アジアやアメリカで人気のブランド「OPPO(オッポ)」のスマートフォンが日本に上陸することが決まった。2月9日に発売されるAndroidスマホ「R11s」の新製品発表記者会見が都内で開催された。価格は57,980円(税別)になる。
日本で発売されるOPPOのスマホは本機が初めてのモデルになる。当初販売はヨドバシカメラ、ビックカメラでSIMフリースマホとして並べられることになり、徐々に販売網を広げていく。カラバリはシャンパーニュ(ゴールド)/レッド/ブラックの3色。
OPPOのAndroidスマホ「R11s」
■アジアでNo.1のスマホブランド「OPPO」とは
OPPOは2004年に中国で設立されたブランド。2008年に海外で携帯電話事業を始めて、独自のカメラ機能に特化したハイテクなスマホを販売。先進技術に関心の高い、いわゆる“テッキー”な若年層から支持を集めて、徐々に端末のデザインをブラッシュアップ。近年は「自分撮り=セルフィ写真」を手軽に・きれいに撮れるスタイリッシュなスマホを発売し、女性にもファン層を広げてきた。現在スマホ市場でのシェアはグローバルで4位、アジアで1位を誇るという。
OPPOのスマホは主に中国や東南アジア、アメリカにロシアなど東欧地域で力を付けてきて、このほど満を持して日本進出を実現した。
OPPO Japanの河野氏(中央左)、トウ氏(中央)、カメラマンの角田氏(中央右)
なお日本国内ではブルーレイプレーヤーにヘッドホンなどオーディオ・ビジュアル関連のハイエンド向け製品も同じOPPOのブランド名で、OPPO Ditigalというアメリカに拠点を置く企業から発売され、コアなファンを獲得してきた。スマートフォンのOPPOとは互いに同じルーツを持つブランドだが、現在は別々の企業として商品の企画・開発を異なるバックグラウンドの下で展開している。ただし、スマホに搭載されている急速充電機能の「VOOCフラッシュチャージ」の要素技術が、OPPOのポータブルオーディオ機器にも使われたり、一部のノウハウを製品の特徴として共有しているケースもあるようだ。
■暗所撮影に強いデュアルカメラを搭載
日本で発売が決まった製品は「R11s」という、Andorid OS 7.1を搭載する約6インチのスマホだ。OPPOの端末が共通して特徴にうたうカメラ機能を強化した。OPPOでは“カメラフォン”としてコンセプトを提唱している。
デュアルレンズカメラを搭載した
とはいえ、最近はどのブランドのスマホもカメラ機能を端末の特徴として掲げている。その中でR11sはどんな所が傑出しているのだろうか。
まず昼間の明るい場所だけでなく、暗い場所や夜景の撮影が誰でも手軽に、きれいな写真で残せるところがR11sの特徴だ。リア側にはいま流行の2眼式「デュアルカメラ」が搭載されているが、まずレンズがF値1.7と大口径だ。明るい写真を撮影するために必要になる光が多く取り込める。それぞれのカメラユニットには「1600万画素と2000万画素」という、かなり高画素なイメージセンサーが搭載されている。うち2000万画素の方のユニットが“暗所撮影のエキスパート”なのだ。周囲の明るさが50ルクスを下回る環境でシャッターを切ろうとすると、スマホが自動的に写真を2000万画素の方のユニット側で記録する。ちなみに50ルクス以下とは、昼間のリビングでカーテンを閉め切ってうす暗くした状態よりもさらに暗いレベルなので、ほぼ夜景撮影の時に活躍する専用ユニットと捉えていいかもしれない。
超小型のイメージセンサーに2000万もの画素を敷き詰めると、1画素あたりの集光率は低くなるものだが、OPPOでは隣り合う4つの画素を束ねて1つの大きな画素のように使う独自のアルゴリズムを本機に搭載している。これによりレンズから取り込まれた光をイメージセンサーがより多く、効率よく取り込むことができるようになるため、暗い場所でも明るく、解像度や色彩感も高い写真が記録できるというわけだ。
各カラーバリエーションの写真など
■フロントカメラは「AIビューティーセンサー」を内蔵
さらにR11sはフロントカメラも高機能だ。セルフィがきれいに撮れるスマホとして、世界各国でファンを獲得してきたブランドらしいプライドが注入されている。イメージセンサーは2000万画素。特徴は「AIビューティーセンサー」と呼ばれる機能で、効果は“セルフィ写真が美人・美男に撮れる”ことだ。
OPPOではこの機能を実現するため、独自に開発したAIモジュールに様々な年齢・性別・肌の色や質感など条件の異なった人物の顔データを覚え込ませてきた。たとえば肌色のパターンは100種類。ほかの条件と掛け合わせると、およそ200万通りを越える人物の顔パターンを、撮影時に独自のアルゴリズムによって瞬時に解析して生成される写真を最適加工。「目のまわりのクマを除去しながら、ふっくらとした涙ぶくろは強調する」など賢く美顔写真を記録する。「男らしいヒゲを消去しない」など男性の場合にも最適な効果がかけられる。さらに「若返り効果」も得られるというから、これは男女ともに要注目だ。
