楽天モバイルは27日、2016-2017冬春 新商品・新サービス発表会を開催。シャープ製「AQUOS SH-M04」など3モデルをラインナップに追加するとともに、大容量のデータプラン、家族でも1人でも分け合えるデータシェアサービスなどの新サービスを発表した。
■しかるべき立ち位置を確保
発表会の冒頭、楽天 執行役員 副社長の平井康文氏が登壇した。楽天モバイルの設立は2014年10月のことで、今月でちょうど丸2年が経った。平井氏はこれまでの取り組みを振り返るとともに、直近の利用動向調査を引き合いに「メインで利用している格安SIMサービスにおいて、シェアNo.1を獲得した」(MMD研究所調べ)ことなどを紹介。「MVNOの認知度が高まるなかで、楽天モバイルはしかるべき立ち位置を得つつある。サービスの進化が、シェアという形で現れてきた」と評価した。
オンラインとオフラインの融合を目指し、全国にリアルタッチポイントを増やし続けている同社。今年1月には「100カ所以上で展開する」と宣言していたが、10月27日現在で106店舗を展開するまでになった。次の目標は「2017年内に150店舗以上」と定めている。なお店舗の運営形態は、その土地によってフレキシブルに変えていく。例えば、東京・下北沢にはイタリアン・ジェラート・アイスクリームのViTOとコラボした新店舗を出店するほか、地方にはスーツケースを利用した“ポップアップストア”などの出店も予定しているという。楽天モバイルならではのユニークな出店事例になりそうだ。
■大容量プラン×シェアプラン
楽天 執行役員 楽天モバイル事業の大尾嘉宏人氏は、新サービスを紹介した。楽天モバイルの提供する大容量データプランは「20GBプラン」と「30GBプラン」。通話SIMなら20GBプランが月額4,750円、30GBプランが6,150円(すべて税込、以下同)。データSIM(SMSなし)なら20GBプランが月額4,050円、30GBプランが5,450円となっている。テザリングの利用に追加料金は必要なく、直近3日間のデータ通信量にも制限はもうけていない。申込受付は11月4日から、サービスの開始は2017年1月からを予定している。
大容量データプランと併用したいのが、家族でも1人でもパケット容量を分け合えるデータシェアサービス。同一名義のSIMカード間や家族間に限らず、楽天モバイルの利用者であれば誰とでもシェアできる仕様になっている。シェアオプション料金は1回線あたり月額100円(キャンペーン期間中は無料)。最大5回線のグループを設定でき、それぞれの回線の前月繰り越し分をグループ内で使える。2016年内に受付を開始、2017年1月からサービスを開始する。
このほか、利用料金の支払い方法に選択肢が追加される。楽天モバイルではこれまでクレジットカードでの支払いのみとなっていたが、今後は口座振替にも対応する。月額利用料、事務手数料などが引き落とせるようになる予定だ(端末、アクセサリー代金は対象外となる)。サービス開始時、300以上の金融機関に対応。11月下旬より受付を開始する。
■冬春モデルにAQUOSが追加
続いて、楽天 楽天モバイル事業 チーフプロダクトオフィサーの黒住吉郎氏が新製品について紹介した。2016-2017冬春モデルとしてスマートフォン1機種、タブレット1機種、フィーチャーフォン1機種が追加される。「AQUOS SH-M04」はIGZO搭載の防水防塵に対応したモデル。店頭販売予定価格は29,800円で、発売時期は12月中旬を予定。黒住氏は「機能が充実した機種。シャープが世界に誇るIGZOディスプレイを搭載、長時間の電池もち。コンパクトでミニマルでシンプル。ミッドレンジスマホの集大成になる」とアピールした。ちなみに楽天モバイルのオリジナル色として、レッドを用意している。
また、1万円台のシンプルタブレットとして「MediaPad T1 7.0LTE」(ファーウェイ製)を追加する。7インチの製品で、4,100mAhのバッテリーを搭載。通話機能も搭載しているため、黒住氏は「1台目のメイン端末としても利用できる」と紹介した。店頭販売予定価格は10,980円で、10月27日より発売を開始する。
「AQUOSケータイ SH-N01」(シャープ製)は、楽天モバイルで初めて取り扱う折りたたみ型の携帯電話で、いわゆる“ガラホ”だ。VoLTEに対応、本体キーボード上のタッチエリアを指でなぞることで画面上のポインタを操作できるなど、機能が進化している。店頭販売予定価格は24,800円で、12月上旬より発売を開始する。
冬春モデルの追加にともない、料金プランと端末の分割払いがセットになった「コミコミプラン」に対象する機種も、従来の5モデルから9モデルに拡大される。例えばAQUOS SH-M04をコミコミMで契約した場合、2GB/ 5分かけ放題で月々2,480円(1年目)。「honor 8」(ファーウェイ製)を新設の「コミコミLL」で契約すると、4GB/ 5分かけ放題で月々3,480円(1年目)となる。
■脱・格安スマホを目指す
発表会の最後に、再び平井氏が登壇。「この2年間でMVNO事業の基礎は成り立った。来年は基礎から大きく勝負に出る。MVNO事業者、また業界全体にとっても勝負の年になる」と述べたあと、「脱・格安スマホを目指す。“利用料金が安いだけで、安かろう悪かろうなんでしょう”という偏見から脱却したい。それには付加価値を、どれだけご提供できるかだと思っている」と説明。「LTE」という言葉が一般的にも通じるようになったように、来年は「MVNO」という単語が人々の日常会話にのぼるようにしていきたい、と意気込んだ。
近藤謙太郎