都内で24日に開催された「2016秋冬 UQ発表会」。UQコミュニケーションズ 代表取締役社長の野坂章雄氏が質疑応答、囲み取材に応じた。
■通信速度をUQ mobileの売りに
--- 他社でも5分かけ放題のサービスを提供している。サービス提供の狙いは?
野坂氏「ドコモさんをはじめ、大手キャリアさんでも提供している。私たちはMVNOなので限界はあるが、少しでもお客さんの選択枠を拡げて、快適に利用してもらいたい。そのために導入した」
--- UQ mobileは格安スマホのシェアが高くない。将来的にどのようなポジションを目指しているのか。
野坂氏「いま総務省も格安SIMサービスの市場に注目している。ワイモバイルさんを含めると、今後、市場規模はかなり大きくなる。UQ mobileは1年前からスタートした。まだ利用者は多くないが、それでも1年前に比べると5倍ほどに増えている。将来的には、格安SIMサービスの新規契約者の1/3くらいを獲っていきたい」
--- 端末ラインナップが揃った。
野坂氏「ドコモ系に比べて、au系のネットワークに対応する端末が少ないのが大きな悩みだった。そこでこれまで一所懸命、メーカーに働きかけてきた。現在ではiPhoneにも対応、中華系のスマートフォンも増えた」
--- MVNOのサービスは、回線が混み合う昼の時間帯などの通信速度が遅い。UQ mobileでは対策をしている?
野坂氏「UQの矜持として、徹底的に通信速度を上げていかなくてはいけないと思っている。通信速度をUQ mobileの売りにしていく」
■UQ mobileはKDDIから優遇されている?
--- mineoでもコミュニティサイトを運営している。
野坂氏「UQ WiMAXでも、以前から“UQお客様の会”を運営していた。お客様と接することがサービスの気付きにつながる。mineoさんのコミュニティサイトは、どちらかと言うとギーク層向け。UQ mobileでは”スマホを皆のものにしたい”という立ち位置で、初心者の方にも分かりやすいよう、原点回帰でやっていきたい」
--- 端末のラインナップが拡充された。
野坂氏「当初、UQ mobileには2つの対応端末しかなかった。やはり複数のラインナップから選べないと、お客さんは嫌だと思われる。初めから気持ちが閉じてしまう。ラインナップが拡充されると、今度はどれを選べば良いか分かりづらくなるが、そこで機能をしっかり説明していく。周回遅れながら、ようやく端末が揃ってきたと思っている」
--- 同じくau系のネットワークを利用するケイ・オプティコムからは、UQ mobileがKDDIから優遇されているのではないか、との見方も出ている。
野坂氏「当初、総務省はiPhoneなどの高額な端末をキャリアが安く販売していた状況を問題視した。その後、格安SIMサービスをどう育てるかという話になった。現在、市場にはキャリアは高いけど格安SIMサービスには不安がある、と考える消費者の方も多い。そこで、第三極の存在が必要になりつつある。競争は、右か左かという単純な話ではない。真ん中の集団も必要。スマホの値段が下がり、なおかつ安心して使えるようになれば良い。我々は、我々にできることをきちっとしていく、という想いでいる」
--- ワイモバイルを意識している?
野坂氏「過去にはイーモバイルさんとUQが争ってきた。いまワイモバさんは絶壁(のような壁)。ただ、気持ちで負けてはいけない。良き先輩であるワイモバさんと、良い競争をして、ワイモバさん以上のものをつくっていきたい」
--- ソフトバンクとワイモバイルのような関係を、KDDIとの間に築いていきたい?
野坂氏「その感覚はない。あくまで違う会社だと思っている。WiMAXの顧客ベースにスマホを併せたところで、第4キャリアとして頑張りたい。志としては、auのセカンドブランドではないという気持ちがある」
--- 大手3キャリアが大容量のデータプランを提供開始した。
野坂氏「注視したい。これまでは、キャリアの端末でデータを使いすぎてしまうので、スマホとルータを2台持ちしているという人がいた。キャリアで20GB、30GBが使えるようになれば、スマホとルータを2台持ちするよりも、スマホ1台のテザリングで済む。そちらの方が良いに決まっている。どのくらいの影響が出るか、心配している。UQとしてはWiMAXという財産があるので、これを使ってどう対応していくか。色々な合わせ技で対応していけたら」
--- UQ mobileでギガ放題のようなプランの提供は難しい?
野坂氏「それは、もう(苦笑)。MVNOという立場を考えると辛い。でもやはり、バッテリーの駆動時間などを考えると、スマホとルータの2台持ちの方が安心できる部分もある。ボク個人の、ルータに対する思い入れなどもあるかも知れないが」
--- UQ mobileの取扱店舗の拡大のスケジュールは?
野坂氏「急ぎたいけれど、立地条件やコストなどの問題がある。良い場所はおさえられている。ショップにも、様々な役割があることが分かってきたところ」
近藤謙太郎