ワイヤレスゲートは16日、記者発表会を開催。全国のヨドバシカメラとその通販サイトである「ヨドバシ・ドット・コム」で、SIMフリースマホ向けSIMカード「ワイヤレスゲートSIM FON Premium Wi-Fi」を同日より販売することを発表した。
会場にはヨドバシカメラから専務取締役販売本部長の日野文彦氏、ワイヤレスゲートの代表取締役CEO池田武弘氏、ならびに同社取締役CAO原田実氏が参加。新しい製品とサービスを紹介した。
ワイヤレスゲートは2004年に創立。2007年からはヨドバシカメラと提携しワイヤレス通信サービスの販売を開始した。これまでにも全国約4万箇所の無線LANスポットが利用できる「ワイヤレスゲートWi-Fi」、WiMAX2+と無線LANスポットによる通信が行える「ワイヤレスゲートWi-Fi+WiMAX2+」、ならびにLTE通信と無線LANスポットが利用できる「ワイヤレスゲートWi-Fi/LTE」などSIMロックフリー端末向けの通信サービスを充実させてきた。
このたび発表された商品は、LTE通信は全プランが通信容量制限を設けない“使い放題”で提供され、価格についても業界最安値水準をうたった点が特徴だ。月額利用料金については、音声付プランが2,980円、SMS付のWi-Fiデータ通信専用プランが1,880円、SMSなしのプランが1,680円になる。販売はアウトレット京急川崎店を除く、ヨドバシカメラが全国に展開する店舗で取り扱われ、MNP転入や音声通話付きプランの即日開通にも対応する。
LTEと3G通信はNTTドコモのネットワークを利用する。通信速度は上下最大3Mbps。原田氏は「通常の利用であれば問題なく使っていただける仕様」と説明する。
解約時の違約金についてはMNP転出時に利用期間が1年以内だった場合は11,880円が必要。1年以降は解約手数料の3,240円のみが発生する。MNP以外のケースでは違約金不要とした。
無線LANスポットについてはワイヤレスゲートのものに加えて、コミュニティWi-Fiサービス「FON」のスポットもカバーできる。原田氏はFONのアクセスポイントの特徴について「現在世界200か国以上、1,900万箇所に展開し、国内で利用している端末をそのまま海外旅行にも持ち出して、FONのスポットを見つけたら国内と同じ感覚で利用できる。スカイプによる音声・ビデオ通話やSNSへの投稿などに活用してほしい」と述べた。
無料の専用アプリからはFON、ワイヤレスゲートが提供するWi-Fiアクセスポイントのマップ検索や、アクセスポイント内でのWi-FiとLTEの自動切り替え接続などの機能が提供される。
なおワイヤレスゲートが従来から商品として提供している、上限250kbpsのLTE使い放題サービスにワイヤレスゲートのWi-Fiアクセスポイントをコンビにした「ワイヤレスゲートWi-Fi/LTE」ついては、月額利用料金480円のまま販売を継続する。Wi-Fi単体のサービス「ワイヤレスゲートWi-Fi」についても月額380円で引き続き販売される。
ワイヤレスゲートでは新商品の発売キャンペーンとして、SIMプランを契約した申込者を対象に、宅内のWi-Fi中継器としても利用ができる「FONルーター」を先着1万名にプレゼントする。
CEOの池田氏は「当社のLTEサービスの特徴は“Wi-Fiが主、LTEが従”である点がほかにない特徴。昨年に資本提携をしたFONのWi-Fiが、今回の新商品では大いに活用できるようになり、当社の特徴に磨きがかかった」と強調。ヨドバシカメラでのMVNOカウンターもより強化されることについては、「弊社の商品を多くの方々に紹介できる機会。積極的に活かしていきたい」と意欲をみせた。
発表会後、ヨドバシカメラの店内で行われた囲み会見にはワイヤレスゲートの池田氏、原田氏が出席して記者からの質問に答えた。
他のMVNOの中にはLTEのデータ通信容量を設定したかたちの商品も多くあるなかで、あえて“使い放題”のプランを中心とした意図について訊ねられた原田氏は「自分に合ったプランがわからないというお客様の声も多く寄せられている。これに答えるかたちとしては使い放題のご提案が適当と判断した。現在提供している250kbpsのLTE使い放題プランはある程度利用目的が定まっているお客様が中心だが、速度が3Mbpsに上がることで、よりユーザー層が拡大するものと期待している。使い放題プランを先行提供するMVNOに対して、当社の優位性はWi-Fiアクセスポイントが充実しているところ」と答えた。
FONの展開については「全世界では広がりをみせている。少し前までは1,800万前後だったスポットの数が、本日発表段階で約1,900万に増えている。今後は当社も力添えしながら、日本国内は観光地などで拡充していく予定。東京オリンピックの開催までに、会場周辺にFONが利用できるスポットを拡充しながら、インバウンドニーズも吸収できるようにしていきたい」と池田氏が補足した。
ヨドバシカメラの取り組みについては専務取締役販売本部長の日野文彦氏が登壇。コメントの中で「当店では昨年の4月に音声SIMを発表したが、あれから約1年が経つ。お客様に分かりやすいプランを、もっとわかりやすい言葉で提供したいという思いから、SIMフリーの端末や通信カードを対象とした『なんでも相談カウンター』を起ち上げた。今では全国23店舗のうち、20店舗にコーナーを設置してきたが、残りの店舗についても近く設置を予定している。仕掛けを用意しながら、社員の教育、POP訴求も合わせてSIMフリーをわかりやすいサービスにして、お客様ごとに異なるニーズを拾いながら丁寧にご紹介していきたい。総務省の携帯電話サービスへの提言があって以後、世間がにぎわっているが、これはユーザーの皆様、そして私たち販売店にとっても追い風になると感じている。当店のなんでも相談カウンターは安心して使えるサービスを目指していく」と意気込みを語った。
記者発表会後にはヨドバシカメラ マルチメディアAkibaの店内に設けられた格安SIM商品の販売コーナーも公開。1階のメインエントランスから入ってすぐの場所にワイヤレスゲートの商品が一堂に並べられ、その注力ぶりをうかがい知ることができた。
なお、ヨドバシカメラでは今後SIMフリーコーナーをさらに充実していく考えだ。同店の担当者によれば、昨年末からSIMフリー端末への関心が高まっており、今年に入ってからもさらに増えることも予測しているという。売り場ではこれまで店舗の奥の方にあったSIMフリー端末のコーナーをフロント側に移動して認知拡大を図る。今後の売れ行きの予測については「大手キャリア3社を合わせた比率が10とすれば、格安SIMは今後4~5ぐらいにはこの1年で変化してくるのでは」との見込みもあるようだ。
山本 敦