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5G/AI/スマホは一体どうなる?……モバイル業界の今後を語るデジージョ座談会

2018-05-07 19:00:20
 2018年2月26日~3月1日にスペイン・バルセロナで開催された、世界最大級のモバイル展示会「Mobile World Congress 2018」(MWC 2018)。デジタルを愛する女性ジャーナリスト集団のデジージョからは、太田百合子、富永彩乃、房野麻子、綿谷禎子の4人が参加しました。今回の「MWC 2018」をふまえて何を感じたのか!? 5G、AI、AR、最新スマホなど、、、モバイルの今後を語る座談会の始まりです。

バルセロナで開催された「MWC 2018」

カタルーニャ州の独立問題で揺れた「MWC 2018」
【綿谷禎子(以下、綿谷)】:今回のMWCはカタルーニャ州の独立問題で、バルセロナでやるの?やらないの?と結構、ソワソワしましたね。

【房野麻子(以下、房野)】:そうね、半年くらい前は心配したかな。

【太田百合子(以下、太田)】:今年はいつにも増してセキュリティが厳しかった。

【綿谷】:警備の人がマシンガンを持っていて怖かったです。

今年、新たに設置された、本会場前のエントランスフロア。警備スタッフがズラリと並ぶ

【太田】:警備が厳しくなったせいか、今回はスリの被害が少なかったような?

【富永彩乃(以下、彩乃)】:私の知り合いはやられました。タクシーを待ってる時にキャリーケースを奪われて、それを取り返そうとしたら、その間にカメラとレンズが入ったバックパックを盗まれて……。

【太田】:毎年、誰か被害に遭うよね。そういえば彩乃ちゃん……。

【彩乃】:ええ、昨年のMWCでは、最後に空港で録画データが全て入ったiPhoneを盗まれました。だから今年はiCloudで毎晩、バックアップしましたよー。

【太田】:リュックは後ろから開けられたりするから、鍵付けておかないとだよ。

【彩乃】:MWCの時はスペイン中からスリが集まるって話しですよね。

【綿谷】:ポケットに物を入れると絶対、盗まれるって言うよね。

【房野】:普段、スマホにチェーンなどを付けていない人は、ストラップで首から下げてるみたい。

【彩乃】:今回、空港で盗難防止用のアンチシーフのバックパックを見つけたので買いました。切りつけられても大丈夫だし、荷物を下ろさないと開かないので安心。MWCの会場に行ったら、結構、そのバックを持っている人がいたので、みんなコレなんだって。

【太田】:私は今、パックセーフというバックを使っているのですが、コレも切り付けられても大丈夫。ちゃんと対策しておかないと危険だから。

【綿谷】:そうやってちゃんと対策している人は狙われないと思います。

メイン会場のホールへと躍進したフレンチテック

カタルーニャ州での出展ブースもあった

【綿谷】:会場ではCESと同様に、いろんな国がまとまってブースを出してたよね。

【彩乃】:スタートアップの会場にジャパンテックも出てました。フレンチテックはスタートアップの会場からメイン会場のホール6と8に移動して大出世。コリアンテックも増えていました。

【綿谷】:カナダも出していたし、北欧も。

【彩乃】:スイスもあった。

【太田】:国単位でブースを出すのが流行してるのかね?

【房野】:フレンチテックに対抗しようという感じになっているのかな?

【綿谷】:みんなでまとまって大きなブースで展開するのは効率的かもしれませんね。

まさに5G直前!? 5Gをメインテーマに開催

MWCのオープニングイベントにて。2025年までに世界中で12億の5G接続を掲げる

オープニングイベントではアシスタントのアビー君をARで見せるという演出も

【綿谷】:MWC 2018のメインテーマは5GとAI(人工知能)。CESも5Gがテーマだったよね。

【太田】:CESの場合は、5Gというインフラがありきで、ガジェットやIoT、クルマ、スマートホームなどを繋ぎましょうという、繋がるモノ目線からの5Gだったんですけど、MWCは5Gからのモノ。5Gで繋がって何ができるのかの事例として、スマートシティ、スマートホーム、クルマがありました。目線は違うものの、結果として出展されているモノは似ていましたね。今年、クルマが多かったじゃないですか。

【房野】:クルマは去年くらいから増えました。今年は5G直前という感じがすごくしましたね。

メルセデス・ベンツのコンパクトカー「SMART」のコンセプトカーなど、クルマが目立った

【綿谷】:とはいえ、具体的に何ができるのかを明示できているところは少なかったんじゃない?

