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“新型VAIOスマホ”を速報レビュー!Xperiaとの比較は?Windows 10 Mobileで何が進化?

2016-02-04 13:00:04
 VAIOは昨年3月に日本通信との協業で初のスマートフォン「VAIO Phone(VA-10J)」を発表。MVNOの草分け的存在である日本通信のノウハウを学びながら、通信とハードのパッケージによる新しい価値をVAIOが提案できたという意味では大きな一歩だったことは間違いないが、かたや端末そのものにPCのVAIOから引き継ぐべき“プレミアム感”や“オリジナリティ”が欠けていたように筆者は感じていた。

 あれから約1年、ついにVAIOが主体となって開発した、「VAIOによる、VAIOのスマホ」と呼べる端末「VAIO Phone Biz(VPB0511S)」が発表された。ソニー時代から築き上げてきた独自の技術とステータスを活かして、VAIOだからこそできることを徹底追求しながら、ビジネス用途に最適なスマホとして他社製品にない魅力をアピールしようとする意志が「Biz(ビズ)」というネーミングに込められている。

■“安曇野FINISH”でプレミアム感が伝わってくるデザインに

 今回はひと足早く「VAIO Phone Biz」の試作機を借りてハンドリングする機会を得た。新しい端末は、外観から一目でプレミアム感が伝わってくる上品なデザイン。筆者もWindows PCはVAIO Pro 13 Mk2を使っている。ポータビリティや機能などさまざまな点を比較してVAIOを選んだのだが、一つの決め手になったのは仕事のツールとしての「使いやすさ」という本質を徹底的に追求した、無駄がなくエッジの効いた「デザイン」が気に入ったからだ。同じデザインランゲージを共有する、シャープで精悍なルックスを今度の「VAIO Phone Biz」はしっかりと身にまとってきた印象を受けた。

 筐体のメイン素材にはインゴットから贅沢に削り出したアルミが採用されている。コンピューター制御による切削機械を使って緻密に形状を象りながら、外装に樹脂のフレームを一体化する工程、表面を研磨したのちにアルマイト加工を施したつや消し処理を加える工程などを重ねながら、金属の塊にプロダクトとしての命が吹き込まれてきた。背面にはレーザーエッチングでVAIOのロゴが刻印されている。

 本体の組み立てを終えたVAIO Phone Bizは、PCのフラグシップラインである「VAIO Z」や「VAIO Z Canvas」と同様に、VAIOが長野県の安曇野市に構える工場で全数検査を行ってから出荷される、いわゆる「安曇野FINISH」のプロダクトだ。国内生産のスマホで全数検査を行うケースはとてもレアだと言えるだろう。VAIOがソニーから独立して、従来のVAIOファンからの信頼を失わないよう品質管理に徹底して注いできたノウハウが「安曇野FINISH」であり、これを正統に受け継ぐスマホがVAIO Phone Bizなのだ。

■「Xperia Z5」と比較してみた

 同機は“Biz”の冠が付いたビジネス向けスマホとして提案されているが、もちろん個人での購入も可能になる。VAIOストアでの受注と販売は3月中からのスタートが予定されているほか、量販店やMVNOにも取り扱いは拡大していくだろう。

 本体のディスプレイサイズは5.5インチ。筆者が普段使っているソニーモバイルの「Xperia Z5 Premium」は同じ5.5インチのスマホだが、並べて置いてみると本体の厚みは「VAIO Phone Biz」の方がわずかにスリムだ。背面パネルの艶やかな質感が所有欲をそそる。フロントパネルには強化ガラスが使われている。

 ボトムにmicroUSB端子をキャップレスで配置。右側面にボリュームと電源ボタン、トップにヘッドホン端子、そして左側にSIM/SDカード共用スロットを備える。なおSIMカードはmicroとnanoを1枚ずつ挿せるデュアルSIM対応となっているが、公式にサポートしているのはmicroSIMとなる。

 ディスプレイの解像度はフルHD。バッテリーの容量は2,800mAh、RAMは3GBとなる。このあたりはソニーモバイルの現行フラグシップである「Xperia Z5」と、スペック上ではほぼ変わらない仕様になる。一つ大きく異なるのは搭載されているプロセッサー。Xperia Z5にはハイエンドの「Snapdragon 810」シリーズが乗っているが、VAIO Phone Bizの方はミドルレンジの「Snapdragon 617」となっている。ただ、実用動作としては上位プロセッサーに劣る感触は全くなく、スペック上もオクタコアエンジンで最大動作周波数は1.5GHzをカバーしている。処理性能とコストのバランスに優れるSoCの採用を歓迎したい。

