ソニーネットワークコミュニケーションズは1日、MVNOサービス「nuroモバイル」に新しいメニューとなる「データ前借り」「10分かけ放題」を追加。新機能の「深夜割プラン」も立ち上げた。
同社は同日に記者会見を開催。このほかの新しいオプションも含めたサービスの詳細をモバイル事業部門 ビジネス開発部 部長の細井邦俊氏が説明した。
nuroモバイルが新サービスの発表会を開催した
■翌月のデータ容量を前借りできる「データ前借り」
ユーザーがいま契約しているプランから、翌月のデータ容量を当月分として“前借り”して使えるサービス。ひと月ぶんの容量を超えてしまっても、快適な高速通信サービスを継続利用できる。細井氏は新メニュー設置の背景について「お客様からデータ容量が月末に尽きることが多く不便という声をいただく。でもチャージするほどではないという微妙なさじ加減にうまくミートする新サービスを用意した」と説明。データ容量を無駄なく、必要なだけ使えるサービスを加えて多様な顧客ニーズを捉える。
翌月のデータ容量を前借りできる「データ前借り」サービスを追加
前借りは1ヵ月間の上限が2GBまでと定められているが、利用回数は無制限。最低10MB以上、1MB単位から前借りできて手数料もかからない。使い切れなかったデータは翌月に繰り越せるので無駄にならない。先行するデータの「チャージ」サービスや、nuroユーザーとパケットを分け合える「パケットギフト」にも併用できる自由度の高いプラン設計とした。細井氏は「多様なサービスメニューによってお客様にデータを無駄なく、有効に使ってもらえる仕組みになっているはず。利用スタイルに合わせて使い分けてほしい」と呼びかける。
既存の「チャージ」や「パケットギフト」と合わせて有効なデータ活用をユーザーに提案する
■nuroモバイルでんわが「10分かけ放題」に拡大
10分以内の国内通話が回数無制限で使えるようになる。「nuroモバイルでんわ」は従来5分までのかけ放題を月額800円で提供していたが、サービス料金はそのままで10分に拡大更新した。これまでnuroモバイルでんわを利用していたすべてのユーザーを対象に、手続き不要で自動的に5分から10分に時間枠が広がる。10分を超えたぶんの通話料金は30秒10円の従量課金制だ。
「nuroモバイルでんわ」は10分かけ放題に。月額利用料金は据え置かれる
細井氏は壇上で「色々なお客様の電話利用を踏まえると、10分ほしいという声が多かった。音声通話が中心で、データ通信はメールやメッセージアプリに使うぐらい。少量で済む方には格安にnuroのサービスをお使いいただけるだろう」としながら、壇上で700円/2GBのプランに音声SIMと10分かけ放題のプランを足して月額2,200円からとなるプランなどモデルケースを例示した。
通話以外、データ通信はあまり使わないというユーザーがいれば毎月の利用料金を安くプランニングすることができるというモデルケースを紹介
■夜型ユーザーにお得な「深夜割プラン」
nuroモバイルでは、毎日5時間を上限に高速データ通信が月額2,500円で使える時間定額制のプランを用意している。8月1日から新設される「深夜割プラン」は、深夜の1時から6時の5時間に限って高速データ通信がパケット容量無制限で使えるというもので、月額利用料金も通常の「時間プラン」よりも1,000円安い1,500円で提供する。「夜のトラフィックが空いている時間にデータをよく使う方や、夜のお仕事をされている方にはお得感を感じていただけるだろう」と細井氏がプランのメリットを説いた。なお深夜の5時間以外は200kbpsの低速通信になる。
深夜1時から6時までの5時間が高速データ通信使い放題になる「深夜割プラン」
特に深夜の時間帯に絞ったプランを新設した背景については「現在の時間プランを利用されているお客様の傾向を見ながら決めた。お客様の使い方にささるプランはどのようなものか設計を詰めてみたところ、ひとつの切り口に辿り着いた。今後もお客様のニーズをヒアリングしながら、他の時間幅が必要であることが見えてくればプラン追加も考えたい」と細井氏が答えた。
■ユーザーサポート系のオプションを強化
「サポート体制の充実は、従来のユーザーからも特に期待されていたところ」であると細井氏が語る。今回、nuroモバイルには新たなユーザーサポートのメニューが加わった。