【太田】:何ができるかというよりも、MWCはBtoBの展示会なので、インフラベンダーからキャリアに対してのアプローチがメイン。「我々の5Gの技術はここまで準備が整っています。だから買ってね」という感じですね。クアルコムやインテル、ファーウェイ、ノキアなど、インフラベンダーが盛り上がっていました。

【房野】:チップを出したり、リファレンスモデルを出したり。ただ私が取材したZTEやファーウェイは、5G向けのホームルーターがモックみたいな程度だけど形としてできていて、具体的なモノを初めて見ました。

【太田】:そうですね。クアルコムでもスマホ向けのデバイスを展示していました。平昌(ピョンチャン)冬季五輪ではインテルがトップスポンサーとなって5Gの実験をしていて、後は統一規格をどうするかという感じ。おそらくアメリカや中国から始まります。

【綿谷】:アメリカは2018年度中、中国は2019年からという話です。

【房野】:今後1年のうちに5G対応の端末が出るという話がちょこちょこありましたね。

【彩乃】:へぇー、もう始まるんだ。

【太田】:クアルコムのチップはもう準備ができているので、それを搭載したスマホがおそらく来年のMWCには出てくるのでは?

5Gを全面的にアピールしていたクアルコムブース

5Gが始まるといったい何がどう変わる?
【綿谷】:でも端末が出てきても、周囲の環境が整うのかは疑問。

【太田】:5Gはすごく局所的なもの。基本ミリ波で高い周波数帯を使うことになっているので、あまり電波が飛ばない。直進性が強いので、障害物に弱い。

【房野】:私のところにアンテナがあったとしたら、綿谷さんのところまでしか飛ばないとか、そんなレベルらしいですよ。

【太田】:その代わりたくさんの帯域が取れるから、一度にデータが送れます。でも届く距離は短いので、ホント局所的なもの。たとえば日本だと、オリンピックのスタジアムにいっぱいアンテナを付けて超高画質の動画を流すとか、そういう感じの使い方から始まると思う。今、低い周波数帯とキャリアアグリケーションしてるんだけど、最初は都心の人が密集するようなところで、サービスを開始すると言われています。商用利用とは言っても、新宿のごく一部だけで利用できるという感じです。

【房野】:スタジアムの周辺だけとかね。5Gが始まったとしても、実は今の状態とそんなに変わらないんじゃないかという意見が多いですね。

【太田】:おそらくオリンピックとかで、スタジアムに行けば、すごい高画質のその会場でしか提供していないデータが受け取れるとか、そういうことに最初は使われるんでしょうね。

【綿谷】:日本は絶対、オリンピックからスタートですよね。

【太田】:それを目指しているから。

【房野】:でもオリンピックが終わったらどうするんだろう?と提言している人もいますね。

【綿谷】:それに向けて対応端末もたくさん出るわけでしょ?

【房野】:出るだろうけど、いっぱいなのかな?中国のホームルーターとかは固定回線の代わりに使われます。

【太田】:そうそう、ファーウェイが出したのはお家用です。

【房野】:その場で電波を受けて、そこからWi-Fiのように使うイメージなのかなって。

【太田】:5Gが始まったからと言って、何かが劇的に変わるわけではない。

【綿谷】:直進性の電波なら、ビル全体とかは無理ってことですよね?どちらかと言うと、広いところで使うイメージ?

