NTTドコモは11日、2016年夏の新製品、新サービスの記者発表会を開催した。発表会の壇上での質疑応答が行われたほか、終了後には加藤社長による囲み会見も実施された。なお、質疑応答にはプロダクト部長の丸山誠治氏、執行役員 ライフサポートビジネス推進部長の村上亨司氏が一緒に参加している。
--- 本日発表された端末の数がいつもより少ないのはなぜか。
丸山氏:昨年の冬モデルより機種数は半分になっているが、一つ一つの内容は魅力的だと自負している。機能・価格のバリエーション感もある。機種が減ったのは、今年夏から各メーカーと相談して、1機種を1年間で回していくスタイルに変えたいと考えているから。これまでの半年周期を1年周期に変えていく。ただし、商戦期は夏と冬があるので、異なるシリーズ製品を互い違いに展開するなど、メーカーの希望も聞きながら新商品はできるだけ年2回で投入していきたい。
--- ドコモとして、端末の差別化はどう考える?
丸山氏:商品だけではなく、機能も含めてトータルでのドコモらしさを訴求する。今回の新製品も、発表時点ではVoLTE HD+やスグ電など、ドコモだけに搭載される機能が充実しているので、そこを重点的にアピールしていきたい。
--- スマホ市場が成熟してきたということか。
加藤氏:確かにそうだ。機能の伸びも収斂しつつある。モデルの発売周期を1年サイクルにしていけば、1機種あたりの調達量は増えるだろう。メーカーが開発した特徴ある端末を、適切な時期に出せるようにもなると思う。
--- 今回発表のなかった“ガラホ”の需要はどうか。
加藤氏:一定のユーザー層に支持されているので、新機種にもチャレンジしていく。
--- 今後商品発表会の開催周期はどうなる。
加藤氏:これから決めていくことだが、ドコモとしてはできる限りイノベーションを追いかけて、皆様に情報発信ができる場をつくりたいと思っている。
--- 今年の春からは販売奨励金制度が見直されたこともあり、夏商戦への影響をどう見ている。
加藤氏:現在進行形の状況なので、まだ影響についてはわからない。お客様の反応と結果を注視しているところ。ただ、春商戦も思っていたよりも売れている手応えがある。
--- フィーチャーフォンからスマホへの乗り換えが鈍化しているという声も聞くが。
加藤氏:今回発表したスグ電など、ドコモはスマホ向けの新技術をブレークスルーにしていきたい。スマホの使い勝手を上げて、便利を当たり前にしていく。
--- アップルのiPhoneは発売周期が年2回になりそうだが、Android系が年1回になれば、また余計にiPhoneの販売比率ばかりが伸びてしまうのでは。
加藤氏:確かにそこは難しいところではある。iPhone SEの販売動向や、今後の新機種の売れ行きとの関連性も見ながら判断したい。
--- ドコモのモバイル決済サービスの取り組みについて。
加藤氏:おサイフケータイやクレカ、dポイントとの連携など広げてきたが、バリエーションはさらに拡充する必要があると思っている。残るのはプリペイドだが、検討していく。
--- dTVやdマガジンなど、いまユーザーに受け入れられた「強い」サービスのアップデートに関するアナウンスが今回なかったようだが。
加藤氏:それぞれのサービスはこれからも強化していくし、コンテンツも増やす。またユーザーインターフェースの改善も絶えず図る。皆様のご意見をいただいて随時改善を進めているつもりだ。
---「+d」の展開に関する自己評価、今後の期待感は?
加藤氏:+dはドコモのパートナーにプラットフォームを活用していただくための試み。現時点ではまだまだ発展の途上。これからも仲間を増やしながら、もっとサービスを拡充していきたい。分野はさまざまだが、今後はIoTを視野に入れていろいろとおもしろいことや、生活・社会に役立つようなことにトライしていくつもり。お客様を第一に考えながら、皆様に体感していただけるチャンスも広げたい。
--- dリビングもキャリアフリー化されるのか。
村上氏:いろいろな方に使っていただけるよう、キャリアフリーで展開する。
--- 発表会ではドコモとして、今後IoTの展開にも力を入れていくという発言があった。
加藤氏:今はまだ具体的に申し上げられない。ただ、単純に商品単位で切り口をつくるのではなく、地方創生や地域活性化なども含めたなかで、トータルで新しい展開を考えている。
--- NTTドコモの社長として、これまで達成してきたことの自己評価は。
加藤氏:モバイルICTは変化が速く、競争も特に激しい分野。ドコモとして遅れていた部分をこれまでに何とかキャッチアップしてこれたと思う。いまは仕上げの時期に入っていると実感している。
山本 敦