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Y!mobileへの対抗策は?FREETELユーザーはどうなる?……楽天モバイルが答える

2017-12-01 17:23:29
 2017年は、格安SIMサービスの認知が広がる一方で、MVNO事業者の失速も話題に上った。先頭集団を走る楽天モバイルが、FREETELを運営するプラスワン・マーケティング社(以下、POM社)を買収した件は記憶に新しいところ。FREETELは今後、どうなってしまうのか。そして楽天モバイルが目指す目標とは?楽天モバイルが1日におこなった事業説明会では、執行役員が記者団の質問に丁寧に回答していった。

■FREETELは良い買い物だった?

 登壇したのは、楽天 執行役員 楽天モバイル事業の大尾嘉宏人氏。以下、記者団とのやりとりを一問一答で紹介していく。

――契約者数は11月の頭で140万人を突破した。今後の目標数は?

大尾嘉氏「具体的には申し上げられない。他社さんでも様々な施策を出されているが、その中で、昨年より今年の方がお客さまを獲得できた。いまの勢いを加速させたい」。

楽天のMVNO事業は2017年11月に140万を突破。これはFREETEL SIMの顧客35万を含んだ数字

――実際のところ、FREETELを買収して良かったのか?また、買収金額は36億円とも言われている。高かったのか安かったのか。

大尾嘉氏「買収して、すごく良かったと思っている。金額は適正だった」。

――それで約35万人の契約者を獲得した。1人1万円の計算になる。それが適正だった?

大尾嘉氏「そうですね」。

個人向け回線数としてIIIJ mio(個人)を超えたとの説明もあった

――FREETELショップはどうなる?

大尾嘉氏「ショップの立地条件、顧客の獲得数だけの問題にとどまらず、代理店さんとの契約の問題もある。これまで楽天モバイルがショップを拡大してきた基準やノウハウを考慮しつつ決めていく」。

――インフラの二重投資になっている。FREETELのインフラはどうするのか。

大尾嘉氏「うまく統合していければ。できなかったとしても、サービスとブランドはきっちり統合した上でサービスを提供していく」。

FREETELの通信事業は2018年1月15日から楽天モバイルが担当。端末事業については、引き続きPOM社が担当していく

――FREETELでは、端末代金と利用料金をセットにした「スマートコミコミ+」や、故障時および乗り換え時に端末の残債を0円にして機種変更できる「とりかえ~る」などを提供していた。いずれも「36か月の割賦契約」といった長期のしばりを設けていたが、この利用者はどうなるのか。

大尾嘉氏「現行のユーザーに対しては、継続してサービスを提供していく。しかし新規契約については、これから検討していく」。

――「とりかえ~る」では、残債0円で新モデルに乗り換えられる点が大きなメリットとPOM社から説明されていた。新たな端末は今後、楽天モバイルが用意していくのか。

大尾嘉氏「そこは端末の部分なので(楽天モバイルの関与ではなく)POM社さんが、しかるべき端末を含めて、引き続きニーズがあれば用意していくということだと思う。楽天モバイルが用意する予定はない」。

サービス名は、段階的に楽天モバイルに統合。「FREETELでんわ」は2018年春を目処に「楽天でんわ」と同じ回線になる

――利用者は、楽天モバイルと契約している意識になる。POM社はここ1年間新しい端末を発表していないが、ユーザーの不満のはけ口が楽天モバイルに向いてしまう心配は?

大尾嘉氏「POM社では、オリジナル端末だけでなく市販のSIMフリー端末も「とりかえ~る」の対象にしていた。なのでそこは、あまり心配していない」。

■Y!mobileへの対抗策は?

――人気のサブブランドや、大手キャリアの値下げが収益におよぼした影響は?

大尾嘉氏「サブブランドや大手の影響はある。あれだけ多くのCMを打たれると...。ただ、私たちの戦い方は、お店で丁寧に説明すること。サブブランドに乗り換えようと思っていたお客さんに、丁寧に弊社のサービスを説明した結果、楽天モバイルと契約していただけた、そんなケースが増えている。今後はユーザーさんの声を拾って、口コミで広めていく、そうした動きもうまく促進していければと思っている」。

大手キャリアのサブブランドと比較してCM量は約1/14にとどまる。それでも認知率が高いのは、楽天グループのシナジーが効いているためだという

――とある調査会社の発表によれば、格安SIMサービスをメイン端末に使用している人のシェアでは、ワイモバイルが31%、楽天モバイルが17%、mineoが8%と続く。ほぼ2強という印象だが、今後、ワイモバイルに勝つための戦いを仕掛けていくのか?

大尾嘉氏「ワイモバイルさんを競合相手として見ていないわけではないが、一緒に格安スマホ市場のマーケットを盛り上げるパートナーとも思っている。UQ mobileさんを含めて、大手キャリアのサブブランドさんに”格安スマホ”というキーワードを広めてもらっている中で、楽天モバイルもある種、そこに便乗しているようなところがある。一緒に盛り上げていこうという認識。もちろん、戦うところは戦う」。

――競合するサブブランドに匹敵する規模感にまで成長できる?

大尾嘉氏「楽天グループのシナジーを使うことで、マーケティングコストを効率化できる。あらためてグループの総合力を感じた1年だった。S社さんにもYahoo!があるが、その勝負になれば勝てると思っている。打ち手はたくさんあると思う」。

効率化により、1契約あたりの投資額は昨年より圧縮できたとしている

――iPhoneのある・なしは顧客獲得のポイントになっているのか。

大尾嘉氏「iPhoneは広くお客さまに受け入れられている。楽天モバイルでは、メーカーが認定した再生済みの旧型iPhone(CPO iPhone)を出しているが、とてもよく売れている。ただ、iPhone 8が発売されたときに、我々の通話対応SIMカードがよく売れたのには驚いた。Apple Storeに行ってSIMフリーのiPhone 8を買い、私たちのSIMカードを挿して使った方が実は安くすむ、と気付いたお客さまが増えたと認識している。こうしたことも今後、きちんとお客さまに伝えていきたい」。

――iPhoneにまだ神通力は残っているのか。旧型モデルでも販売効果はあるのか。

大尾嘉氏「ある。CPO iPhoneは在庫が豊富なわけではないので、ほかの端末のように大量に売ることはできないが、iPhoneで楽天モバイルの「スーパーホーダイ」を利用したい、とおっしゃられる方が一定数いる。そうした方は、ほかのAndroidデバイスに目が向かないので、カニバることもなく確実に売れる。そこは古いiPhoneでも同じ」。

――楽天モバイルが年間で黒字化するのはいつ頃になるのか。

大尾嘉氏「今年、何度か単月で黒字になった月があった。マーケティングにお金を使っており、その投資額が増えるか減るかが、毎月の収益に関わっている。いつ黒字化するか、明確な時期はお答えできないが、実はもうマーケティングの投資を止めると黒字になる状態まできた。まだ顧客数を増やしていきたいので、今後はそこのバランスになる」。

年平均成長率は+136%。2017年は単月で黒字になった月もあったという。逆に考えれば、楽天モバイルの規模まで成長してようやく黒字が見えてくるということだ

――今後、ほかのMVNO事業者も経営が厳しくなってくる。買収してください、といった打診があったときは?

大尾嘉氏「そのときは、前向きに検討していく」。

――M&Aによる成長も考えているということか。

大尾嘉氏「経済合理性で判断していく。オーガニックグロースよりM&Aの方がお客さまの獲得コストが安いのであれば、その可能性もある。経済合理性を加味して成長させていく」。
近藤謙太郎

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