【房野】:たくさん基地局を立てなくてはいけないんですって。お金がかかりそうですね。

【太田】:劇的には変わらないとは言え、MWCでは何が具体的にできるのかを見せなきゃいけない。超低遅延を活かした遠隔操作のデモなどをやってましたね。

【綿谷】:ええ、ドコモのブースで習字のデモをやってました。人の動作をロボットに伝えて、ロボットが習字をするというデモです。

【太田】:遠隔操作はいろんなところでやってましたね。5Gが始まったらこんな世界になるというのを見せていたブースもあったけど、どちらかと言うと、「技術的に成熟しました、さあ買ってくれ」と言うイメージが強かったですね。

ドコモブースでは遠隔操作の習字のデモをおこなった

参考:5Gで何ができる!? 2020年の実用化に向けてドコモが様々なユースケースを提示

【彩乃】:去年は一眼レフで動画を撮ってた人が、今年はほとんどiPhoneかGalaxy。取材している人はもちろん、視察に来て動画を撮ってる人も、ほとんどみんなスマホ。

 スマホで動画を撮るようになって、セルフィー棒などのガジェット周りも揃ってきた。iPhoneはピントが的確で音もちゃんと録れるんですね。iMovieで編集もラクだし。Androidもキレイな動画では録れるけど、その後の編集となると、1回パソコンに入れないといけないのでハードルが高い。もうちょっとAndroidも動画、頑張ってくれないかな。ともかく、これから動画の時代だなって思いました。5Gになったら、録りながらネットに上がっていくとか。

【太田】:そうなるともう編集しないんじゃない?ストリーミングじゃない?

【彩乃】:そうですね。遅延なく、コメントもすぐ読めて、三元や四元中継したものも、スイッチングできるようになるとか……。端末側がもっと追いついてくれればいいな。

5G元年の盛り上がりを感じた
【房野】:LTEも出てきた時はそんなに変わらなかったけど、じんわり広がっていって、今、快適に通信できるようになっているという感じなので、5Gもじんわりと広がっていくんじゃないかな。

【太田】:結局、インフラが揃っても何に使うかが重要。LTEも、動画のために作ったわけではなく、LTEができたから高解像度の動画が出てきた。今回はそれを前倒しでやろうということで、3キャリアはいろんな会社とコラボして、一見、本業とは関係ないようなことをいろいろやってますね。5Gの時代になった時に、どういうビジネスが展開できるのかを自分たちが主体になって見せていかないと、業界が盛り上がらない。

【綿谷】:結局、使ってもらわないと意味がないもんね。

【太田】:どうやって使うかを、自分たちも一緒に模索しているみたいな感じの動きを、ここ数年やっている。それがいよいよ始まるみたいな感じで、盛り上がってきましたね。

【房野】:うん、ホント直前って感じですよね。もう始まるって感じがやっと出てきました。これまで撮影が許されなかった通信系のブースも、「始まるからもういいよ」みたいな感じで撮影できたり。出来上がってきたんだなーという感じはしました。

【太田】:前夜祭風でしたね。

【房野】:そうですね。今が一番楽しい時期かもしれない。いろんな業界とのコラボは、正直、漠然としていて、よくわからなかったんですけど、ZTEの担当者が「4Gは個人の生活を変えたけど、5Gは社会を変える」と言っていて、その説明がわかりやすいのかなと思いました。IoTもそうですけど、企業が5Gを使って何かしらやりたいことを考えて、「個人ではなくて、周りが変わってくるかもしれない期待がある」と言っていましたね。

【太田】:自動運転や遠隔医療などがその最たる例だと思います。LTEは社会インフラみたいなところまでにはなかなかいかなくて、動画がサクサクくらい。でも5Gは国を挙げて取り組んで、新しい産業が生まれたり、社会が変わるかもしれないという期待値が高い。AIが盛り上がっているのと近いのかもしれないけど、今までの通信の世代交代の時とは違う感じがします。

【房野】:確かにFOMAからクロッシーに変わった時は、ちょっとコンシューマ寄りなイメージでしたね。

【太田】:社会インフラが整う感じなのかな?

