ドコモ2016夏モデル5機種のうち、そのフラッグシップ機にあたる「Galaxy S7 edge SC-02H」(サムスン電子)が、5月19日から発売されている。ディスプレイの両端が湾曲した“デュアルエッジスクリーン”が特徴的な、約5.5インチの防水スマートフォンだ。気になっている、という方も多いだろう。そこで本稿ではファーストインプレッションをお伝えしていきたい。なお、同機種はauからも夏モデルとして販売されている。
■第一印象は「数値以上に薄くて軽い」
Galaxy S7 edge SC-02Hを初めて手にした感想は「薄くて軽い」だった。約5.5型有機EL(1440×2560ドット)ディスプレイを搭載するというこの端末、カタログにはサイズ 約151(H)×73(W)×7.7(D)mm、質量 約158gとある。しかしここ最近の同サイズのスマートフォンと比較すると、数値以上に薄くて軽いというのが実感。その理由は両面エッジのデザインにありそうだ。手のひらに当たる部分が“面”ではなく“線”になる同機では、大型ディスプレイを搭載したスマホにありがちな、どっしりとしたイメージから開放されている。なお背面も緩やかにカーブする仕様で、このため握りやすくグリップも安定した。
このほかのスペックも追ってみたい。プロセッサには2.2GHz+1.6GHzのクアッドコアCPU(Qualcomm MSM8996)を積み、RAMは4GB、ROMは32GBとなっている。注目すべきは前機種Galaxy S6 edgeで非採用だったメモリーカードスロットが復活している点。外部ストレージとして最大200GBのmicro SDXCカードが利用できるのは大きなメリットだ。前機種との比較ついでに言えば、バッテリー容量も約1.4倍増の3,600mAhに増量した(Galaxy S6 edgeは2,600mAh)。おまけに急速充電にも対応している。ゲームやdビデオ、VRコンテンツなどを思う存分に楽しめることだろう。
このほかIPX5/8等級の防水性能、IP6X等級の防塵性能を備える。カラーバリエーションはBlack Onyx、White Pearl、Pink Goldの3色で展開。ドコモの提供するサービスとの絡みで言えば、下り最大150Mbps/ 上り最大50MbpsのLTE通信に対応するほか、下り最大375Mbpsの「PREMIUM 4G」にも対応している。また、VoLTEよりさらに高音質で肉声に近いクリアな通話を可能にする「VoLTE(HD+)」、ディスプレイをタッチせずに電話が使える「スグ電」に対応する。前機種「Galaxy S6 edge」との比較を本稿のスペック表にまとめているので参考にしてほしい。
■「デュアルピクセル」を試してみた
Galaxy S7 edgeとGalaxy S6 edgeのスペックを比較すると、当然のことながら随所でアップグレードしていることが分かる。カメラに関しては画素数が少なくなったが、ピクセルが大きくなったことで暗所での撮影能力がアップし、またデジタル一眼レフカメラの技術である「デュアルピクセル」の採用により超高速のオートフォーカスが利用できるようになっている。そこで、実際に何枚か撮影してみた。
まずは公園において、フォーカスの位置にこだわって撮影。手前の花と奥の噴水にそれぞれピントを当てて撮った。なるほどオートフォーカスに迷いがなく、非常に素早くシャッターが切れる。スマートフォンによっては、シャッターボタンをタップする→カメラがピントを合わせる→撮影が行われる、の間にわずかなタイムラグが生じる機種があるが、同機種では同時。シャッターチャンスを逃すことがなくなりそうだ。画質も鮮明で、撮影した写真をピンチインでズームしてもドットが荒くならない。またボケ味の具合も気に入った。
次に、西日が強烈な逆光となるシチュエーションで撮影。同機では、こんな状況でも強さを発揮した。例えば日光のすぐ下に位置している”東京芸術劇場”の文字、他機種なら黒くツブレてしまうところだが、はっきりと読めるのが確認いただけるだろう。屋内では「プロモード」で撮影した。パラメータを自由にいじれるこのモードで、シャッタースピードを遅くして撮ると、歩く人の残像が印象的な写真になった。夜間に、車のヘッドライトや列車のテールランプなどを撮影すれば、光跡が残る面白い作品が撮れそうだ。
そして私たちが日常的によく撮影する被写体と言えば、やはり食事である。そこでGalaxy S7 edgeに標準搭載されている、料理の撮影に最適化された「食事モード」で撮ってみた。いまにも香辛料の風味が立ち込めてきそうな、リアルな質感の写真が撮影できた。
■Always On Display、スグ電
ここからはUIと機能について紹介したい。このシリーズに特徴的なUIと言えば、よく使うアプリやお気に入りの連絡先により素早くアクセスできる「エッジスクリーン」だ。Galaxy S7 edgeでは表示スペースが拡大している。エッジスクリーンは前機種にも搭載されていた機能だが、ディスプレイサイズが5.5インチに上がった同機種なら、使いやすさがより強く実感できることだろう。
このエッジパネルには、電卓、時計、カレンダー、電話帳など、日常的に使うものを登録させておくと良い。あるいはタテの画面サイズを活かした天気予報、コンパス、ニュースフィードなどを表示させてもおもしろい。これらは、エッジスクリーンをスワイプすることで切り替えが可能だ。
地味ながらも使い勝手の良さを感じたのが、ディスプレイの消灯時に時刻や日付がディスプレイに表示される「Always On Display」機能。スマートフォンを持ち始めてから腕時計をしなくなった、という人は少なからずいるだろう。筆者もその一人で、時間が知りたいときはスマホを点灯して確認していた。Always On Displayを利用すれば、スマホのディスプレイを点灯せずに時刻が確認できる。気になるのが電池の消費量だが、実際に使ってみた限りでは、まったく影響がないように感じた。なお時計のほか、カレンダーや画像の表示にも対応している。
NTTドコモの提供する「スグ電」も試してみた。端末をブン!とひと振りしたあと、そのまま耳に当てると、あらかじめ登録しておいた連絡先に音声発信が行える機能だ。右耳と左耳で、それぞれ別の連絡先を登録できるようになっている。NTTドコモ2016年夏モデルではこのGalaxy S7 edgeのほか、「Xperia X Performance」など全4機種が対応している。
右耳に連絡先を登録してから、ホーム画面で端末を振ると「タン!」とバイブが機能。その後すぐに右耳に端末を当てると「タッタタン!」と振動が続いて電話がつながった。従来の、電話帳アプリを起動させて、電話の相手を探して、通話ボタンをタップして、耳に当てるという一連の動作をしなくて済むのはとても楽。よく通話する相手が決まっている人には強くお薦めできる。ちなみに通話中に、平らな場所にスマホを裏向きに置けば、通話を終えることも可能。同機にはVoLTEの進化版「VoLTE(HD+)」も搭載されており、音声通話が捗りそうだ。
ちなみに東京・丸の内の商業施設「KITTE」では、Galaxy S7 edgeと「Gear VR」を使ったコンテンツが楽しめる特設ブースが6月8日までオープンしている。スマートフォンの新しい可能性が体験できることだろう。
協力:NTTドコモ
近藤謙太郎