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バルセロナ スタートアップの祭典に“有志”による「日本パビリオン」が誕生……注目を浴びた技術と製品は?

2018-03-01 17:26:56
 スペイン・バルセロナで開催中のMWC 2018と併催された展示会「4YFN(4 Years From Now)」。世界中からのスタートアップを集めたこの展示会に、今年は日本パビリオンが誕生した。出展7社はどのような経緯でバルセロナに集ったのだろうか。同じく4YFNにスペイン・カタルーニャ州を代表して20社のスタートアップが出展した経緯も取材した。

4年先の未来を占う祭典に、初めて日本パビリオンが登場

 4YFNはその名前の通り“これから4年先の未来”に活躍するスタートアップ企業をハイライトすることを目的に始まったイベント。今年は6月に上海、9月にロサンゼルスでも開催を予定している。

バルセロナ市内で開催されている4YFNは今年も大いに賑わった

 4YFNは近年、MWCの期間に合わせてバルセロナ市内中心部の会場で催されてきた。世界各国のスタートアップが「カタルーニャ」「イギリス」「フランス」「韓国」といった国や地域単位で集まって参加していたのに対して、これまで日本からは参加社自体はあったものの、国単位でその活躍とイノベーションが見渡せる形にはなっていなかった。ところが今年は7社の企業が集まる日本パビリオンが誕生して、会場で注目を集めていたのだ。

韓国からも複数のスタートアップが参加している

 音頭を取ったのは参加社の中の一社であるアクアビット スパイラルズ。同社のファウンダー兼CEOである萩原智啓氏に日本パビリオンが実現した経緯をうかがった。

 「当社は近年4YFNに続けて参加してきました。昨年は主催社から招待を受けて参加して、4YFNアワードのIoT部門でトップ8のファイナリストにも選出されています。おかげさまで多くの反響を得て、手応えも感じているのですが、日本の参加社がまとまった形で4YFNに出展できていないことを残念に感じていました。そこで今年は出展前に国内のスタートアップ企業に呼びかけて、7社様の賛同を得て一緒に日本パビリオンを立ち上げることができました」(萩原氏)。

4YFNの会場に日本パビリオンを呼び込んだ立役者であるアクアビット スパイラルズの萩原氏

 4YFNにブースを並べるスタートアップの多くは国や地域、または大手企業の支援プログラムを後ろ盾にまとまった形で出展しているのに対して、日本パビリオンはあくまでアクアビット スパイラルズの呼びかけに賛同した有志により実現したという点が面白い。反対に言えば、ぜひ日本でも政府が国内スタートアップの海外進出を積極的にバックアップして、有望な技術やアイデアがグローバルに羽ばたく機会を数多く実現してほしいものだ。

 萩原氏は日本パビリオンを形にしたことの手応えを確かに感じているようだった。「単独で出展した場合と明らかに注目度が変わります。4YFNへ視察に訪れる方々とのコンタクトや、同じ出展社どうしのネットワーキングにも、より広がりと可能性が生まれています」という萩原氏。イベント終了後の反響も気になるところだ。

日本パビリオンで注目を集めた技術と商品

 アクアビット スパイラルズではアプリやクラウドからコントロールできるICチップを埋め込んだ「スマートプレート」を4YFNに出展していた。“モノのブックマーク”をうたう同社のアイデアと技術は、NFCチップを埋め込んだり、QRコードを記載したプレートにスマホをかざしたり、カメラでコードを読み込むだけでWebサイトや地図、連絡先、SNSのコンタクトなどへ素速くアクセスできるツールになる。同社が独自の強みとしてきたID管理のノウハウを一つの商品として形にした格好だ。スマートプレートによるアクセスを解析するためのアプリケーションも用意している。

アクアビット スパイラルズのスマートプレート

 スマートプレートの特徴は画面を持つスマホとの連携が可能になること。たとえばQRコードにカメラをかざしてあるアイテムのeコマースサイトへリンクを飛ばすだけでなく、スマホの画面上にその他の商品情報のリストを見せたり、ゲームなどエンターテインメントの要素を盛り込むことも可能になる。日本国内でも既に多くの採用事例が広がりつつあるそうだ。

QRコードやNFCタグなどにかざせば検索ワードを入力しなくても目的の情報へ素速くリーチできる

解析ツールも提供している

 日本パビリオンに参加するネインは4YFNに出展するスタートアップの中でも数少ない“ヒアラブル”をうたうオーディオ製品(ワイヤレスイヤホン)を出展していた。

 ネインが出展した「Zeeny(ジーニー)」はAndroidスマホやiPhoneに届いたアプリの通知を音声で読み上げてくれるユニークな技術を実現しているイヤホンだ。Android端末であれば音声による操作で届いたメールやLINEに返信を送ることまでできる。アマゾンのAIアシスタントであるAlexa連携も計画しているそうだ。

ネインのスマートイヤホン「Zeeny」

Android/iOSに対応を予定

 同社はAPlayという、同じくスマホの通知読み上げと連携できるイヤホンを国内でも商品として発売してきた実績を持っている。日本のほか韓国への進出も遂げているが、4YFNへの参加により欧州にも進出の足がかりが見えてきたようだ。なおZeenyは日本国内で今春に正式発表を予定しているという。

スマホに届いた通知を読み上げてくれる

州をあげてスタートアップを支援するカタルーニャ

 スペイン・カタルーニャ州はスタートアップの支援に対して非常に積極的だ。毎年4YFNとMWCの会場に地元カタルーニャから数多くのスタートアップが出展している。その数は今年4YFNに20社以上、MWC会場の出展社は100を超える規模になる。

4YFNにはカタルーニャ州政府貿易投資事務所が呼びかけた20社が集まる

 企業活動を積極的に支援しているのはカタルーニャ州政府貿易投資事務所だ。4YFNへの出展をマネージメントしている代表者である同所のJordi Aguasca氏にインタビューした。

カタルーニャ州政府貿易投資事務所のAguasca氏

 同所が4YFNにカタルーニャ州の有望なスタートアップを集めて参加をはじめたのは2013年から。「政府としてはカタルーニャ州で生まれたスタートアップの種が大きく育つよう、海外進出も含めたバックアップをおこなっています。4YFNやMWCのような展示会に出展して強力なコネクションをつくってもらえるように団体での出展も呼びかけています。これまでに数々のイベントに参加してきたスタートアップによるネットワークが今では確かな形を成しています」(Aguasca氏)。

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カタルーニャを世界のスタートアップのハブに

 同所が目指すゴールは、カタルーニャの先進技術と人材を世界に発信すること。スタートアップが足場を固められるよう、投資家とのコネクションづくりにも積極的に応援の手をさしのべている。また世界各地のスタートアップをバルセロナに集めて“スタートアップのハブ”をつくることも彼らの重要な狙いの一つだ。カタルーニャ州政府貿易投資事務所としては、いま世界各地に40を超えるオフィスを展開している。日本も東京にコンタクトを設けている。Aguasca氏は「これからもカタルーニャ初のイノベーションを世界に届けたい」と熱っぽくインタビューに答えてくれた。

MWCのカタルーニャ州の展示はもっと大規模だ

フランスのエアバス社がヨーロッパのスタートアップを集めてグループ展示を組織していた


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山本 敦

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