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無人レジ、無人ストアが増えていく?店頭に食い込むAI・センサーの先端技術

2018-03-07 12:31:12
 東京ビッグサイトでは3月6日から9日までの期間、店づくりの総合展示会「リテールテックJAPAN 2018」を開催している。

 流通・小売業界向けの決済やマーケティング、物流のソリューションを展開する企業が一堂に集まるイベントで、今後賑やかに話題を巻き起こしそうなAIやセンシングの先端テクノロジーを活用した“店舗自動化”の最新事情を取材した。

NECが顔認識技術を使った決済自動化店舗のコンセプトを披露
 イベント会場となった東京ビッグサイトの東1~3ホールに今年は211社が出展した。中でも特に規模の大きなNECグループのブースでは、次世代ストアのコンセプトとして顔認証技術を活かしたウォークスルー型決済の体験展示が登場。行列が絶えなかった。

NECは最先端を行く顔認証システム「NeoFace」を使った店舗自動化のコンセプトを展示した

 なぜいま店舗の自動化が注目されるのだろうか。日本国内では少子高齢化が今後の社会全体の課題であるとされて久しいが、小売業界では店舗での単純業務に携わる人手不足を解消することが急務とされている。ショップの在庫管理や商品のレジ決済など、比較的単純な作業内容でありながら商売にとっては生命線であり、また一定の人手を必要とする業務。こういったものを機械によるオペレーションに置換していくことで、ヒューマンリソースをマーケティングデータの解析や商品開発などに振り分けて業務の効率化が図れるという考え方だ。

 消費者の側から見れば、売り場に並んでいる商品をカゴに入れて、財布から現金を出す手間が省けるどころか、レジでの決済そのものをスルーしながら買い物ができる。その体験には斬新さが感じられる。アメリカでも大手インターネット通販のアマゾンがお膝元であるシアトルに“レジなし無人ストア”の「Amazon Go」を開店して話題を呼んでいるが、同様のトレンドがいつ、どのような形で日本にも上陸するのか気になるところだ。

 記者もNECのブースで次世代ストアのコンセプト展示を体験してきた。ちなみにNECの顔認証システムは「NeoFace」と命名され、生体認証センサーを使った世界ナンバーワンクラスの顔認証として多くのパートナーに採用されてきた実績を持つ技術だ。またNECグループには小売店向けにネットワーク販売業務管理システムを多数納品してきたノウハウの蓄積もある。

ユーザーの顔データを登録する

 はじめにユーザーの顔情報をカメラで撮影。データを登録する。続いてストアを模した展示スペースに足を運ぶと、早速カメラがユーザーの顔を認識してID情報をモニターに表示する。売り場で商品を手に取ると、どのアイテムをいくつカゴに入れたかが認識される。商品が複数購入で割引対象のアイテムだった場合はその情報が商品の紹介用モニターから通知される。

店舗の入口に設置されたカメラセンサーを想定。ユーザーの顔を認識してリストが作成される

商品をピックアップすると、ユーザーが購入を検討しているアイテムとしてカゴに追加される

 決済は現金どころかカードも不要。ユーザーが店を出る様子をカメラが捉えると、個人ID情報にひもづけられているクレジットカードから購入代金が自動で精算される仕組みだ。購入履歴の詳細はPCブラウザやスマホアプリから確認できる。NECグループでは今後、小売店向けに顧客の販売データをベースにした売れ筋商品の解析ツールも提供する予定だ。このツールを応用することによって、個人の顧客単位で消費動向を把握しながら、好みに合った商品をピックアップしてレコメンドすることが可能になる。

オススメの商品をスマートスピーカーに訊ねると教えてくれるサービスも開発中

 今回コンセプトの参考展示として紹介された自動化店舗が日本国内で本格導入されるのはいつ頃になるのだろうか。ブースの展示を担当するNECの山崎晋哉氏は、まず2018年中には技術の精度を高めるための実証実験を開始したいと見通しを語っている。一方ではまだ多くの人々にとって、レジで財布やクレジットカードを取り出すことなくウォークスルーしてしまうという習慣がない。そして何よりおサイフケータイやApple Payなどの電子決済の普及が拡大するのがこれからという時期に、自身の顔情報を生体認証用のデータとして買い物に活用するというところまで一気に意識を高められるのだろうか。これからの普及に向けて解決すべき課題は多々ありそうだ。