【房野】:多端末接続でそういう感じがしているのかなと私は思ってますけどね。

【太田】:だいたい10年ごとに世代交代しているらしいけど、今回は大きい変化がもたらされるのかなーという感じがして、熱が感じられるMWCでした。

注目の新端末はサムスンの「Galaxy S9/S9+」
【太田】:一般の人が関心あるのは新端末ですよね。Galaxy、Xperia、ZenFoneなど、いろいろありました。MWC開催前のプレスカンファレンスの目玉は、今年はサムスンの「Galaxy S9/S9+」。サムスンのハイエンドのフラッグシップモデルの最新端末が出るということで、盛り上がっていました。

サムスン「Galaxy S9/S9+」。モニターの下にいるのは、サムスンのIT&モバイルコミュニケーション部門 社長のDJコー氏

アツく語るDJコー氏

【房野】:端末の中ではメインのメーカーでしたね。

【太田】:会場も一昨年と同じで、中央にステージがあって、周囲に客席があるスタイル。一昨年はみんなにGear VRを配って、取り外した時にマーク・ザッカーバーグが立っているという演出で盛り上がりました。今年は、入場バッチをかざすと、ARで端末が見られる演出がウケていました。

【彩乃】:スマホのカメラでアプリにかざすと、入場バッチが端末みたいになって、色も変えられる。

【綿谷】:あれ、面白かったね。裏も見られるし。みんな入場バッチを傾けたりして見てたよね。

【太田】:2年前はVRで今年はAR。トレンドを抑えていて、発表会の見せ方として工夫してますね。

サムスンの入場バッチがスマホに見えるAR

【彩乃】:色はライラックパープルがかわいい。ARを使った新機能の「AR Emoji」が面白かった。

【房野】:あれ、外国人の顔がベースになっているので、アジア人向けにはもう少しカスタマイズが必要ですね。

【彩乃】:試していて、「似てない、似てない」って言ってたら、係員の人に、「作っている時は確かに似てないけど、スタンプにして動きが出ると似てくるし、ちょっとかわいくなる」って教えてもらいました。

【太田】:登録すると一気にスタンプできるんですが、確かにそのスタンプはかわいい。

【彩乃】:リアルバージョンとデフォルメバージョンが選べるじゃないですか。あれがいいなと思いました。

【房野】:デフォルメバージョンだと急にアニメみたいに目が大きくなって、自分じゃないみたい。もうちょっと人によって細かく違いが出ると面白いんだけど。

ちょっと似てないかなーと思っちゃう「AR Emoji」

「AR Emoji」のデフォルメバージョン。こうなるともはや別人!

【彩乃】:後はカメラのスーパースローモーション。

【房野】:あれはソニーのセンサーだからって感じですよね。F値も二段階に変えられるんですよ。

【太田】:このところカメラのF値が明るくなってきていて、今回の「Galaxy S9/S9+」はF値1.5になって、もっと明るくなった。でもF値が高いと白飛びするので、それをさせないために、レンズの絞りが機械的に変えられる機能が付いたのが特徴です。

【彩乃】:あと音声がステレオになった。

【房野】:でもデザインが変わっていないせいか、あんまり進化感がなかったかな。

【太田】:指紋センサーの位置が変わってちょっと押しやすくなったよね。

【房野】:あー、背面に変わって、ナチュラルな位置になりましたね。

参考:サムスン、カメラ機能を強化した「Galaxy S9/S9+」……S9+は2眼レンズ搭載

最近の流れの“ノッチ”はデジージョ的には受け入れられない!?
【太田】: Galaxyだけでなく全体的に言えることなんですが、5Gが始まるぞという時期でもあって、端末に関しては今年はバージョン1.5みたいな感じ。iPhoneで言うところの“S”のタイミング。おそらく来年にもっと大きなイノベーションがあるんでしょうね。

【房野】:なんだかんだ言って、iPhoneの影響はすごく感じましたね。ディスプレイには画面上部にノッチ(切り欠き)があり、顔認証についてもみんなフィーチャーしていました。iPhoneの影響は大きいんだなー。

ディスプレイを広く取るため、「ZenFone 5/5Z」ではノッチを採用

【太田】:逆に言うと、iPhoneが技術的トレンドをうまく取り込めているんだと思うんです。技術的にはできても、どういう風にUIを作るのかが難しい。Appleはそういう手法がうまいと思うんですよね。ノッチに関して言うと、次の「Android P」が正式にサポートすることになったので、今後はがんがん出てくると思う。

【彩乃】:えー、もっと出てくるの?

【太田】:あのデザインに関しては好き嫌いがすごくあると思う。でもディスプレイを枠一杯に広げようと思ったらね。

【房野】:彩乃さんは反対派ですか?

