アップルの新iPhone発表イベントからはやくも2週間が経過した。「iPhone 7/7Plus」からの正常進化モデルと言われる「iPhone 8/8 Plus」はすでに発売が開始され、実機を手にした人も多いと思う。また、11月にはホームボタンを廃止した5.8インチフルスクリーンの「iPhone X」の発売が控えている。まだしばらくは最新のiPhoneをめぐる情報に人々の注目が集まるだろう。
■iPhoneのラインアップが格安スマホの課題でもある
そんなタイミングで、格安スマホ/SIMサービスでしのぎを削るワイモバイルとUQモバイルが相次いで「iPhone 6s」を取り扱うことを発表した。32GBモデルと128GBモデルが用意され、発売開始はいずれも10月の予定。iPhoneがラインアップされていない、もしくはラインアップが少ないことで、格安スマホ/SIMの契約に踏み切れない人も多いと聞く。その意味では、“6s”は2年前のモデルではあるものの、両社ともに初の4.7インチモデルiPhoneの取り扱いとなり、それなりにインパクトはあるように思える。
ちなみにiPhoneを格安SIMで使いたい場合、必ずしもその格安SIMサービスとセットでiPhoneを購入する必要はない。各キャリアモデルのiPhoneはそれぞれのキャリア回線を使う格安SIMであればそのまま使えるし、iPhone 6s以降のモデルに関しては契約から一定期間を置けばSIMロックの解除が可能。最初からSIMフリーモデルのiPhoneを購入するという方法もある。ただ、利用する通信サービスとセットで購入できれば手続き的には楽だし、動作確認が保証されているという安心感もある。そして何より特定プランの契約とセットの際に端末代が割り引かれることが大きなメリットといえる。
それでは、ワイモバイルとUQモバイルで「iPhone 6s」を買った場合、実際の端末負担額はそれぞれどうなるのか、整理してみたい。
■ワイモバイルの場合
まずワイモバイルだが、一括支払いの場合は32GBモデルが78,300円、128GBモデルが91,260円(価格はすべて税込)。現在、Apple公式オンラインストアで販売されているSIMフリー版iPhone 6sの価格が54,864円(32GB)と66,744円(128GB)なので、比較するとかなり割高な価格となっている。データプランとセットで月々の割引が適用されるとどうか。ワイモバイルでは使えるデータ容量別に、S/M/Lの3つの料金プランが選べるが、Sプランの場合とMもしくはLプランの場合で端末の割引額が変わってくる。また、他社からの乗り換え(MNP)や新規契約の場合と、機種変更の場合とでも割引額が変動する(ソフトバンクからのMNPは機種変更の扱いとなる)。
MNP・新規でMおよびLプランに契約した場合、月々の割引額は1,836円。月の支払いは32GBモデルだと1,404円×24ヵ月、128GBモデルで1,944円×24ヵ月。それぞれ頭金の540円を加えた34,236円(32GB)、47,196円(128GB)が実質負担額となる。Sプラン契約の場合は月々の割引額が1,296円。月の支払いが1,944円×24ヵ月(32GB)、2,484円×24ヵ月(128GB)で、実質負担額は頭金540円を加えて47,196円(32GB)、60,156円(128GB)。
ワイモバイル iPhone 6s 新規/MNPの場合(M/Lプラン時)
機種変更の場合は、MおよびLプラン時の割引額が月額1,296円。実質負担額は47,196円(32GB)、60,156円(128GB)。Sプラン時の割引額が月額756円で実質負担額が60,156円(32GB)、73,116円(128GB)。機種変更でSプラン契約の場合は実質負担額でもSIMフリー版の価格を上回っている。
ワイモバイル iPhone 6s 機種変更の場合(M/Lプラン時)
■UQモバイルの場合
続いてUQモバイル。一括支払いの場合、32GBモデルが59,724円、128GBモデルが72,684円。ワイモバイルと比較すると2万円近く安いが、こちらもApple公式のSIMフリー版より高くなっている。対象プラン利用時の割引額についてはプランSの場合とプランMもしくはLを契約した場合で差がある。MNP・新規と機種変更の区別はないようだ。
プランMおよびプランLの場合、月々の割引額は1,080円。月の支払いは32GBモデルが1,404円×24ヵ月(初月のみ1,512円)、128GBモデルが1,944円×24ヵ月(初月のみ2,052円)。実質負担額は33,804円(32GB)、46,764円(128GB)となる。プランSのときは月々の割引額が540円。月の支払いは32GBモデルが1,944円×24ヵ月(初月のみ2,052円)、128GBモデルが2,484円×24ヵ月(初月のみ2,592円)。実質負担額は46,764円(32GB)、59,724円(128GB)となる。
UQモバイル iPhone 6s 32GBの場合
UQモバイル iPhone 6s 128GBの場合
■SIMフリー版という選択肢も
ワイモバイル、UQモバイルの2社について、iPhone 6sの実質負担額をみてきた。契約サービスをワイモバイル、もしくはUQモバイルと決めていて、iPhoneを検討している人にとっては購入のハードルが下がるメリットは大きいだろう。ほかの格安SIMサービスを考えている人であれば、SIMフリー版のiPhone 6sを検討してみてもいい。先ほども述べたように、単純に端末価格だけ比べると、たとえばワイモバイルで買うよりも2万円以上安い。データとセットの月々割こそないものの、Apple公式ストアの場合、12回までの分割払いを金利0%で利用することもできる。使おうと思っている格安SIMサービス側でiPhone 6sの動作確認が取れているかさえチェックしておけば、設定自体はさほど難しくないので、この機会にSIMフリーデビューを検討してみるのもよいと思う。
■参考記事:SIMロックの解除を試してみた!
白石 雄太