 通信機能については国内での安定動作を優先して、ドコモが展開するLTE/3Gの帯域は2.1GHz(バンド1)/1.8GHz(バンド3)/800MHz・3G(バンド6)/800MHz・LTE(バンド19)/1.5GHz(バンド21)まで広くサポートした。ドコモの回線を使うMVNOのSIMについても快適に使えるはずだ。ドコモとのパートナーシップについては最大225Mbpsのキャリアアグリゲーション対応や相互接続性試験の実施も予定している。また法人市場における販売活動についてもVAIOとドコモが共同で行うという。他キャリアではソフトバンクのバンドについて、バンド1(2.1GHz)/バンド8(900MHz)/バンド11(3G)をサポート対象としている。

■「Windows 10 Mobile」を採用したメリットは?

 さて、ここからは「VAIO Phone Biz」が特徴としてうたっているポイントについて、ハンドリングを交えながら考察を加えていきたい。

 同機がソニーモバイルの「Xperia Z」シリーズや、日本通信との協業モデルである「VAIO Phone(VA-10J)」と大きく異なっているのは、プラットフォームに「Windows 10 Mobile」が採用されているところだ。マイクロソフトのWindows 10 Mobileを搭載するスマホは昨年末から国内でも複数機種が発売され、にわかに注目を集めている。その特徴はWindows 10を搭載するPCとスマホの間で同じアプリや業務システムをクラウド経由で連携させて、ファイルなどを共有できる利便性の高さにあると言われている。

 一般コンシューマーにとってはOne Drive経由でのファイル共有や、Microsoft Officeで作成したファイルをそれぞれのデバイスで閲覧・編集できたりといった使い勝手は確かに心地良く感じられる面もあるが、でもまあ、それだけなら今やiOS/Androidの端末でも簡単にできるようになってしまったので、購入の決定打にはならない。

 あとはWindows PCとユーザーインターフェースの親和性が高いとも言われているが、独自のタイルUIはむしろ慣れるまでに少し時間がかかるし、PCとまったく同じではないので、スマホ初心者には周りの人に教えてもらえる機会が多いという点で、ユーザーの多いiOSやAndroidを選ぶメリットの方が大きい。

 そしてWindowsの方がストアで提供されているアプリがまだ多くないぶん、ユーザー体験の幅が少し狭いプラットフォームだ。Windows 10 Mobileの優位性はむしろ、マイクロソフトのクラウドサービスをベースに業務システムを構築する法人ユーザーにとって親和性が高く、魅力が強く感じられるものになるかもしれない。

 Windows 10 Mobileを採用するVAIO Phone Bizが、魅力として強く打ち出せそうな機能は「Continuum(コンティニュアム)」に対応したことだ。「Continuum」とは、モバイル端末を専用のアダプタと有線、または無線でつないだ後、アダプタを接続したPCモニターにモバイル端末の画面をミラーリングしながら「PCライク」に使えるサービスだ。

 Snapdragon 410/210などエントリークラスのプロセッサーを搭載するWindows 10 Mobileスマホでは使うことができないので、それよりも上位のプロセッサーを搭載するVAIO Phone Bizが、国内市場に出始めてきたWindowsスマホより一歩先を行く機能として魅力を打ち出すことができる。対応端末との接続方法には無線と有線があるが、VAIO Phone Bizの搭載するSnapdragon 617では無線接続までの対応になる。

 今回はVAIO Phone Bizと、同機で動作確認が予定されているActiontec社が開発するContinuum対応のワイヤレスディスプレイアダプタ「ScreenBeamMini 2」を借りて、Continuumの使い勝手についてもチェックしてみた。ちなみにこのアダプタはVAIO Phone Bizの同梱品ではない点については注意してほしい。

 使い方はとても簡単。最初にアダプタをHDMI端子のあるPCディスプレイなどの機器につなぐ。アダプタのパッケージに付属するUSBケーブルを使ってACアダプタで電源を供給しながら、マウスやUSBハブなどのオプションは分岐先のUSBメス型端子に接続する。画面には「機器の接続を待っています」と表示されるので、続いてVAIO Phone Bizのスタート画面から「Continuum」を選び、接続先アダプターの名前をタップ。ディスプレイにWindowsのデスクトップ画面が表示されると、スマホの画面がデスクトップ画面を操作するためのタッチパッドになって、スマホをPCのように使える環境ができあがる。