【彩乃】:結局、フルスクリーンと言うけど、フルじゃないですよね?

【太田】:前にレンズとセンサーを入れないといけないので、画面に食い込んでくるしかないって判断ですね。

【彩乃】:中国Vivoのコンセプトモデルで、「APEX Fullview Concept Smartphone」という端末があったんですが、カメラやセンサーを隠して、本当にフルスクリーンをやろうと頑張ってる。指紋認証センサーも画面内に埋め込んでいて、こっちが本当のフルスクリーンだなって思います。

【太田】:顔認証だけじゃホントに不自由だし、背面の指紋認証は端末を置いている時には使いにくい。画面指紋認証は技術的にちゃんとセキュリティが確保できるとクリアになった時点で出てくる技術。たぶん、もうそうなってはいるので、次はノッチで画面指紋認証でという感じになると思いますね。

【彩乃】:うーん、ノッチは納得できない……。

【太田】:そりゃそうですよ。デザイン的にアレが好きだっていう人はあまりいないと思う。

【彩乃】:フランスのWiko(ウィコウ)の「View 2」にもノッチ。

【房野】:アレはRコンパクトですよね。

Wikoの「View 2」

【太田】:ディスプレイを広げるためには、この流れは避けられない。

【綿谷】:仕方がないとは思うけど、ちょっと強引な感じするけどね。

ソニーのXperiaはデザインを一新!
【太田】:ソニーのXperia「XZ2」「XZ2 Compact」は4K/HDRの動画が撮れるのがウリだったけど、デザインを一新したことも大きなトピック。

【房野】:そうそう、デザインが変わったのが大きかったですよね。

【太田】:ソニーがイヤホンを無くしたんですよ。これは大きな話。“ソニーが?”“本体とケンカしない?”とか思った。

【房野】:確かにね。ただ開発者の人が言うには、ワイヤレスのユーザーが50%を越したからって。

【彩乃】:端末にBluetoothイヤホンは付いてくるんですか?

【太田】:いや付いてこない。タイプCに変換できるアダプターは付いてくる。私が取材した時は、「タイプCに変換できるアダプターでもハイレゾのヘッドホンを使った音質に遜色がないという判断ができたから無くした」って言ってました。デザインを大きく変更するにあたって、変えるならこのタイミングっていうのがあったみたい。

【綿谷】:イヤホン端子が無くなっていくっていう流れが地味にありますよね。

【太田】:逆にスピーカーが良くなっているので、ヘッドホンはワイヤレスで、そうじゃないときはスピーカーで楽しむという方向に変わっているのかなって思います。ソニーは次モデルの2眼の発表もありました。

【房野】:発表の仕方自体にはいろいろ賛否両論がありましたよね。だって次は2眼カメラだって発表しちゃったら待ってしまうから、今回の端末が売れないですよね。たぶん、それでも2眼をやるって言わないといけなくなっちゃったんだろうなー。実際、2眼のことを言わないと、かなり厳しい発表会だったと思います。

Xperiaの「XZ2」「XZ2 Compact」を紹介するソニーモバイル EVPの古海英之氏

参考:ソニー、デザインを刷新したXperiaフラッグシップ「XZ2」「XZ2 Compact」を発表

【彩乃】:カンファレンス中、「KANDO(感動)」っていう言葉が出てきて、あー、CESでも言ってたなって思いました。

【綿谷】:前からずっと言っていて、もう4~5年くらいになると思うよ。

【太田】:「KANDO」は平井さんが社長就任してすぐの時に、CESのキーノートで言った言葉。元々は「Wow」で、「日本では感動と言います」と説明して、その後のプレゼンの時には毎回、言ってますね。

【彩乃】:そう言われて、海外メディアで採り上げるところあるのかなって。「禅」はわかるけど、「感動」はよくわからないみたいで、あんまり通じてないみたい。

【綿谷】:最初はプレゼン中、1回か2回くらいしか言わなかったのに、最近は多用されてて、言い過ぎだと思いますね。

【彩乃】:お約束だったんですね?

