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今さら?いや、今こそ学びたい「5G」……その特徴と実現できる世界とは?

2018-02-05 21:17:33
 近年、モバイル業界では「5G」というキーワードで語られる話が増えている。これまでの通信技術とは何が違うのだろうか。今回、商用の5Gサービスの開発に関わるノキアが5Gの勉強会を開催すると聞き、あらためて5Gを学ぶいい機会と思い、参加してきた。

 携帯電話が普及し始めた90年代後半には、2G(第2世代の携帯電話通信方式)でモバイル通信がおこなわれていた。やがてスマートフォンでインターネットを利用する3Gの時代が訪れ、さらには通信速度に優れた4Gが主流となった。では、次世代の5Gは、これまでの進化がそうであったように、4Gの「通信速度」と「キャパシティ」を向上させただけのものなのだろうか。そもそも、すぐに商用化できる段階にきているのだろうか。

ノキアソリューションズ&ネットワークス テクノロジー統括部長の柳橋達也氏

5Gには噂レベルの“通念”がいくつも存在

■5Gの特徴と実現できる世界

 勉強会で解説してくれたのは、ノキアソリューションズ&ネットワークスの柳橋達也氏。柳橋氏によれば、5Gによって我々の生活環境は大きく様変わりする可能性があるとのこと。

 5Gの特徴としてよく語られるのが「超高速大容量(eMBB)」「同時多数接続(mMTC)」「超低遅延(URLLC)」といった性質。「超高速大容量」に関して言えば、5Gでは現在の100倍の速度で大容量通信が可能。これにより高精細な映像をやりとりできるため、電車やバスといった公共輸送では車内向けに4K映像を流すことができ、病院における遠隔診断なども高度な水準でおこなえるようになるという。

5Gの特徴は「超高速大容量(eMBB)」「同時多数接続(mMTC)」「超低遅延(URLLC)」

 「同時多数接続」という観点では、たとえば玄関のドアや家電など、各種センサーと連携したスマートホームが実現できるほか、乗用車に搭載した複数のセンサーによる遠隔車両診断などIoTの取り組みが一層推進できる。また「超低遅延」という性質が、自動運転カーやトラックの隊列走行、リモートオフィスなどを支援することも考えらる。これらはほんの一例に過ぎないが、5Gがモバイルの世界だけでなく、他の産業にも大きな影響をおよぼしていくということが分かる。

 「5Gは4Gの通信速度とキャパシティを向上させただけのもの」とざっくりとした通念で語られることが多いが、具体的に生活に起こり得る変化をイメージしておけば、4Gとの違いが見えてきやすい。

5Gはモバイルの世界を変えるだけでなく、産業の在り方をも変えていく

■5Gは4Gを置き換えるもの?

 5Gはまったく新しい技術で、4Gを置き換えるもの、と理解している人も多いかもしれない。答えはノーで、5Gは、既存の技術の応用と新しい技術の融合によって実現される。「超高速大容量」を実現するためには、4Gで主流だった3.5GHz以下の周波数は使わず、これまで使われていなかった28GHzや39GHzといった高い周波数を利用。電波を飛ばす方法には新しい技術も用いるが、4Gで利用されてきたMassive MIMO(複数のアンテナを用いた通信)や、マルチコネクティビティ・アグリゲーション(複数の電波を束ねた通信)といった技術も応用していく。これは「超低遅延」の実現に向けても同じことが言える。

「超高速大容量」を実現するため、既存の技術と新しい技術を融合する

 また、「同時多数接続」は既存の技術を見直すことで可能になる。現在、4G環境では「信号処理数」や「接続管理容量」が最適化できていないという課題がある。具体例を示すと、モビリティ管理が必要でデータの送信頻度も高いモバイル端末(スマートフォンなど)と、優先順位が低い非モバイル端末(監視カメラなど)を区別できていない。これを区別することで効率化をはかり、同時多数接続に必要な接続コネクティビティ数を確保するという。

「同時多数接続」について。接続コネクティビティ数を確保するために既存の技術を見直す

■商用化はいつ?

 では5Gは、すぐにでも商用化できるものなのだろうか。実は、日本国内の思惑だけで決まる問題ではなく、5Gの仕様を決定する国際的な機関である「3GPP」の決定に左右されるとのこと。3GPPには、日本からもNTTドコモやシャープなどが積極的に参加している。この3GPPによれば、5Gの商用サービス開始は2020年頃を目指しているとのことだ。

5Gにまつわる通念とその回答。商用化については2020年頃を目指している

 本稿では、テクニカルな話題は極力省いてきたが、我々の生活に関わる興味深い話があったので、最後にそれを紹介しておきたい。先の3GPPでは今、あることを巡って議論がふたつにわかれているそうだ。それは、4Gと5Gを併存させるか否か。5G基地局の下で対応端末だけが5Gを利用できるようにするStandalone (SA)形式と、既存のLTE基地局の下で4Gと5Gを適宜選択できるようにするNon-standalone (NSA)形式との間で、意見が割れている。

5Gの仕様を決定する国際的な機関3GPPでは、いまStandalone (SA)かNon-standalone (NSA)かで意見が割れている

 Standalone (SA)なら5Gのメリットを最大限に享受できるが、サービスイン当初は通信エリアが狭く、電波も貧弱になる恐れがある。一方でNon-standalone (NSA)なら既存のレガシーを活かしつつ展開できるが、5Gに移行する動機づけが弱くなるので、その結果として普及が進まないことが予想される。関係者の抱えるジレンマも理解できる。

ノキアからのメッセージ。2G~4Gと5Gでは、企業が打ち出すメッセージの性質も変わってくる

 「通信技術の進化は、これまで人と人を密に結びつけてきました。でも次の5Gでは、モノとモノまで繋がり出します。これにより、人ができることの可能性が格段に広がります」と柳橋氏。人の経済活動を変えていく5G時代を迎えるにあたり、ノキアでも新たな事業展開を考えているようだ。

※IoTで存在感を増す欧州スタートアップ!その勢いの秘密とは?
近藤謙太郎

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