 スマホ画面のタッチパッド操作だけでは心許ないので、キーボードやマウスも使いたいものだ。「ScreenBeamMini 2」を組み合わせて使う場合は、Bluetooth対応のキーボードやマウスをVAIO Phone Bizにペアリングするか、あるいは「ScreenBeamMini 2」の本体に付いているUSB端子に有線のキーボードやマウスをつなぐ手もある。実機で試した感覚としては後者の方が操作は安定する。

 Windows PCで作業しているように感じるほど、操作のレスポンスはスムーズだ。外出先はスマホで、自宅にHDMI搭載のディスプレイを用意すればPC感覚で色んな作業がこなせる。Continuum機能によりスマホを使用している間でも電話はつながるし、スマホとContinuumの画面で別々のタスクを行うことも可能だ。

 ただし、Continuumはマルチタスクには対応しているが、マルチウィンドには非対応なので、さまざまなアプリによる作業も常にシングルウィンドウでの作業になってしまう。ここはさすがにPCのようにはいかないところだ。画面下のタスクバーからバックグラウンドで待機するアプリを切り替えながら作業するかたちになる。

 ビジネスドキュメントの作成や編集、メールやWebのチェックには十分使える機能だが、クリエイティブ系アプリがガンガン使えるようになるまでにはまだ進化の余地が残されているようだ。

 筆者の場合、仕事で撮影した写真をAdobe Photoshopで本格的に加工・編集する作業も多いので、Windowsストアで提供されている「Adobe Photoshop Express」がContinuum上で使えるのか、期待しながらチェックしたところ、残念ながらContinuum側でアプリを立ち上げることができなかった。DropboxについてもまでContinuumは非対応とのこと。

 ふだんのPCでの作業環境がまるごとスマホに移行できるというわけにはまだいかなそうだ。これはVAIO Phone Bizの課題ではなく、今後のContinuum機能の進化に期待すべきところだ。

■ソニーからVAIOへ、そのDNAは受け継がれているのか

 VAIO Phone BizにはWindows 10 Mobileに搭載されている音声認識アシスタント「Cortana」が使えたり、Skypeのプリインなど便利なアプリも充実している。一方で「ビジネス向け」を特徴としてうたうスマホであることは分かっているのだが、ソニーのDNAを継承するエッジの効いたエンターテインメント系機能の搭載にもチャレンジしてほしかった。

 例えば本体リアには約1,300万画素のメインカメラを搭載しているが、こちらはXperia Zシリーズが内蔵するカメラのように、特にデバイスやソフトウェアを活かしたハイグレードな撮影機能を統合したものではない。実際に撮れる写真の画質は一般的なクオリティであり、「Xperia Z5 Premium」と比べてしまうと、やはり暗所で撮った写真の出来映えはXperiaに軍配が上がる。動画撮影もフルHDまでとなり、写真・動画撮影のマニュアル設定項目についても標準的なメニューだ。

 確かにビジネスシーンでメモ代わりに撮る写真にそれほど上質な仕上がりを求める必要はないのかもしれないが、同機は一般のSIMフリースマホを求めるコンシューマーにも販売するモデルなのだから、競合するカメラ機能にこだわったHuaweiやASUSなどの端末に及ばずとも、どこかにピリッとスパイスの効いたVAIOならではのこだわりを盛り込んでほしかった。

 またビジネスシーンを中心としたハードワークを前提とするならば、防水・防塵に非対応な点、NFC/FeliCa機能は非搭載な点についても若干の疑問が残る。メタルボディの上質な質感にこだわったこととのトレードオフになる部分なのかもしれないが、それならばぜひ本体をしっかりと保護できる専用ケースなど純正のプロテクションアイテムも発表後に充実していくことを期待したい。

 何はともあれ、待望の「VAIOによる、VAIOのスマホ」として、今回発売される「VAIO Phone Biz」には開発者のこだわりが実感できる部分も多々あり、筆者としてはとても魅力を感じる端末だった。これで販売価格が5万円台ということであれば、トータルで考えた時のコストパフォーマンスは十分に高いと言えるのではないだろうか。

 エグゼクティブのビジネスツールとして、上品なデザインとマテリアルによるモノとしての完成度の高さも魅力的だ。できれば今後反響を見ながら、他のカラーバリエーションへの展開にもチャレンジしてほしい。Windowsスマホの普及に弾みを付けそうな、今後注目すべき端末になるのではないだろうか。

協力:VAIO
山本 敦

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