【太田】:うん、平井さんのお約束だった。

【綿谷】:でも今回、登壇したソニーモバイル EVPの古海さんにも引き継がれてましたね。

彩乃が見た!面白系端末
【彩乃】:ASUSの「ZenFone 5 Lite」はプレゼンに、カメラを使う時はセルフィーが多いという内容があって、いいプレゼンだなと思いました。すぐにフロントカメラが起動したり、若い人のニーズをすごく捉えてるし、ビューティーモードにも満足。

【太田】:セルフィーに重点を置いた端末だよね。

参考:コスパこそがZenFoneらしさ?新「ZenFone 5」シリーズの詳細レポート

【彩乃】:ポルトガルの会社「Ikimobile」が作った、ポルトガル産コルク100%のコルクケータイも面白かったですよ。コルクは革をはがすだけで、また9年くらいたつと採取できるからエコフレンドリーだって。あと温度を一定に保つことができるから中のチップセットに優しくて、ショックレジスタンス。落としても割れない。ここのブースには中央に木があって、その木からコルクをはがして、ここからスマホができましたって、お姉さんが踊るショータイムがあるんですよ。3時間に1回くらい。

【一同】:爆笑!





【彩乃】:ショータイムの後にエッグタルトとポートワインを配るんです。だから結構、人だかりができてました。お姉さんのドレスや説明員のネクタイ、パッケージ、名刺もコルクでできてるんです。

【太田】:こだわってるね。いいなー、その展示会、楽しそう。

【彩乃】:面白いから貼り付いて取材してたら、レビュー用にって、前のバージョンのスマホを譲ってくれたんです。最新のはワイヤレスチャージャーがQi(チー)に対応してて、Qiもコルクなんですよ。コルクならスマホが滑りにくいのもいいなと思って。

【太田】:QiもiPhoneだけの技術じゃなくて、日本では先行して「おくだけ充電」ってやってたよね。でもiPhoneが採用してから、あらためてQiを採用する端末が増えた。CESもそうだけど、今回、Qiの充電器がいっぱいありました。Appleの影響はすごいなって思いました。ホントはGalaxyとかもずっとやってたんだけど。

【彩乃】:そうですね、前からありますもんね。

【房野】:先にやっていたけど、あまり盛り上がらなかったという感じですね。

【彩乃】:スマホじゃないものでは、電子書籍を自動で点字に変換するツールが面白かった。カタルーニャテックで出てたんですよ。

参考:あらゆる電子書籍を自動で“点字”に変換する「BraiBook」がすごい!

【綿谷】:レビューした動画を見て、どうやって自動で読み込むんだろうってすごく不思議だった。

【彩乃】:アルファベットだったら点字に変換してくれるんですって。私、点字は読めないので、どれほどの精度かはわからないですが(笑)。スペインの視覚障害者の協会で採用していて、みんなこれで本を読むことができてるって。点字が読めない子供はオーディオブックとして聞きながら、点字を勉強できるんです。韓国のスタートアップでも点字に取り組んでいるところがあるんですが、そういう専用デバイスができるのってすごくいいなと思いました。障害を持った人向けのスタートアップはCESのエウレカでもちょっと見たけど、もっと増えるといいなー。

【綿谷】:テクノロジーの進歩でみんなが便利になるのはいいよね。

【彩乃】:同じ情報を共有できると広がりますよね。

【太田】:ちなみに国ごとにセルフィーの美肌カスタムって違うんですか?

【彩乃】:違いますね。アルジェリアのCondor Electronicsというメーカーはすごくセルフィーが良くて、フロントライトが必ず付いてます。カメラのフィルターのサンプルがエキゾチックなお姉さんで、ステキーと思って見入ってたら、スタッフが「北アフリカの方でもみんなセルフィーするよー」って。

【彩乃】:アルジェリアのIRISのスマホがブラウンとベージュの間くらいのすっごくキレイな色で、「この色、女性向けだね」って言ったら、「これ名前はモカって言うんだよ」って教えてくれて。端末にモカって名前を付けるなんて、もうステキーってなっちゃったんです。すごく盛り上がりました。





【太田】:トレンドなんですかね。ちょっと前までははっきりしたビビッドな色でしたが、今年は淡い色合いというか。

【彩乃】:フロントライトが付いていて、それほど画素数が高いわけではないけど、名前がステキでした。あとはバナナフォンがかわいいー。

【房野】:ノキアですね。復刻版って成熟すると出てくるよね。

【彩乃】:しかも本物のバナナも端末と一緒に置いているのがニクい。一緒に写真を撮りたくなる。

参考:4G搭載で復刻したバナナフォン「Nokia 8110 4G」の特徴をチェック!