AIビューティー認証技術によりきれいなセルフィ撮影を可能にした
本体に搭載したクアルコムのモバイル向けSoC「Snapdragon 660」の高精度な解析処理により、メインカメラで撮影した画像データから素速く最適な被写界深度を計算。被写体と背景の距離を割り出しながら、雰囲気のある“ボケ味”を自然に加えた写真を撮ることもできる。
記者会見にはファッション誌などで活躍するカメラマンの角田修一氏がゲストとして登壇。「R11sのカメラは色再現が正確だし、明暗のテクスチャーも自然に引き出せる。まるで小さな一眼レフカメラを持ち歩いているようだった」と、一足早くR11sを体験した手応えをコメントしていた。
■独自の急速充電「VOCCフラッシュチャージ」
R11sが搭載する便利な機能として特筆したいのが、急速充電「VOCCフラッシュチャージ」だ。2014年に発表した機能をブラッシュアップしたものが最新モデルにも採用されている。
独自の急速充電技術VOOCを搭載
R11sには、本体のサイズも考慮した最適なサイズの3205mAhバッテリーユニットが搭載されている。通常の通話、動画コンテンツの視聴などに使っても十分なスタミナを確保しているが、バッテリー切れの際には5分間の急速充電で約2時間の通話分、30分間なら60%以上のバッテリーがチャージできる機能を備えた。本体にはmicroUSB端子を搭載。付属のアダプターで充電すると本機能が使えるようになっている。低電圧充電という手法によって充電を行うことで、充電中も本体が過度に熱を持たないように設計されている。
■高画質な有機ELディスプレイ。スムーズな操作感
R11sは約5.5インチ相当の本体サイズに、約6インチ(2160×1080/18対9)の広いディスプレイを搭載した。背面は両サイドに向かって緩やかにカーブが付けられていて、薄型なので持ちやすい。本日の記者会見の会場に展示された実機に触れてみたところ、片手持ちでの操作も何とかこなせた。本体のフロント側はハードキーを廃して、指紋認証センサーは背面に設けている。いま流行の“全画面ディスプレイ”のスマホに近いデザインと言えそうだ。
6インチのOLEDディスプレイ。アスペクト比は18対9
プロセッサーは先述の通り、クアルコムが開発したSnapdragon 660シリーズとして、4GBのRAMを合わせて搭載している。基幹システムは同社が独自に名付けた「ColorOS」の最新バージョン3.2を搭載しているが、ベースはAndroid 7.1。Google Playストアで配信されているアプリが普通に使える。内蔵ストレージは64GB。
SIMカードスロットは2基設けたデュアル仕様。FDD/TD-LTEの広いモバイルネットワークをカバーしている。Wi-Fiは11a/b/g/n/ac対応。NFC機能は搭載してない。
なおイヤホンジャックは本体の上部に搭載している。オーディオ・ビジュアルブランドとしてのOPPOを良く知っている方は本機の音質も気になるところかもしれないが、R11sはハイレゾオーディオ再生非対応だ。
■日本のファンに響くスマホをつくる
本日の記者発表会にはOPPO Japanの代表取締役であるトウ(登におおざと)宇辰氏が登壇。ブランドの誕生から今日まで、OPPOが培ってきた製品開発のノウハウを活かしながら、日本のモバイルユーザーの声にも真摯に耳を傾けて「高品位かつ高機能」なスマホを届けていきたいと意気込みを語った。日本法人であるOPPO Japanは約9割のスタッフが日本人。これまでに製品を展開してきた世界中の30を超える市場で成功してきた理由のひとつには「丁寧な市場調査を行ってきたこと」があるとして、日本でも同じくユーザーに必要とされる製品を作っていきたいと述べた。
スムーズな操作性を実現した独自のUI
OPPO Japanの取締役である河野謙三氏も、壇上で「常に最高品質の製品を、お客様のニーズに応えてながら提供していくことがOPPO使命」としながら、これまでに世界中のユーザーから支持を得てきた「デザイン/バッテリー/カメラ」の3つの要素をさらに研ぎ澄ませていきたいとコメントした。さらにOPPOのスマホについては822にも及ぶ構造設計基準項目を設け、153の品質テストをクリアしたユニットだけを出荷していると紹介。中国、インドネシア、インド、アルジェリアに構える拠点で厳しい管理のもと生産を行っている。今後も5GやAIなど、モバイル市場のイノベーションを積極的に取り込んだ端末を開発していきたいとしながら、R11sを皮切りとした日本市場での飛躍を誓った。
山本 敦