これまで連続企画としてやってきた手持ちのiPhoneで格安SIMを使う方法。イオンモバイルとOCNモバイルONEのSIMを利用した場合のシミュレーションに続いて、今回はDMMモバイル、そしてFREETEL(フリーテル)の利用イメージを探ってみた。
■DMMモバイルの場合
MVNO業界の中でも最安値水準のプランを揃え、「とにかく安くスマホを持ちたい」というユーザーのニーズにアピールしてきたDMMモバイルに乗り換えた場合はどうだろうか。こちらもNTTドコモの回線を使っている。LTE対応の音声通話付き高速データ通信プランを選択した場合、7GBで2,560円(税抜)だ。やはり通話料は別途20円/30秒がかかるため、月々20分の通話を利用した場合のシミュレーション料金はだいたい「3,300円前後」になるだろう。
なおDMMモバイルの場合、料金プランを吟味する以前に注意すべきことがあり、今回のテストケースである「もともとソフトバンクで使っていた、SIMロックを解除したiPhone 6s」が、基本的にサポート対象外になっている。
実際にSIMカードをさしてみたら使えてしまうのかもしれないが、一応公式にはNTTドコモのiPhone、またはもともとSIMフリー端末としてアップルが販売しているiPhone以外は、DMMモバイルの格安SIMサービスを選んで、万一不具合が生じた場合にも文句は言えない。そしていずれのiPhoneを使った場合でも、留守番電話やキャッチホンのサービスがオプションとしても用意されていないので注意したい。
■FREETEL(フリーテル)の場合
セルラー通信機能を搭載するiOS端末と組み合わせれば、AppStoreでのアプリなどのダウンロードに発生するデータ通信料が無料になるという、ユニークな「FREETEL SIM for iPhone」を展開しているフリーテル。データ通信料金は“使った分だけ”支払う従量課金制の「使った分だけ安心プラン for iPhone」となり、独自のモバイルアプリを活用した電話“かけ放題”サービスである「FREETELでんわ」を月額399円から用意する。
使った分だけ安心プランの5GBを選択すると、ランニングコストの目安は2,220円(税抜)。「FREETELでんわ」については、1回あたりの通話が“1分間かけ放題”のメニューが月額399円(税抜)、“5分間かけ放題”で月額840円(税抜)となる。それぞれ超過した場合でも10円/30秒と、通話料は割安だ。まとめると、毎月だいたい「2,600円前後」(※1分間かけ放題のFREETELでんわを選択した場合)の料金負担が必要となる。
こうしてざっくりとした計算結果をベースに比較してみると、iPhone 6sのSIMロックを解除して、大手通信キャリアのサービスからMVNOの格安SIMに乗り換えると、月々のベーシックな“スマホ代”は約1/2~1/3のレベルにまで圧縮できることがみえてきた。単純に出費の負担が軽減されることだけを考えれば、格安SIMを選択する価値はあると言えそうだ。
ただし、一方では大手キャリアならではの手厚い各種サポートが受けられなくなることのリスクについても慎重に検討しておきたい。例えば端末が故障や破損による修理が必要になった場合、ソフトバンクの場合は「あんしん保証パック(i)プラス」のサービスをオプションとして利用できるが、格安SIMを選んだ場合、基本的にはアップルの保証サービスである「AppleCare+ for iPhone」を頼るほかないと覚悟しなければならない。
また、今後発売される新しいiPhoneに乗り換える際には、MVNOでの下取り購入などのバックアップは期待できない。ほかにも家族割引等のサービスについても設けていないMVNOがほとんどなので、最終的にわが家の家計全体を見渡してトクする選択になり得るのか、慎重に見極めて検討することが大事だと言える。
山本 敦