モバイル市場における通信事業者間の競争は、2018年もさらなる激化が予想されている。そんななか、独自路線を進めるトーンモバイルが、またユニークな施策を打ち出した。都内で24日に開催された記者説明会の模様をお伝えしていこう。
■どんなサービスが実現するの?
記者説明会には、トーンモバイル 代表取締役社長 CEOの石田宏樹氏が登壇。デモを交えながら詳細を説明していった。どんなサービスが実現するのか?それは、以下に掲載するデモ動画をご覧いただくのが手っ取り早い。
単純に言えば、スマートスピーカーを通じてトーンモバイルのサービスを利用するというものだった。具体的には、家族の居場所を調べる、メッセージを送る、端末内のファイルを参照する、といった内容。Google Home、Amazon Alexaに代表されるスマートスピーカーを介せば主婦や未成年、シニアなどスマホの操作に慣れていない層にも使いやすいサービスが実現できるというわけだ。
記者説明会に登壇して詳細を語る、トーンモバイル 代表取締役社長 CEOの石田宏樹氏
ここでは2つの重要なテクノロジーを活用している。ひとつがフリービットモバイルの開発した「ServersMan」。インターネットに接続されたデバイスをサーバー化して、デバイスに保存されているファイルへのアクセスや、コントロールを可能にする。もうひとつが「IFTTT(イフト)」で、Webサービス同士を連携できる。これによりスマートスピーカーとWebサービスの連携も可能になる。
IFTTTの活用により実現する、トーンモバイル端末×スマートスピーカーの連携(イメージ)
同サービスは悪用されてしまう可能性も高いため、(海外では既に対応している)スマートスピーカーの声紋認識が利用可能になってから提供が開始される見込み。まずトーンモバイルがユーザー向けに対応サービスを提供し、その後でIFTTTインターフェース上で、一般ユーザーがプログラムをつくれるようにプラットフォームを公開していくという。
■MVNOの新たな形「CMVNO」
このほか、石田氏はMVNOの新たな形として「CMVNO」を定義した。これはCustomized MVNOの略で、トーンモバイルでは今後、企業 / 学校 / 会員組織などに対してカスタマイズした端末やSIMを小ロットから提供していくという。同社ではこれらのサービスを提供するための基盤「TONE Factory」を開発中とのこと。
企業 / 学校 / 会員組織などに小ロットで端末 / SIMを提供できる「TONE Factory」の開発を進めている
たとえば企業や学校、会員組織などが任意のアプリ、ホーム画面、壁紙などをカスタマイズしてスマートフォンを製造できるようにする。ベースとなる端末は「TONE m17」。通常なら、スマートフォンメーカーや商社にアプリのプリインストールを依頼するだけで1000台規模のオーダーが必要となるところ、TONE Factoryでは50台~数万台規模のオーダーに柔軟に対応することができるとしている。
具体的には、どんなサービスになるのだろうか。想定しているサービスの例として「学校・塾の生徒向けに専用アプリを搭載した安心スマホを提供する」「自社の社員向けに専用ソフトを配布し、その後、ソフトウェアメンテナンスも実行する」「Google Playに公開せずに、クローズドな環境でソフトウェアを配布する」「特別な権限で動くソフトウェアを利用したスマートフォンサービスをおこなう」といったことが可能になるという。
近藤謙太郎