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LINE対抗と騒がれるも実際は?キャリア3社が共同開発した「+メッセージ」とは?

2018-04-10 20:02:35
 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が、SMS(ショートメール)のサービスを進化させて、チャット形式でメッセージに動画・写真などを加えたコミュニケーションを楽しめるアプリ「+メッセージ(プラスメッセージ)」を5月9日から提供する。本日4月10日に3社が共同記者会見を実施した。

ドコモ、KDDI、ソフトバンクが共同提供
 記者会見にはNTTドコモ、KDDIとソフトバンクの代表が出席。新サービスを立ち上げた背景や楽しみ方を紹介した。

NTTドコモ/KDDI/ソフトバンクが共通のプラットフォームをつくって提供するコミュニケーションアプリ「+メッセージ」を発表した

 「+メッセージ」は携帯電話事業者の業界団体であるGSMAで世界的に標準化されているRCS(Rich Communication Services)に準拠した、従来のSMSを拡張する後継規格サービス。「RCSはここ近年サービスの拡張性、互換性で国際的に注目を浴びている」と語るのはNTTドコモの藤間良樹氏だ。現在39カ国/50キャリアで商用サービスに使われており、今後もグローバルで伸びる可能性を買って、今回3社がともに+メッセージのサービスに乗り入れた。

NTTドコモの藤間氏

 藤間氏はサービスの特徴は「簡単・安心・便利で楽しく利用できること」だと説く。3キャリアのスマホ・タブレットを利用するユーザーであれば、互いの電話番号を連絡先に登録するだけで、相手と使うキャリアが違っていてもメッセージを送り合える。アプリの利用にIDやパスワードによるユーザー登録は不要。電話番号を使うので、たとえば知らない相手から怪しいメッセージが届く可能性もあるが、「なりすまし」のリスクを低減して安心して使えるように、連絡先にない不明な差出人からメッセージが届くと「未登録」という表示が名前の前に出る仕組みを採った。なお電話番号のやり取りをしなくても、QRコードによって友だちを招待できる機能もあるが、送りあえるメッセージがSMSになるため、文字数などコンテンツの制限がかかる。

+メッセージアプリの画面。メッセージ一覧が並ぶ

連絡先は電話番号リストに追加すると自動的に登録されるが、QRコードなどで招待も可能

SMSとの違いは?
 SMSとの違いについてもう少し要素を整理しよう。+メッセージの場合、1通あたりの送信料金という概念はなく、通常のデータ通信契約の範囲内でパケット通信料金がかかるだけ。コンテンツは最大全角2,730文字のテキストメッセージやオリジナルのスタンプ、最大100MBの動画・写真、地図情報、音声メモにPDFなど一般的なオフィスデータを添付してチャットのように送れる。グループメッセージ送信にも対応する。オン・オフが切り替えられる既読/未読機能も搭載した。まさしくLINEのトーク機能に近いイメージと言えるが、タイムラインやニュースリーダーの機能などは実装していない。

写真や動画を添付できる

手書きスケッチやオフィス系ファイルも添付して送れる

 +メッセージを利用しているユーザーどうしであれば、アプリを開くと連絡先名の隣にアイコンが表示される。サービスを利用していないユーザーもSMSで最大全角70文字までのテキストメッセージが送信可能だが、1通あたりの送信料金が適用される。

名前のとなりにアイコンが付いている連絡先が+メッセージのユーザー

 なお無料IP通話機能は非搭載。アプリ内の通話アイコンをタップすると、各端末の電話アプリに遷移する。その他の機能追加については「今後は利便性の高いモノを追加できるように。送金なども含めてニーズに応じて検討していく。」と、記者会見に出席したソフトバンクの千葉芳紀氏が説明する。

ソフトバンクの千葉氏

KDDIの金山氏

 アプリは5月以降に発売される3キャリアの機種にはプリイン提供される。記者会見に出席したKDDIの金山由美子氏は「ダウンロードの手間がかからないところがLINEに対する優位性」と語っている。既に発売済みの機種はアプリのダウンロード、既存アプリのバージョンアップで対応する予定。iPhone/iPadはアプリのローンチが5月9日に揃わない可能性もあるが、基本的にはアプリをApp Storeから任意でダウンロードして使う格好だ。

