Page Top

アプリ版はこちら

【インタビュー】10Gbpsインターネットサービスは18年度中投入……ケイ・オプティコム

2018-05-29 09:49:15
 ケイ・オプティコムの「eo(イオ)光」は2018年度内に上下10Gbps対応の超高速インターネットサービスの提供を目指しているという。ケイ・オプティコムの執行役員 コンシューマ事業推進本部 副本部長の土岐尚氏にこれからのビジネスの指針について聞いた。

■ライバルとの競争がさらに激化してきた

――eo光のサービスについて、直近の手応えを聞かせてください。

土岐氏:2017年度末時点で光ファイバー回線のユーザー数は163万契約まで伸ばすことができました。ただ、2016年から2017年までの変化を振り返ると、純増は鈍化しており、光回線サービス自体のコモディティ化が進んでいることを実感させられる次第です。NTTドコモやソフトバンクが携帯電話と固定回線のセット割りサービスを投入してきたので、新たなライバルの出現に当社も気を引き締め直しています。

――これから生き残りをかけて、どのような戦略が必要だと思いますか。

土岐氏:2016年に電力の小売り販売が自由化された年に「eo電気」のサービスを開始しました。続く17年からはガスの小売り自由化に合わせて「関電ガス eo割」もスタートして、いま当社としてはご家庭向けの電気・ガスといった生活インフラのサービスをFTTHサービスとひっくるめてご提案できるようになりました。他社のサービスと差別化を図るためには値頃感だけでなく、お客様が安心して日々ご利用できるようにサポート体制を充実させることが肝要です。

――新たな取り組みにチャレンジするにあたって、見えてきた課題もあるのではないですか。

土岐氏:そうですね。当社は長年、家庭向けのインターネットサービスを提供する事業者としてユーザーの皆様に親しまれてきました。おかげさまで近畿地域では多くのお客様にご利用いただいていますが、インターネットサービスの認知度が高かったぶん、電気やガスのサービスを始めたことの周知がまだ不足していると感じています。新規のサービスを含めてお客様へのアピールについては、まだまだ努力や工夫を重ねたいと思っています。

■競争を勝ち抜く鍵は「ユーザーサポート」の充実度

――ユーザーサポートを充実させるため、どんなことに取り組んでいますか。

土岐氏:例えばお客様との対面による接客は、お客様に安心感を与えられるように商品説明を徹底して丁寧に行ってまいります。お客様によってはリアルショップになかなか足をお運びいただけないケースもあろうかと思います。当社としては、Webサイトでの情報発信やコールセンターでのご案内も強化する方針です。

2017年8月から、新しい取り組みとしてAIを活用したチャットボット「つなぐちゃん」をバーチャルアシスタントに起用しています。24時間・365日に渡って入会手続きや接続設定、トラブル対応、ユーザーサポートに関連する幅広い情報を提供できる画期的なサービスです。まだベータ版として試験的にローンチした状態なので、これからさらに応答の精度などを高めていきます。つなぐちゃんにご連絡いただいた問い合わせを、営業時間内には対人によるサポートへシームレスに切り替わる体制も整えています。

ほかにもFacebookにツイッター、LINEなどSNSを活用したサポートも既に始めています。バックヤードでの取り組みとしては、2016年の7月からAIや機械学習の技術を活用して、システムインフラやネットワークの“サイレント障害”をいち早く検知できるようになりました。お客様にいつでも快適にサービスをご利用いただけるよう土台の品質改善は常に図っています。

――「暮らしアドバイザー」とはどのようなシステムですか。

土岐氏:当社は2016年から「いちばん声をかけやすく、いちばん頼られるeoになる」というブランドビジョンを掲げています。このビジョンを踏まえて、2017年の7月からコンシューマー向けサービスの営業販売員を「暮らしアドバイザー」と命名して、独自のスキルアップ制度も導入しました。自社販売員の意識改革も促すため、アドバイザーとしてのスキルを持つスタッフはバッヂを身に着けて職務にあたっています。お客様にしっかりとしたサポートをご提供することが目的です。eoのサービス全体の中から、お客様の希望に合わせて最適なサービスを判断、おすすめできるスキルを持つ優秀なスタッフをランク付けして、スキルアップを奨励する制度があります。

■10Gbps超高速通信サービスの時代はまもなくやってくる

――光ファイバー回線のサービスはどこまで高速化が進むと思いますか。

土岐氏:これからスマートホームやIoTがトレンドとして注目されるようになると、家庭の中にある様々なデバイスがインターネットにより数多く接続されるようになります。ご家庭あたりのデータ通信容量はさらに増えるとみています。10年前には1Gbpsの高速ネットワークは持て余すだろうと言われていましたが、現在はもう当たり前になりました。そして今後10Gbpsの超高速サービスを使っていることの方が常識になる日も遠くはないはずです。

また高速通信の時代には、4K映像配信やオンライン対戦ゲームなどのネットワークを活用するエンターテインメントを快適に楽しめる環境が一般化してきます。当社としてもその時に備えて、今からサービスの土台を強化する必要があります。

