楽天モバイルは14日に記者会見を開催。iPhoneの買い替え需要の高まりに備えた新サービスの導入に関する説明を行った。
発表会の壇上には同社チーフプロダクトオフィサーの黒住吉郎氏が登壇。新サービスの概略を語った。黒住氏は「楽天モバイルはいま格安スマホ・SIMのサービスでNo.1のシェアを獲得している。その理由はいくつかあるとみているが、なかでも今年の1月から開始している“5分かけ放題”の音声通話サービスが成長をけん引している。大手キャリアの独壇場だったかけ放題サービスをMVNOとして導入したことで品揃えを充実させることができた」と分析。さらに楽天スーパーポイントがスマホの月額料金にも利用できることのお得感が顧客に響いているとした。スマホとデータ通信、5分かけ放題をパッケージにした3段階の月額定額プランもユーザーから好評を得ているようだ。
現状のサービスメニューにおいて、不足しているポイントを補うことが今回発表する新サービスの狙いだと黒住氏は前置きしながら、「すでにSIMフリー端末をお持ちの方が、楽天モバイルのサービスを使いたいという声を受け止めたサービス」として、楽天モバイルのSIMと、5分かけ放題のサービスを一緒に契約すると1万円相当の楽天ポイントをプレゼントする、通称「新iPhone発表記念キャンペーン」を2016年の9月14日から10月3日まで限定期間導入する。
またこれまで楽天モバイルでは、同社でサービスと端末を一緒に申し込んだユーザーのみに端末の故障・修理を対応する保証サービスを提供していたが、これからは自身でiPhoneなどSIMフリー端末を購入して楽天モバイルに契約した場合も、月額500円で「つながる端末保障by楽天モバイル」が利用できるようにする。
また端末と通信サービスをセットにしたコミコミプランの好評につき、「もっと選べる端末を増やしてほしいという声を受けた」(黒住氏)として、コミコミS/Mのプランにそれぞれ1機種ずつ対象端末を増やす。サービスの導入は9月の下旬を予定する。
■中古スマホ市場へ乗り出す
本日の発表内容のもう一つの目玉は、楽天モバイルによる中古スマホ端末の取り扱いに関するものだった。
黒住氏は「日本国内で中古自動車の市場は活発なのに、携帯電話の中古市場はまだまだ規模が小さい。それぞれの業界は特性が違うから一概に比較するのは筋違いかもしれないが、携帯電話も中古端末をもっと手軽に多くの方々が使えるようにしていくべきと考えている。特にiPhoneは中古品でも使いたいというニーズが高いとみている」としながら、都内に拠点を置く、中古携帯のアワーズと提供して、楽天モバイルのサービスと一緒に利用できるサービスを充実させていくことを明らかにした。楽天市場でアワーズが出品する端末と、楽天モバイルの通話SIMと5分かけ放題を申し込むと、10,000ポイントがプレゼントされる。
楽天モバイルの独自調査によれば、同社のユーザー層はこれまで中核を支えてきた30~40代の層から、シニア層、若年層にも広がりをみせているという。スマホをあまり利用したことのない初心者のための勉強会などを積極的に開催し、好評を得てきたことが顧客層拡大につながっているという。スマホの使い方がわからないという声に対しても、オペレーターによるリモートサポートも用意して丁寧にケアできる体制も強化してきた。
混雑する店舗にも訪れやすいよう、シニア層のための優先席を設けたり、インターネットを使いこなせない、あるいは店舗に足を運ぶのが難しいというシニア層のためには、自宅にいながら楽天のスマホやサービスを契約できる出張訪問のサービスも用意している。これらの施策に加え、60歳以上の申し込みについては来年1月末まで利用料金を半額に値引くサービスを実施。楽天モバイルとしてこれからシニア層の顧客獲得を積極的に図る姿勢も打ち出した。
記者会見では大量のデータ通信を必要とするヘビーユーザーへの対策に関する質問も投げかけられ、楽天モバイルとしても多様なニーズに応えられるようプラン設定をつくっていきたいという考えが示された。
山本 敦