手持ちのiPhoneで格安SIMのサービスが使えたら、毎月の携帯電話料金を安く抑えることができるのではと考えている方も多くいると思う。iPhoneで格安SIMを使うための方法を紹介してきたこの連続企画では、前回iPhone 6sのSIMロック解除を実践した。今回はさらに一歩踏み込んで、大手キャリアのサービスに対して格安SIMサービスがどれだけ“おトク”に使えるものなのか、利用料金をシミュレーションしながら比べていきたい。
前回のレポートではソフトバンクで契約しているiPhone 6sのSIMロックを解除した。今回も格安SIMのサービスを比較するために、こちらのソフトバンクモバイルで現状使っているサービスの利用料金を基準にして考えてみよう。
スマートフォンの場合、基本的に毎月の通話とデータ通信の料金負担がかかることにある。今回のシミュレーション元のケースでは、音声通話は旧来のホワイトプラン(934円/月)で、毎月7GBのデータ通信が利用できる「パケットし放題フラット for 4G」(5,700円/月)を利用している。ホワイトプランでは1時~21時までのソフトバンク携帯電話宛ての通話料金が無料になるが、それ以外の場合は20円/30秒がかかるので、毎月仕事などで電話をかけた分だけ1,000円前後の電話代がエクストラで発生していた。これにテザリングなどのオプションサービスと、ユニバーサルサービス料金などが固定でかかるため、毎月のスマホにかかる出費はだいたい「6,500円前後」だ。なおこの金額には携帯電話機購入サポートの「月月割」が含まれているため、こちらのサービスが終了すると月々の支払金額はだいたい「9,000円弱」になる。
これに対して、格安SIMカードに乗り換えると毎月のスマホ代がどれぐらい安くなるのか、そしてデメリットも発生しないのか? 今回は、いま人気と注目度の高い4つのMVNOによる格安SIMカードのサービスと比較してみた。
まずは今年の春からNTTドコモ回線によるMVNO事業に参入して話題を呼ぶイオンモバイルだ。なお、イオンスマホへの乗り換えに関する詳細についてはRBB TODAY編集部によるレポートもご覧いただきたい。
■イオンモバイルの場合
イオンモバイルの特徴は、全国の200を超えるイオンの店舗でサポート体制を充実させたほか、格安SIMサービスに29種類の充実した料金プランを用意している点にある。もともとイオンスマホも、イオンの店舗で購入前後の徹底したケアも提供しながら端末と一体化で分厚いサービスを展開してきたことから、「格安スマホや格安SIMを選ぶなら、とりあえずイオンのサービスを下調べしてみるか」と考える方も多いのではないだろうか。
実際にもしソフトバンクで現在使っている通話・通信のプランを解約してMNPでMVNOの格安SIMに乗り換える際には、どこのサービスを申し込む場合でも一律に3,240円(税込)のMNP転入事務手数料がかかる。そのうえで、手持ちの「もともとソフトバンクで使っていた、SIMロックを解除したiPhone 6s」が使えるかどうかについても入念にチェックしておきたい。イオンモバイルでは同条件のiPhone 6sをサポートの対象としている。
イオンモバイルで音声通話プランを選ぶ場合、データ通信容量が7GBというメニューがないため、近いもので6GB/1,980円(税抜)や8GB/2,680円(税抜)がターゲットに入る。通話については“かけ放題”的なサービスは行っていないので、別途20円/30秒が必要だ。仮に月間20分ほど通話した場合の料金は800円になるので、6GBのプランを選択すればだいたい「3,000円弱」の基本料金がかかることになる(なお、音声通話SIMであれば、110や119など緊急通報の利用は可能)。
留守番電話、キャッチホンなどのサービスは別途有料オプションとして申込みが必要になるが、イオンモバイルではそれぞれを提供している。ユーザーがSIMロックを解除したiPhoneを持ち込んで、SIMカードのサービスのみを契約する場合、ひとつデメリットとしてはイオンモバイルが揃える充実のアフターサービスがほぼ使えなくなることだ。ウィルススキャンなどのセキュリティサービスはiOS端末の場合使用不可。電話サポートもフルには利用ができない。
その他、キャリアで契約している時には普通に使っていた口座振替が利用不可となり、携帯電話料金はクレジットカードで支払うことになる。また、イオンスマホでは本行執筆の2016年5月上旬時点で、格安SIMサービスのインターネット申し込みを停止している。購入の申込みはイオンの店舗でのみ受け付けているので注意したい。なお店頭ではMNP転入の即時開通も行える。音声通話プランの場合、利用開始から180日以内でMNP転出してしまうと8,000円(税抜)の転出手続き費用がかかる。181日以降は3,000円。
■OCNモバイルONEの場合
NTTコミュニケーションズが提供するOCNモバイルONEもMVNOの老舗として認知度が高く、ヨドバシカメラやビックカメラ、ゲオ、コジマ、ソフマップ、ヤマダ電機など多くの大手量販店で申し込み手続き、およびMNP転入の即日開通を受け付けているのが強みだ。SIMカードの申し込みはWebでも受け付けているが、こちらの場合は書類上の手続きがいろいろと間に挟まるため、音声通話が使えるようになるまである程度の日数がかかることを覚悟して契約に臨む必要がある。料金の支払い方法はクレジットカードのほかに口座振替も利用できるが、これもまたMNP手続きの前段階で申し込み手続きが必要になるので準備に手間がかかるのが難点だ。
肝心の月額料金だが、データ通信容量が5GBのコースで2,150円(税抜)。こちらもかけ放題系のサービスは用意がないので、20円/30秒がかかる通話を月に20分使ったとすると、全体ではやはり「3,000円弱」がかかる。ただし、データ容量はソフトバンクで使用している現状の7GBよりもだいぶ減る。OCNでは次のステップがいっきに10GB/3,000円(税抜)になるので、どうせ月のスマホ代が安くなるならデータ容量はアップしておく手もある。
OCNでは留守番電話やキャッチホンは別途オプションで用意している。音声通話付きSIMの場合、最低利用期間が6ヶ月となっていて、期間中にMNP転出すると8,000円(税抜)の違約金がかかる(なお、音声通話SIMであれば、110や119など緊急通報の利用は可能)。
次回では、DMMモバイル、そしてFREETEL(フリーテル)に関するシミュレーションの結果をお届けする。
山本 敦