店舗自動化システムの展示を担当するNECの山崎晋哉氏

棚にはユーザーの目線の位置当たりに顔認識用のカメラを搭載。トップの左右は棚から取りだした商品を認識するためのカメラ。カメラをユーザーに意識させた方が良いのか、あるいは隠した方が良いのかは運用後にも意見が分かれそうだ

 山崎氏は「パートナーと協力しながら便利なライフスタイルをぜひ実現したい」と強い意気込みを述べている。そして「技術が100点満点になることを待つよりも、まずは使える部分から市場に投入して、利用者の方々からいただいたご意見を元に改善を図りながらブラッシュアップしていきたい」として、遠くない将来でのローンチに向けて意欲を語ってくれた。

富士通は「手のひら静脈データ」を決済に活用
 富士通フロンテックはNECと同じ生体認証技術をリテールテックの会場で紹介していた。同社では顔情報とハイブリッドで「手のひらの静脈」も特殊なスキャナーで読み込んでユーザー認証に活用するマルチモーダル認証の技術を確立している。

富士通は顔認証と手のひらの静脈データを掛け合わせた生体認証技術を開発

 手のひら静脈認証の技術自体は従来からあるものだが、これまでは専用の端末で生年月日など補助データとなる“絞り込みキー”を手入力で打ち込む必要があった。この代わりにカメラによる顔画像認証を組み合わせることによって、よりスムーズな決済利用などが可能になる。

手のひらをかざして決済するゲート型精算システム

 ブースでは店舗での導入を想定して、マルチモーダル認証によりクラウド上のユーザーIDに電子マネーをチャージしたり、購入商品の決済を可能にするソリューションが紹介されていた。顔認証のケースと同様に、端末に手をかざすだけという購買スタイルは体験するととても便利で先鋭的なものに感じられるが、多くのユーザーが馴染むまでに時間もかかりそうだ。金銭のやり取りが発生するショッピングとはまた別のユースケースから、手のひら静脈認証の普及拡大を図る必要もあるだろう。

AI画像認識エンジンやドローンを使って実棚状況をデータ化
 サイバーリンクスはAI(人工知能)による画像認識技術を活かして、店頭陳列のデータ管理を効率化するソフトウェアのツール「棚SCAN-AI」を今春以降に発売予定だ。

サイバーリンクスが商品化を進める「棚SCAN-AI」

 棚SCAN-AIでは最初に多数の商品が並ぶ棚をスマホのカメラなどで撮影。先にデータベース化を済ませてクラウドに上がっている商品画像と、NTTドコモが開発したAI画像認識エンジンを使ってマッチアップさせて、売り場の陳列状況やアイテムの売れ行き情報を導き出すというものだ。

商品棚をスキャンして商品を把握。販売状況のモニタリングにも最適

 認識された結果を、同じくサイバーリンクスが開発する店舗のレイアウト作成支援のためのツール「床POWER」や、棚割管理のツール「店POWER」などのPC用アプリケーションに連動させると、シェア実績の把握や今後の需要予測に効果が得られる。

店舗の棚・商品配置のレイアウト用アプリケーション「床POWER」

 同社では棚SCAN-AIを画像認識用ツールとしてだけでなく、商品画像をキャプチャしてデータベースを構築するところや、そのデータの管理も含めた総合的なサービスを提供できることも強みとして打ち出していく考えだ。

 棚に貼り付けてある値札と、実際の商品の販売価格のズレをチェックできるセミオートのソリューションも鋭意開発中だ。現在検討している仕組みは、ドローンに搭載したカメラで棚の値札を撮影して、クラウド上の商品データベースと照合した結果、価格に差があるものについてはタブレットなどデバイスの画面にアラートを表示して差分を素速く把握できるというものだ。

店舗の棚・商品配置のレイアウト用アプリケーション「床POWER」

商品価格と棚の値札にズレがあった場合はエラーを表示してくれる

 同社の成宮功氏は、ドローンに限らず自走ロボットによるシステム構築も可能だが、ドローンの方が導入コストを格段に安く抑えられるのがメリットであると説く。飛行しながら撮影するドローンで問題なく画像認識ができれば、自走ロボットや定点カメラなどその他の方法にも問題なく転用できると見込んでいる。今回参考展示として発表された当技術については、まだドローンの操縦がマニュアルであることなど課題は残されているが、小売店舗から倉庫にまで対象範囲を広げながら最適なユースケースを探っていくという。

※ベンツが展示したデジタルヒューマンが超リアル
山本 敦

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