レンズが情報を引き出すセンサーとして活用され始めた
【太田】:Googleの展示ブースでGoogleレンズの機能を紹介していたんですよ。Googleアシスタントを立ち上げた時にレンズが出てきて、それでアーティストの写真を撮ると、アーティストの情報が出てきて、そのままCDを買えたり、チケットを購入できたりとか。そういうデモをやっていました。まぁ、日本語には対応してないと思うけど、今後、Googleアシスタント的に、「いろんな端末で使えるようになります」って言ってたんですよ。

【綿谷】:カメラがセンサーになるという話?

【太田】:音声認識ができて、次のAI活用としてレンズ。Google翻訳で文字を訳すことはすでにやっているんだけど、それと同じような感じでレンズが使える。空を撮れば天気の情報がわかったり、料理を撮影すればカロリーがわかったり。レンズをセンサーとして使っていろんな情報を引き出すんです。去年は音声認識が盛り上がったけど、おそらく次のステップとしては、読み込んだものが何かを認識して、そこから情報を引き出す方向にいくんだろうなと思います。

【綿谷】:Googleは画像検索でデータが集まってくるからね。

【房野】:Googleじゃないとなかなかうまく働かないのかなとも思います。

【太田】:AIの活用として、音声の広がりだけだとAmazonに勝てないけど、画像も含めての勝負になった時には、Googleに分があるなって思いました。

【房野】:集めてるデータの量がすごいよね、きっと。

【太田】:両社とも同じようにディープラーニングと言ってるけど、その違いが面白いなって思って。おそらく「Pixel」には落ちてくると思う。

【房野】:ああ、Googleの端末ね。日本では「Pixel 2/Pixel 2 XL」は売ってないからね。

【太田】:徐々に広がっていく技術だと思います。日本で対応する時にはもっと大々的に発表すると思うので、今回、やっていたのはヨーロッパかアメリカの話だと思いますが、技術展開的には面白いと思いました。

【おまけ】会場のあちこちにあったアノゆるキャラみたいなのは何だ?

ホール1とホール8の両方にあったグッズショップ

Tシャツ(25ユーロ)、キャップ(15ユーロ)、モレスキンのノート(20ユーロ)など、9アイテムを販売

【綿谷】:あっ、彩乃ちゃん、売店で売ってたキャラクターグッズ買ったの?

【彩乃】:買いたいけど、かわいいのかかわいくないのかちょっと微妙で。でも最後にパーカー見たらかわいくって。

【綿谷】:最終日は15%オフになってたよね。

【彩乃】:そうそう、最終日には安くなってました。傘とかステッカーとかモレスキンのノートとかもあって。

【綿谷】:あまり売れなかったのかな?余ったグッズはどうするんだろう?

【彩乃】:来年、売るんじゃないですか?

【房野】:いろんなところで売るのかも。

【太田】:おそらくチャリティーだと思う。食堂のところとかに大きなフィギアがあった。

【彩乃】:あー、ありましたね。

【太田】:去年も海を守るとか、ジェンダーの平等を達成するとか、社会的取り組みに対してイベントしてました。

【綿谷】:気になったので調べてみたんだけど、2015年の国連サミットで決まった貧困の解消や気候変動などの17の計画を、バルセロナのアーティストが視覚的に表現したみたい。モバイル業界はこの開発目標(SDG)の達成をサポートしてるんだって。

【房野】:そういえば、プレス登録をする時に、そういう感じのアンケートに答えましたね。あなたは何を支持するか的な。

【太田】:いろんなベンダーがくるので、チャリティー的なこととか、社会貢献的なこととか、働き方改革とかをやろうという感じの意思表示だったみたいです。

【綿谷】:来年のMWCでもグッズがあったら、今後は買おうかなー。

基調講演がおこなわれた会場前のスペース。随所にフィギアもあった
綿谷 禎子

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