ソニーの新規事業創出プログラム(Seed Acceleration Program)の新プロジェクトという形で姿を現した、アナログ腕時計の姿をした中にテクノロジーを詰め込んだ「wena wrist(ウェナ リスト)」。クラウドファンディングという形で、支援を募ったところ目標額をあっという間に10倍を超える人気ぶりを博しました。今回は、筆者が実際に購入し、いろいろと利用してきた模様をお届けします。
「wena wrist」というのは、見た目は腕時計そのもので、バンド部にデジタルテクノロジーを載せて、アナログ腕時計のデザインはそのままにガジェットとしての便利機能を搭載したウェアラブル端末です。
「wena wrist」で何ができるのか?というと、バンド部分に、スマートフォンと連動して電話やメールの着信、SNSの更新を光と振動で知らせる“通知機能”、歩数や消費カロリーなど活動量計というログがとれる“ログ機能”、“電子マネー/おサイフケータイ”の3つの機能を備えています。
■近未来なの?アナログなの?
最新のスマートウォッチというと、ヘッド部分に情報を映し出すというちょっと近未来的な雰囲気なものが大多数ですが、「wena wrist」はその真逆というべきか、知らない人からすれば普通の時計にしか見えないというところが最大の特徴です。
ガジェット好きにはもしかしたら物足りないかな?という危惧は、まさに支援の数字が示してしたとおり、実際に使ってみるとあれやこれ欲張らずに機能を絞っているおかげで毎日使うことに違和感がなくいたってシンプルに使いこなせるのです。
「wena wrist」の時計としての種類には、シンプルな文字盤デザインの「Three Hands(スリーハンズ)」と、3つの小さなインダイヤルを持った「Chronograph(クロノグラフ)」の2つがあります。
そしてそれぞれに、ステンレス製の「Silver(シルバー)」と、 IP(イオンプレート)処理で表面にチタン化合物をコーティングを施して高硬度で傷のつきにくい「Premium Black(プレミアムブラック)」の2色が選べます。
時計の顔とも言えるヘッド部分は、シチズンによる設計と製造ということなので、時計であるセオリーから外れない佇まいがあり、いわゆるスマートウォッチでありがちなおもちゃっぽい雰囲気は一切ありません。
ただ、文字盤が光るギミックや何か情報を表示する凝った機能が備わっていないので、ここは割り切りが必要です。あくまでもシンプルな時計としてというのがこのヘッド部分です。
■“キモ”はバンド部分に詰まっている
「wena wrist」のメインとなるものはすべてバンド部分に収まっています。バックルの部分に、基盤からアンテナなどが入っていて、またそのとなりの小さなコマ部分にバッテリーを収めるという繊細な技術がここで発揮されます。
バンドのパーツは、当然金属なので電波を通さないため、FeliCa機能はバックル部分にあるスリットから、Bluetoothはバックル全体をアンテナにするという発想でその特性をクリアしています。
しかもバンド部分は防水機能(IPX5/IPX7)性能ももっていて、“時計としての当たり前”と“テクノロジーの当たり前”を使う側には見えない技術で力で融合させてるというのがガジェッターの心をくすぐるのです。
充電の仕方ひとつをとってもとてもスタイシリッシュにこなせます。ガジェットの充電はというと、microUSBの端子を直接端末にブスっとさすことが通例ですが、「wena wrist」では付属の充電用の専用クリップが付属して、これでバックル部分をパクっと挟み込むだけで充電できます。
こういったささやかなところが大事で、さすが中の人はよくわかってます。実際、毎日使っていますが、バッテリーの持ちも4~5日くらいで、思い立ったときに充電しようかなという間隔なので、毎日充電しなきゃいけないというストレスがありません。
■iOSアプリにも対応
さてどうやって使うかというと、基本的にスマートフォンとBluetoothでペアリングをして使います。
発表当初は、対応アプリがiOSのみに限られていましたが、うれしいことに6月30日時点で、Androidアプリにも対応になりました。まず、“ログ機能”では、「wena wrist」のバンド部分に内蔵されているセンサーから情報を読み取って、歩数や消費カロリーを、チェックできるというものです。
アプリから、1日、1週間、1ヶ月、1年単位での歩数計やカロリー、歩いた距離を確認したり、活動量とあわせて、通知の履歴も一緒に時間軸で確認できます。
それから便利なのが“通知機能”で、TwitterやFacebook、Line、Gmail、電話などで、iPhoneが通知を受けると 「wena wrist」のバックル部分がブルブルっと振動して、スキマから見える7色(白、赤、青、緑、紫、黄、水色)のLEDが光でお知らせしてくれます。
これで、アプリ通知があると、バックルがブルブルっと震えて、さらにLEDが光ってお知らせしてくれて、電話の通知相手もカラーで設定しておくと、誰からかかってきたかをカラーで判別することもできます。
こういった機能は、スマートウェアでは当然の機能ですが、このメカメカしいハードのみで、色と震える回数でより視覚的に通知してくれるというところにかなり萌えます。
唯一、“電子マネー機能”だけは、iOSでしか使えません。というのも、理由は明快で、電子マネーを利用できるアプリは、フェリカネットワークスが提供する「おサイフリンク アプリ」のみで、iOS版のみの提供にとどまっているからです。
ということで、iOSでは当たり前に使えますし、Androidをメインに使っている人でも、もしもiPhone(iOS端末)を持っているのであれば、設定の時だけ利用して使うことができます。
iPhone(iOS端末)から「おサイフリンク」アプリを使って、利用したい電子マネー(楽天Edy、iD、QUICPay、ANA Skipサービス、ヨドバシカメラのゴールドポイントカード)の設定すればOKです。
一度設定してしまえば、再度チャージしたい場合には、例えば「楽天Edy」であれば楽天Edyチャージ機でも使えるようになります。
■wena wristでの決済は想像以上に快適!
さて、実際にコンビニなどで、楽天Edy決済を試してみましたが、手首にある「wena wrist」をFeliCa リーダーにひょいとかざすだけでピコリン!と決済できます。
これ、相当にキモチイイです。
まだこんなことができるウェアラブルなスマートウォッチは「wena wrist」以外に存在していないので、店員さんもかなりの確率で驚きます。このたまらない優越感というか、未来感が一番まっさきに味わえるのが「wena wrist」です。
もう、ここまできたら、ぜひとも「Suica」に対応してもらった、「wena wrist」をかざして電車やバスの乗り降りがしてみたい!という衝動にかられます。見た目はあくまでも普通の時計で、スマートバンドの役割も担いつつ、おサイフケータイの決済までできるという、日常にサラっと溶け込む感がものすごくツボにハマります。
すっかり筆者もハマってしまった「wena wrist」ですが、なんとクラウドファンディングからの好評が花開き、6月30日からは全国80店舗以上の販売店でリアルに見て触って「wena wrist」が購入できるまでになりました。気になる人はぜひ近くの店舗に足を運んで、このハードとソフトの魅力ががっちり合体した「wena wrist」を手にとって見てみてはいかがでしょう。
君国 泰将