月額14,800円(50GB)までの11種類のプランを用意。これにデータ通信のみの「データ系プラン」10種類、データをシェアできる「シェア音声系プラン」8種類を加えた全29種類で展開する。ライトユーザーからヘビーユーザーまで、個人利用から家族利用まで、利用者のニーズに幅広く対応していく構えだ。
■代替機を用意。解約金はなし
イオンの店頭では料金プラン変更のほか、スマートフォンの使い方を聞きたい、最適な料金プランを相談したい、といった問い合わせにも対応する。スマートフォンの修理を受け付け、代替機も用意する。インターネットにつながらなくなった、などのトラブルが発生した場合は「原因を追求して、責任をもって対応する」(橋本氏)という。このほかMNP(ナンバーポータビリティ)にも対応。他社から転入の際は、接客販売を行う213店舗であれば即日の受け渡しに対応する。
解約金は設定せず、契約期間の縛りも設けていない。フリーダイヤルによる問い合わせを開始、有償ながら電話サポート、遠隔サポート、出張サポートなども提供する。こうしたキメの細かいサポート体制も、MVNOになって初めて実現できることと言える。橋本氏は「北海道から沖縄まで広く出店しているイオンの店舗網を活用して、アフターサービスの環境を充実させる。安心安全で価値あるサービスにしていきたい。市場競争力のある料金体系、大手事業者と同レベルのサービス提供により、2016年度には格安スマホおよび格安SIM市場でシェアNo.1を目指す」と高らかに宣言した。
■競争環境は変わった
橋本氏は記者説明会後の質疑応答、囲み取材に対応した。
--- どの販売スペースに、どういった形で展開する?スタッフの教育は?
ドコモ、au、ソフトバンクのスマートフォンを販売しているスペースを拡張する。イオンの携帯電話コーナーの販売員が対応する。26日から、新しい販売体制で臨んでいく。
--- 契約者数の目標は?L2(レイヤー2)接続か?HLR/HSSの解放について要望などはあるか?通話料は?
実数は公表していない。L2接続ではない。MVNEについては、公表は控えさせていただきたい。HLR/HSSの解放については、MVNEと相談のうえで対応をはかっていきたい。通話料は20円/30秒。
--- 現状で端末のラインナップは何種類?今後は独自端末も出す?
6機種。オリジナル端末も検討はしている。
--- 2014年にイオンモバイルを開始した当時と比較して、競争環境はどのように変わったと認識しているか?
一昨年の4月、お客様は「携帯電話は大手通信キャリアから提供されるもの」という認識がほとんどだった。現在では、かなりの方が「SIM」が何を意味するかご存じになった。今後も販売を通じて、お客様の多様なニーズに応えられるよう事業を発展させていきたい。
--- 今後も、最低利用期間のしばり、解約金を設定しない?
お客様が解約されるということは、私どものサービスに何かしらのご不満があったということ。解約される方にはお詫びをしたい。私どもとしては解約金をとるという考えがない。
--- 他社が料金プランに追随してきたら対抗する?音声通話のかけ放題サービスは検討している?
独自のサービス内容とサポート体制をセットで提供する。他社の価格なども検討するが、じっくりと考えていきたい。音声通話のかけ放題サービスについては、お客様のご要望があれば考えていきたい。
近藤謙太郎