ソニーモバイルは現地時間1日、「IFA 2016」(ドイツ・ベルリン)の会場で新しいXperiaシリーズのフラグシップスマホ「Xperia XZ」を発表した。同日発表の新製品4.6インチのコンパクトモデル「Xperia X Compact」とともに、秋以降の全世界展開が予定されているという。
■春にデビューした「Xperia X」にファミリー追加
ソニーモバイルは2月に開催された「MWC 2016」(スペイン・バルセロナ)で新しいXperia Xシリーズを発表。ソニーのテクノロジーを詰め込んだフラグシップのZシリーズを直近の「Z5」で完了することも明らかにしていたが、今回は意外に短いインターバルで現行最上位のXperia X Performanceの上位に加わるフラグシップを発表した格好だ。Xperia XZは10月、Xperia X Compactは9月からの市場投入が見込まれる。日本での展開に関する具体的なアナウンスはまだIFAの時点ではなかった。
両モデルともに、プラットフォームはAndroid 6.0を採用。本体のデザインがXperia Zシリーズ、Xperia X Performanceとも一味違うテイストに変更されている。サイドフレームに曲線を活かした「ループ・サーフェス」デザインとしながら、4隅コーナーはXperia X Performanceよりも鋭角に仕上げた。バックパネルとフロントベゼルのカラー、壁紙まで統一したシームレスなルックス。側面電源ボタンには指紋センサーを内蔵する。
Xperia XZは高輝度でシャイニーな仕上げが特徴。神戸製鋼が独自に開発したメタル素材である「ALKALEIDO(アルカレイド)」を採用。バックパネルはサイドに切り込みを入れてアンテナの感度を確保した。キーカラーである“フォレストブルー”のほか、“ミネラルブラック”と“プラチナ”の3色展開。
Xperia X Compactはプラスチック製のプレートの上に特殊塗装を多層重ねして陶器のような質感を持たせた。カラーバリエーションはこちらも3色で、ユニバースブラック/ホワイト/ミストブルー。
■カメラ機能を強化した5.2インチの「Xperia XZ」
フラグシップのXperia XZは約5.2インチのフルHD/1080pディスプレイを搭載。プロセッサーにはクアッドコアの64bit対応SoCのSnapdragon 820を搭載。対応周波数帯は公表されていないが、LTEの通信規格はCat.9の高速対応。メインメモリーは3GB、ストレージは最大64GB。
大きく強化されたポイントはカメラ機能だ。ソニーが誇る最先端技術を活かした「トリプルイメージセンシング技術」により、自動フォーカス精度が高められている。
メインカメラには23MPのExmor RSイメージセンサーを搭載。強化されたオートフォーカス機能は、従来のコントラストAFと位相差AFをハイブリッドに用いるオートフォーカスに、Xperia X Performanceからは被写体の動きを予測して合焦する「先読みAF」を加えた。今回はそのAFシステムをベースとして、さらに新しいセンサーを追加。レーザー光源によるフォーカスセンサーは暗所でのフォーカス合わせを容易にする。もう一つのRGB-IRセンサーでは、被写体の色情報を正確に検知するので、あらゆる光源環境で撮影してもシャープでフォーカス感が鮮明な写真が撮れるという。
従来からXperiaシリーズのフラグシップスマホに搭載してきたソニー独自の画作りのノウハウを集約した画像処理エンジン「BIONZ」が撮影後の画像データを高精度に処理。画質の良いGレンズも引き継いでいる。
動画は4K撮影に対応。さらに手ぶれを少なく抑えるため、スマホでは世界初の試みとなる5軸手振れ補正機能を追加。セルフィー撮影時に発生しがちな細かい手ぶれもしっかりと抑える。なおフロントカメラは13MPのセンサーが内蔵された。暗所撮影にも強く、画角も広く写真に収められるのが特徴だ。
Xperia Xシリーズが追求する「ユーザーに寄り添うインテリジェントで、パーソナライズされた体験」を具現化するため、バッテリーを長持ちさせるQnovo社開発のエネルギーマネージメントのアルゴリズムを採用する。例えばユーザーの生活習慣を学習しながら、就寝時から起床時間の間に充電を行う場合、ベタで同じ容量を充電し続けてバッテリーパックをへたらせてしまわないよう、目覚めの時刻にバッテリーの充電が完了するよう、徐々にバッテリーパックの中の電源を満たしていく、賢い充電が可能だ。バッテリーがへたるまでの時期を、通常の2倍長持ちさせられるそうだ。バッテリーパックの容量はXperia XZが2,900mAh。USB端子が従来のmicro USBから本機からXperiaとして初めてUSB Type-Cに変更。クアルコムのクイックチャージ 3.0をサポートする急速充電対応だ。
便利なユーティリティアプリはキャッシュデーターの最適化・クリーニングツール「Smart Cleaner」をプリインストールしている。
■4.6インチスマホ「Xperia X Compact」
片手持ちで操作しやすいXperia Compactシリーズの流れをくむ4.6インチのスマホ。画面の解像度は720p/HD対応。位置づけとしては日本未発売の「Xperia Xのコンパクト版」であるが、本体のサイズ感やディスプレイの解像度などは従来のXperia Compactシリーズの設計思想を受け継いでいる。プロセッサーには64bit対応のクアルコムのSoC、Snapdragon 650を搭載。通信規格はLTE Cat.6対応。メインメモリーは3GB、ストレージは32GB。
メインカメラの撮影機能まわりはフラグシップモデルであるXperia XZと同じく、トリプルイメージセンシング技術を採用したことによるフォーカス性能の向上がメイントピック。BIONZエンジンやGレンズは本機にも搭載されている。バッテリーパックの容量は2,700mAh。ちょうどXperia X Compactと同サイズだ。Qnovoのバッテリーマネージメントによる長寿命設計を採用。同機もUSB Type-Cを乗せている。なおXperia XZは本体を防水・防塵仕様だが、Xperia X Compactではそれぞれが非対応になる。日本のキャリアから取り扱いがあるのか、コンパクトサイズのスマホを支持するユーザーには気がかりになるだろう。
山本 敦