ひとつは端末補償オプション。月額500円の追加料金を払うことで、自然故障や破損、水濡れなどのトラブルが発生したときに、端末の交換や修理が受けられるようになる。交換端末は離島を除く全国を対象に最短で翌日に届けられる仕組みも整えた。送料と受け取り手数料は無料。故障受付は年中無休。端末はAndroid、iPhone/iPad、モバイルWi-Fiルーターまで広くカバーする。nuroモバイルで購入した端末だけでなく、それ以外で購入した端末を使うユーザーもサポートが受けられるが、nuroモバイル以外で購入した端末については補償内容が異なるので事前に確認が必要。申込みの受付は8月11日から始まり、保証期間は36ヵ月間。
端末補償オプションに含まれる内容
端末の故障だけでなく、日頃からスマホやnuroのサービスの使い方を教えて欲しいというユーザーの声を受けて、日本PCサービス株式会社と連携してスタッフが応対するサポートが追加される。「遠隔サポート」はコールセンターのスタッフが電話ごしにユーザーをヘルプするもので、スマホの画面をリモート共有しながらナビゲーションを行うパターンと、音声のみで手ほどきするパターンのふたつがある。月額の費用は不要だが、1回利用単位での課金となる。基本レッスンの場合は30分あたり3,000円。
設定サポートと遠隔サポートも新設する
「設定サポート」は専門スタッフがユーザー宅まで訪問してナビゲーションを行うもの。こちらは1回利用45分あたり8,000円としている。
■海外Wi-Fiルーターレンタルサービスとの連携も
「海外へ頻繁に出かけるユーザーをサポートすることもnuroモバイルの課題だった」とした細井氏は、株式会社ビジョンが提供する海外Wi-Fiルーターレンタルサービスの「グローバルWiFi」と組むことを発表。nuroモバイルユーザーであれば、グローバルWiFiの端末レンタルを優遇するというもので、受け渡しの手数料が無料になるほか、利用料金についても通常価格の15%が割り引かれる。12月末までの申込みは通常料金の20%オフになる。
なお海外でも利用できるSIMカードを提供する考えについて、記者に訊ねられた細井氏は「現在のところはまだWi-Fiルーターの方が広く使われているようだが、SIMカードについてもこれからの課題と考えている」と答えた。
■nuroモバイル取り扱いの新端末が追加に
nuroモバイル取り扱いの新端末も発表。新たに「ZenFone Zoom S」「ZenFone Live」「NuAns NEO [Reloaded]」とモバイルWi-Fiルーターの「+F FS030W」が加わる。細井氏はミドルレンジクラスの端末を中心に充実させて、ユーザーニーズを広く捉えていきたいとした。なおグループ会社であるソニーモバイル製の端末がいまだラインナップに加わってこないことについて、記者から指摘を受けた細井氏は「ユーザーの声を聞いて判断したい」という答えを返すまでにコメントを控えた。
「ZenFone Zoom S」「ZenFone Live」「NuAns NEO [Reloaded]」がnuroモバイルの端末ラインナップに加わった
端末購入時の代金支払い方法も拡充される。新たにヤマトフィナンシャル株式会社の宅急便コレクトを追加して、ユーザーが商品の配達時に端末代金が支払えるようになる。支払い方法には現金、クレジットカード、電子マネー(全国の交通系ICカードなど/楽天Edy/nanaco/WAON)のほかデビットカードが選択可能。分割払いにはクレジットカードのほかにも24回払いの口座引き落としが選べる。通信サービスの利用料金については従来通りクレジットカード1本になるが、他の決済方法については「次のステップとして検討していきたい」とした。
■ユーザーそれぞれに必要なサービスを積み上げて設計できるところが強み
nuroモバイルには大手キャリアや他のMVNOサービスにはないユニークな時間プランがある。昨今は大手キャリアも安価にデータ通信を使えるプランを発表しているが、nuroモバイルのビジネスに及ぶ影響について記者から問われた細井氏は「今のところ直接的な影響はないと受け止めている。nuroモバイルは基本のメニューセットから、ユーザーが必要に合わせたサービスを“積み上げる”かたちで設計できるところが他社にない魅力」としながら、「これまでにあったサービスをより充実させたため、多少メニューの品揃えが増えてしまったが、nuroモバイルではこれからもシンプルでわかりやすく、ユーザーに期待されるサービスを適切な価格で提供していきたい」と意気込みを述べた。
山本 敦