4K映像配信についてはライバルが間違いなくやってくると思いますので、当社も遅れを取ることなくインフラを整備するとともに、独自に高画質コンテンツを制作できる環境も整えました。当社は地域に向けて地上波11チャンネルでコミュニティチャンネルの放送を行っていますが、大阪の本社ビルにスタジオを作っており、そこでは4K映像の製作にも取り組んでいます。

――eo光の10Gbps高速サービスはいつ頃商用化されるのでしょうか。

土岐氏:ソニーネットワークコミュニケーションズの「NURO光」が2018年1月下旬から東海・関西に進出してきましたが、eo光もスピードやサービスを充実させていくようしっかりと取り組んでいきたいと考えています。当社では2017年1月から同年6月まで、最大通信速度が上り/下りともに10Gbpsという高速通信サービスの試験提供を大阪府枚方市で実施しました。試験から得たデータを元に、2018年度中の本格導入に向けたサービス開発をいま進めていきます。

――10Gbpsの超高速通信の時代にふさわしいサービスにはどのようなものがあると思いますか。

土岐氏:多くの方々にご利用いただくためには価格面が魅力的であることも大切ですが、10Gbpsという高速ネットワークのインフラ上で活きるコンテンツを見つけて、アピールするための知恵を絞る必要もあります。

eo光のネットワークサービスを強化するにあたって、家単体だけでなく、ネットワークのゲートウェイも含めたネットワーク全体でのセキュリティを強固にしていくことにも取り組みます。10Gbps対応の高速ルーターの開発についても準備を進めていますが、商品の投入時期など具体的なことについてはまだ今回の時点ではお伝えできないのでご了承ください。

当社ではスマートホームに関連するサービスとして、昨年にGoogle Homeスマートスピーカーの販売を開始しています。スマートスピーカー自体はお客様に好評を得ていますが、これからさらに価値を創造するために連携コンテンツの準備も大事になってくると自覚しています。

■固定回線とモバイル、それぞれの今後はどうなる

――モバイル向けサービスのmineo(マイネオ)はいかがですか。

土岐氏:おかげさまで当社が提供するマイネオのサービスも契約数が順調に伸びています。契約数については本年4月に100万を突破し、2020年頃までに200万まで何とか到達したいと考えていますが、ライバルとの競争は今後さらに熾烈なものになるとみています。

モバイル側の戦略としては、価格や通信スピードだけを競争軸とすることが難しいので、やはりユーザーとのコミュニケーションを密にしながら、サービスの改善・充実化に結果として反映すべきだと思います。そのためにファンどうしが交流もできるコミュニティサイト「マイネ王」をこれからさらに活発化してまいります。

――昨今は日本企業の元気がないとも言われていますが、ケイ・オプティコムとしてどのように一石を投じたいと考えていますか。

土岐氏:当社のビジネスは生産性と付加価値の向上を果たしていくべきと考えています。そのためには、今後も情報処理や通信に関連する技術やサービスを、ビジネスモデルの中に積極的に採り入れていきたいと思います。具体的には、例えば単純作業を求められる仕事はAIやロボティクスの技術に置き換えて、ヒューマンリソースをよりクリエイティブな方向に振っていくことが考えられます。先にご紹介したカスタマーサポートのチャットボット「つなぐちゃん」もそのテーマを体現したサービスの一環と言えます。

――固定回線のネットワークサービスは、これからどうなっていくと思いますか。

土岐氏:私は今後も固定回線のサービスがなくなることは絶対にないと信じています。ご家庭でリッチなエンターテインメントコンテンツを楽しむためには、帯域が太く安定している回線が有利です。一方、アウトドアであれば無線通信の方が有効に決まっていますし、各々のすみ分けが、今後5G通信が登場する頃により鮮明なかたちで浮き彫りになると思っています。当社としては独自性の強いサービスを、固定回線とモバイルの双方で打ち出していきながらユーザーに響くサービスをこれからもお届けしてまいります。

――ありがとうございました。
RBB TODAY

News 特集

 MM総研は9日、2015年における携帯電話(フィーチャーフォンとスマートフォン)端末の国内出荷台数に関する調査結果を発表した。総出荷台数は前年比6.6%減の3,577万台。2012年から3年連続で減少が続いている。 [...]
全て見る

Cars 特集

 ファナティックは9日、宮城県大和町にドローン・マルチコプター専用練習場「ブーメラン」をオープンすることを発表した。 [...]
全て見る

Trucks 特集

 MM総研は9日、2015年における携帯電話(フィーチャーフォンとスマートフォン)端末の国内出荷台数に関する調査結果を発表した。総出荷台数は前年比6.6%減の3,577万台。2012年から3年連続で減少が続いている。 [...]
全て見る

Equipments 特集

 Amazon.co.jp(アマゾン)は4日、「Amazonお酒ストア」内の「Amazonワインストア」において、 専門家がワインを選んでくれる新サービス「Amazonソムリエ」の提供を開始した。 [...]
全て見る