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国際展示会に参加する意義はどこにある?リアルなコミュニケーションが生むイノベーション

2018-05-16 14:00:14
 今年は8月31日から9月5日の日程で開催される世界最大のエレクトロニクスショー「IFA」。「IFA」本番の舞台はドイツ・ベルリンになるが、そのプレイベントである「IFAグローバル・プレスカンファレンス」が4月20日から22日まで、イタリア・ローマにて320人を超えるジャーナリストを集めて開催された。

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ローマで開催されたIFA GPC

スペイン広場

 今回のグローバル・プレスカンファレンス(GPC)では、オフィシャルパートナーとしてSHARP、HuaweiやPhilips、fitbitなど日本でもおなじみの企業のほか、中国のTVメーカーTCL、ドイツの健康機器メーカーであるBeurer(バウアー)、地元イタリア企業のradionovelliなどが名を連ねた。



IFA GCPのスポンサー 一覧

 特に存在感を示していたのが日本のSHARP。空港からホテルへ向かうシャトルバスのラッピングをはじめとしてイベント中に配布される水のボトル、エレベーターのドアなどいたるところにSHARPのロゴと、「The World's First 8K TV」のメッセージが掲出されていたほか、ホテル内のWi-Fiのパスワードまでもが「sharp_8k」という徹底ぶり。同社はこのほど、「8K TV」でヨーロッパのテレビ市場に再参入することを発表したが、その覚悟があらわれているようだった。

SHARPはホテル内に8Kテレビを展示していた


SHARPは8KのPRにかなり力を入れていた

 そんなGPCで、IFAの主催者であるメッセベルリンは、展示会を手がける彼らの戦略、2018年度のIFAの展望などを語り、ぜひ本番のベルリンに足を運んでほしいとアピールした。一体、IFAはほかの国際展示会と何が違うのか、企業が展示会に出展する意義はどこにあるのか、さぐってみた。

IFA 2018は8月31日から開催

25万人が来場した2017年のIFA
 21日、記者団が宿泊していたホテルに隣接する商業施設の映画館を丸ごと貸し切った会場で、メッセベルリン社 CEO、クリスチャン・ゲーケ氏のプレゼンテーションが行われた。

 まずゲーケ氏は2017年のIFAを振り返り「記録的な年だった」とコメント。会期中は121ヵ国から252,000人が来場し、1,800社が出展、取引総額も約47億ユーロと前年を上回り、「世界一の家電展示会」(ゲーケ氏)と呼べる規模に成長した。

メッセベルリン社 CEO、クリスチャン・ゲーケ氏

2017年は121ヵ国から252,000人が来場した

取引総額は約47億ユーロに

 その規模のみならず、有望なスタートアップ企業を集め、最先端のテクノロジー、イノベーションに触れる機会の提供を目指した「IFA NEXT」(2017年から)、世界中のOEM/ODM企業を集めたBtoB向けの商談イベント「IFA GLOBAL MARKETS」(2016年から)といった新しい試みも好評だ。とくに昨年初開催の「IFA NEXT」には研究機関や大学、大手企業の研究所、そして多くのスタートアップが集まり大盛況だったという。

初回から大きな成功をおさめたという「IFA NEXT」

SNSが普及した今でも、Face to Faceのコミュニケーションこそが強力
 デジタルネットワークが進化し、多くの情報がWebから得られ、SNSなどでも気軽にコミュニケーションが取れるようになった今、果たしてリアルな展示会という場にどれほどの意味・効果があるのかという疑問もある。それでもゲーケ氏は「Face to Face Communication」こそが重要で、もっとも強力なネットワークを形成すると語る。



 「技術革新がもっとも重要な市場成長の原動力」で、競い合うのではなく共通のエコシステムの中で知識を持ち寄ってともに技術革新を引き起こしていくことが家電業界には必要という。エコシステム全体のつながりを意識しながら最新のテクノロジーを一望できるのが、IFAのような国際展示会に参加する意義のひとつだろう。

家電市場は成長し続けている

市場を取り巻くキーマン、キーテクノロジーが一堂に会すからこそイノベーションが生まれる
 家電を取り巻く全てのテクノロジー、メーカー、スタートアップ、リテーラー 、投資家、コンシューマーが一堂に会して、製品やサービスに直接触れながら対面でミーティングを重ねることで、新たな技術革新が引き起こされる。とくにIFAは、この一同に会するといったことに重点を置いている。あまりに広大なエリアをバスで移動しなければまわれないような展示会では気づきが生まれにくいという。その思想が特に色濃く反映されているのが先に述べた「IFA NEXT」だ。

キーマン、キーテクノロジーが一堂に

 中央にプレゼンテーションのステージがあり、その周囲に同心円状に出展ブースや商談スペースが配置されたオープンなレイアウトで、キーノートの会場にも隣接しており人の行き来が絶えず大きな盛り上がりを見せたという。2018年のIFAでもその考え方のままに、規模を拡張していくとのこと。

 対面のコミュニケーションを重視してきた結果、2017年のIFAでは取引総額が約47億ユーロとなり、5日間でおよそ1000万回のミーティングが実施された。単なるショーケースではなく、商談の場としても機能していることがIFAの大きな強みだという。

思いがけない価値を発見できるのが展示会の大きな意義
 家電にフォーカスした戦略を取ってきたIFAだが、スマートフォンやスマートホームといったデバイス・サービスも今や家電とは切っても切れない関係であり、それらについてはこれまでも展示会の中でカバーしてきた。さらに、2018年にはジュネーブモーターショーとコラボレーションし、「自動車」にフォーカスした展示「Shift Automotive」も実施する。自動車産業には多くの先端テクノロジーが集まっており、それらは家電業界にも重なる部分が大きい。家電にフォーカスしつつ、カバーするエコシステムを広げていくことで、さらに多くの技術革新を産み、市場にインパクトを与えていきたい考えだ。

カバー領域も広がっている

 プレゼンの中でゲーケ氏は「Serendipity(セレンディピティ)」という表現を繰り返し使用していた。思いがけない価値を偶然発見すること、といった意味で使われる言葉だが、実際に人と会い、サービスを見て話し合うことでうまれる気づきがまだまだビジネスにおいては重要ということのようだ。
白石 雄太

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