今後はMVNO各社の参加も促していく
 +メッセージを立ち上げた経緯についてNTTドコモの藤間氏は「SMSの場合、他社スマホを使っている友だちに送信できる文字数が少ない、絵文字が送れないとの指摘をずっと受けていた。3社として、仕様を統一したより使いやすいコミュニケーションサービスをお客様に提供することが必要と考えていたところ、ちょうど世界でRCSのサービスが広まってきたため、このタイミングがベストと判断してローンチした」と振り返った。

 3社のアプリは基本的に統一したサービス名、UI、アイコンで提供されるが、各社の差別化要素を盛り込む余地も残されているようだ。またサービス開始当初は3社で立ち上げ、今後はMVNOの参加も促していけるようプラットフォームを整備することも検討しているという。5月9日のローンチ時点ではワイモバイルやUQモバイルのユーザーも、本サービスを使うことはできないので要注意だ。

+メッセージアプリのアイコンは各社共通になる

 想定されるビジネスモデルについて、藤間氏は次のように語っている。「ユーザーどうしだけでなく、企業と個人間のサービスにも発展していきたい。例えばユーザーにとってお得な情報、大事なお知らせ、あるいはカスタマーサポートや各種問い合わせなどが提供できれば、アプリがユーザーとサービス提供者をつなぐ架け橋になるだろう」。

 なお+メッセージのオリジナルスタンプはサービスイン時に500種類の無料スタンプが用意される。今後も徐々に増えていくというが、クリエイターが制作したオリジナルスタンプの有料配信にも広げていくかについてはまだ検討中の段階だという。

オリジナルのスタンプも用意

約500種類のスタンプが無料で使える

スタンプストアへのリンク

「LINE対抗ではなく、SMSの正常進化」
 記者会見の後半には参加者からの質疑応答もおこなわれた。

 +メッセージはLINEによく似たサービスのようにも見えるが、「対抗意識」について訊ねられた藤間氏は「+メッセージはSMSの機能拡張が必要という考えを土台に置いた正常進化。SMSで不便をおかけしていた部分を解消することが第一の目的であり、LINE対抗ではない」と明言した。

既読/未読の表示にも対応

 続けてLINEに対する優位性を訊ねられたKDDIの金山氏は「5月以降に発売する端末についてはアプリの別途インストールが不要なので、お客様画スマホをお持ちになった時点からすぐに使えるところ」と述べた。

 狙いとするターゲット層については3者ともに「現在スマホのSMS機能を活用していただいているかたすべて」だとしたが、藤間氏は「若年より上の年齢。30代以上のビジネスパーソンも視野に入れている」としながら、LINEのユーザー層との違いを協調していた。なお+メッセージが利用できる端末はサービスインの当初はスマホとタブレットに限られる。フィーチャーフォンへの対応については3者ともに「今後対応を検討していく」と答えた。

 ビジネスパーソンについてはEメールもメインのコミュニケーション手段の非戸津になるが、その点については金山氏が「ユーザーにアンケートを取ってみると、多くの方が様々なコミュニケーションツールを用途・相手・目的に応じて使い分けているという使用状況が見えている。Eメールはビジネスなどフォーマルな現場でのやり取りに使われることが多いが、+メッセージはどちらかと言えば日常のライトコミュニケーションに使われるケースが増えるだろう」とした。

地図のロケーションデータも添付、シェアできる

 なお海外での利用についてはローンチ当初は非対応になる。こちらも将来対応できるように準備が進められるようだ。サービスのメンテナンスや拡張については誰が主体になって進めていくサービスなのかがいまひとつ見えづらいところもあるが、会見での受け答えからは、取りあえずスタートしたサービスを3社でうまく足並みを合わせながら土台を固めて、まずは多くのユーザーを獲得するという目標をクリアしていきたいという思惑が垣間見られた。

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山本 敦

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